ETFの受益権分割と売買単位変更とは?
- 受益権分割はETFの口数を分割することです。最低取引金額を引き下げる目的で実施されます
- 売買単位変更は、売買可能な最低口数を変更することです。最低口数を下げる場合は、受益権分割と同様にETFを購入しやすくすることで、ETFがより身近な投資の選択肢となることを目指します
- 受益権分割や売買単位変更では呼び値の変更を伴うことがあります。ETFの購入後に受益権分割が行われた場合は、口数当たりの取引金額が変わることに注意が必要です
受益権分割とは?
ETFにおける受益権分割とは、ETFの口数を分割することです。例えば、1口を2口に分割する、1口を10口に分割するといった形で行われます。株式投資の経験がある方なら、「株式分割」と同じ仕組みといえば分かりやすいかもしれません。
これとは逆に、例えば2口のETFを1口にする「受益権併合」が行われることもあります。
受益権分割の目的は?
受益権分割の主な目的は、ETFの口数を分割し最低取引金額を引き下げることにより、売買を活発化させることです。例えば売買単位が1口で、市場価格(取引所価格)が50,000円のETFについて、1口を10口に分割すると、理論上は市場価格が10分の1の5,000円になります。受益権分割を行うことで最低取引金額がこれまでより低くなり、投資家にとってはETFを買いやすくなります。
売買単位変更とは?
株式の個別銘柄では、売買単位が100株に統一されています。これに対してETFの売買単位はまちまちで、2024年12月時点では1口、10口、100口、1,000口の4種類があります。この売買単位を、例えば10口から1口に変更することを「売買単位変更」といいます。
売買単位変更の目的は?
売買単位変更によって売買単位を小さくすることは、受益権分割と同様に、最低取引金額を引き下げ、ETFの取引を活発化させる目的で行われます。例えば市場価格が5,000円で、売買単位が10口のETFの場合、最低取引金額は5,000×10=50,000円となります。売買単位を10口から1口に変更すると、最低取引金額も10分の1の5,000円となります。
ETFの運用会社は、ETFが個人投資家にとってより身近な投資の選択肢となるよう、既存のETFの最低取引金額を下げることがあります。売買単位が10口や100口など売買単位変更ができるものに関しては、まずは売買単位変更を検討することが一般的です。売買単位が1口の場合は、受益権分割によって最低取引金額を引き下げます。
受益権分割と売買単位変更の概要
受益権分割 | 売買単位変更 | |
---|---|---|
内容 | ETFの口数を分割して、1口当たりの価格を下げる | ETFの売買単位を小さくして、最低取引金額を引き下げる |
目的 | 最低売買単位を下げることで取引の活発化を促す |
受益権分割と売買単位変更の例
銘柄コード | 銘柄名 | 受益権分割実施日(※) | 受益権分割の割合 | 分割前の市場価格(2024/12/17終値) | 分割後の市場価格(2024/12/18終値) |
---|---|---|---|---|---|
2840 | ifreeETF NASDAQ100(為替ヘッジなし) | 2024/12/18 | 1口→16口 | 31,430円 | 1,952円 |
2841 | ifreeETF NASDAQ100(為替ヘッジあり) | 2024/12/18 | 1口→10口 | 13,460円 | 1,343円 |
※分割効力発生日は12月20日ですが、東京証券取引所における売買については、12月18日より分割後の価格で取引が行われることになります。
銘柄コード | 銘柄名 | 売買単位変更実施日 | 売買単位変更 | 変更直前の最低取引金額(2024/5/2終値) | 変更直後の最低取引金額(2024/5/7終値) |
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1651 | iFreeETF TOPIX高配当40指数 | 2024/5/7 | 10口→1口 | 20,520円 | 2,052円 |
受益権分割・売買単位変更が行われた場合の影響と注意点
受益権分割や売買単位変更による影響として、取引価格が変わることで、呼び値(注文する際の価格の刻み幅)も変わる場合があります。例として、上記の『iFreeETF NASDAQ100(為替ヘッジなし)』(2840)では、受益権分割の前は「TOPIX500呼値テーブル」の取引所価格10,000~30,000円の水準に基づき、呼び値は5円でした。受益権分割の直後は取引所価格が1,952円となり、呼び値は「その他呼値テーブル」の3,000円以下に該当する1円に変わりました。
また、ETFを購入した後で受益権分割が行われた場合、口数当たりの取引金額が変わることに注意が必要です。例えば分割前は10口で500,000円だったETFを、1口から10口への分割後に10口購入すると50,000円分にしかなりません。500,000円分買いたい場合は、100口注文することになります。
ETFを購入する際には、実際に何円分の取引をしようとしているかを念頭に置いたうえで、市場価格だけでなく口数も併せて確認するようにしましょう。