東証ETFと海外ETFの違いって?
- 東証ETFと違って、海外ETFはすべての証券会社で買えるわけではありません
- 海外資産に投資する場合、海外ETFの方が保有時のコストで有利な商品もあります
- 海外ETFは外貨建てで売買するので、売買時には為替手数料がかかり、為替差益・為替差損も発生します
- 海外ETFは現地時間での取引となります。米国ETFの場合、取引時間は日本の深夜・早朝に当たります
- 海外ETFの分配金は「二重課税」に注意が必要です
海外ETFの商品ラインアップは証券会社ごとに異なる
東証ETFと海外ETFの比較
東証ETF | 海外ETF | ||
---|---|---|---|
投資対象 | 複数の株式、債券、REITなど | ||
銘柄数 | 約300(※) | 証券会社により異なる | |
取引方法 | 取引時間 | 金融商品取引所の取引時間 | 米国など現地の取引時間 |
取引通貨 | 日本円 | 米ドル、香港ドルなどの現地通貨 | |
取引場所 | ほぼすべての証券会社 | 取り扱いのある証券会社 | |
注文方法 | 指値注文・成行注文 | ||
信用取引 | 可能 (対応する銘柄は証券会社により異なる) |
証券会社によっては可能 | |
コスト | 売買時の費用 | 国内株式の売買手数料 (証券会社により異なる) |
外国株式の売買手数料、為替手数料 (証券会社により異なる) |
保有時の費用 | 信託報酬 | 経費率 | |
課税額 | 収益の20.315% (NISA口座は非課税) |
収益の20.315% (NISA口座は非課税) ただし、分配金が現地で課税対象となる場合がある |
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収益 | 売却益・分配金 | 売却益、分配金、為替差益 (円高時は為替差損) |
ETFは1990年にカナダで誕生し、その市場は今も拡大を続けています。全世界のETFの運用資産残高は2023年8月時点で1,500兆円(10兆米ドル、1ドル=150円換算)を超えます。日本のETFの運用資産残高は2024年3月時点で約89.5兆円であり、海外ETFの方が圧倒的に市場規模は大きくなっています。
日本にも、米国をはじめとする海外のETFに投資できる証券会社があります。海外ETFも、1本で複数の株式や債券に投資できる投資信託の一種であり、その多くが既存の株価指数などへの連動を目指すことは、東証ETFと同じです。
コストの面では、東証ETFと同じ指数への連動を目指す海外ETFがある場合に、一部のETFでは海外ETFの方が保有時のコストが安いことがあります。
海外ETFには、東証ETFでは扱っていない株価指数などを対象としているものもあります。ただし、国内の証券会社では米国株式市場などに上場しているすべてのETFを買えるわけではありません。証券会社によって取り扱う商品は異なるので、注意が必要です。
海外ETFは外貨建てのため、為替差損の可能性や為替手数料がある
海外ETFは、米国株式市場に上場しているETFであれば米ドルで、香港株式市場であれば香港ドルで売買することになります。したがって、購入時には円をドルなどに換金する必要があり、換金時には為替手数料がかかります。
為替レートは常に変動します。ETFの価格が上がり、同時に円安が進めば、売却益だけでなく為替差益も得られます。一方で、ETFが値上がりしても円高が進めば、差し引きで損失が発生してしまうかもしれません。
海外の株式や債券などを投資対象とする東証ETFは、購入前に為替手数料がかからず、換金の手間なしに日本円で売買できる点において、海外ETFに対して優位性があるといえるでしょう。
また、米国株式市場に上場しているETFの場合、日本時間では深夜・早朝に当たる米国時間に合わせて取引することになります。東証ETFであれば、米国の株価指数への連動を目指すETFであっても、日本時間で取引できることがメリットです。
海外ETFの分配金は二重課税の対象となる可能性
ETFへの投資で得た収益にかかる税率は、特定口座および一般口座では、東証ETFも海外ETFも20.315%です。ただし海外ETFの分配金については、米国であれば10%が税金として現地で徴収され、差し引かれた分に対して日本で20.315%の税金が課される「二重課税」となってしまいます。
この二重課税を回避する仕組みが「外国税額控除」です。海外ETFの分配金への課税は控除の対象となり、確定申告を行うことで、米国で課税された分が還付金として戻ってきます。
ただし、NISA口座で海外ETFを取引している場合は、日本では非課税となるため二重課税には当たらず、外国税額控除の対象とはなりません。