大口投資家の皆様
Step.1 ETFとは?

東証ETFと海外ETFの違いって?

ETFには東証だけでなく、米国など海外の株式市場に上場しているETFもありますが、それぞれの特徴と違いとは?
\ お答えします /
  1. 東証ETFと違って、海外ETFはすべての証券会社で買えるわけではありません
  2. 海外資産に投資する場合、海外ETFの方が保有時のコストで有利な商品もあります
  3. 海外ETFは外貨建てで売買するので、売買時には為替手数料がかかり、為替差益・為替差損も発生します
  4. 海外ETFは現地時間での取引となります。米国ETFの場合、取引時間は日本の深夜・早朝に当たります
  5. 海外ETFの分配金は「二重課税」に注意が必要です

海外ETFの商品ラインアップは証券会社ごとに異なる

東証ETFと海外ETFの比較

※2024年3月時点
東証ETF 海外ETF
投資対象 複数の株式、債券、REITなど
銘柄数 約300(※) 証券会社により異なる
取引方法 取引時間 金融商品取引所の取引時間 米国など現地の取引時間
取引通貨 日本円 米ドル、香港ドルなどの現地通貨
取引場所 ほぼすべての証券会社 取り扱いのある証券会社
注文方法 指値注文・成行注文
信用取引 可能
(対応する銘柄は証券会社により異なる)
証券会社によっては可能
コスト 売買時の費用 国内株式の売買手数料
(証券会社により異なる)
外国株式の売買手数料、為替手数料
(証券会社により異なる)
保有時の費用 信託報酬 経費率
課税額 収益の20.315%
(NISA口座は非課税)
収益の20.315%
(NISA口座は非課税)
ただし、分配金が現地で課税対象となる場合がある
収益 売却益・分配金 売却益、分配金、為替差益
(円高時は為替差損)

ETFは1990年にカナダで誕生し、その市場は今も拡大を続けています。全世界のETFの運用資産残高は2023年8月時点で1,500兆円(10兆米ドル、1ドル=150円換算)を超えます。日本のETFの運用資産残高は2024年3月時点で約89.5兆円であり、海外ETFの方が圧倒的に市場規模は大きくなっています。

日本にも、米国をはじめとする海外のETFに投資できる証券会社があります。海外ETFも、1本で複数の株式や債券に投資できる投資信託の一種であり、その多くが既存の株価指数などへの連動を目指すことは、東証ETFと同じです。

コストの面では、東証ETFと同じ指数への連動を目指す海外ETFがある場合に、一部のETFでは海外ETFの方が保有時のコストが安いことがあります。

海外ETFには、東証ETFでは扱っていない株価指数などを対象としているものもあります。ただし、国内の証券会社では米国株式市場などに上場しているすべてのETFを買えるわけではありません。証券会社によって取り扱う商品は異なるので、注意が必要です。

海外ETFは外貨建てのため、為替差損の可能性や為替手数料がある

海外ETFは、米国株式市場に上場しているETFであれば米ドルで、香港株式市場であれば香港ドルで売買することになります。したがって、購入時には円をドルなどに換金する必要があり、換金時には為替手数料がかかります。

為替レートは常に変動します。ETFの価格が上がり、同時に円安が進めば、売却益だけでなく為替差益も得られます。一方で、ETFが値上がりしても円高が進めば、差し引きで損失が発生してしまうかもしれません。

海外の株式や債券などを投資対象とする東証ETFは、購入前に為替手数料がかからず、換金の手間なしに日本円で売買できる点において、海外ETFに対して優位性があるといえるでしょう。

また、米国株式市場に上場しているETFの場合、日本時間では深夜・早朝に当たる米国時間に合わせて取引することになります。東証ETFであれば、米国の株価指数への連動を目指すETFであっても、日本時間で取引できることがメリットです。

海外ETFの分配金は二重課税の対象となる可能性

ETFへの投資で得た収益にかかる税率は、特定口座および一般口座では、東証ETFも海外ETFも20.315%です。ただし海外ETFの分配金については、米国であれば10%が税金として現地で徴収され、差し引かれた分に対して日本で20.315%の税金が課される「二重課税」となってしまいます。

この二重課税を回避する仕組みが「外国税額控除」です。海外ETFの分配金への課税は控除の対象となり、確定申告を行うことで、米国で課税された分が還付金として戻ってきます。

ただし、NISA口座で海外ETFを取引している場合は、日本では非課税となるため二重課税には当たらず、外国税額控除の対象とはなりません。


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