ETFのリスクとは?
- ETFが投資対象とする株式や債券などの値動きに基づく価格変動リスクがあります
- 為替リスクやカントリーリスク、信用リスクも価格変動の要因となります
- ETF特有のリスクとして価格乖離リスク、流動性リスク、上場廃止リスクにも注意する必要があります
ETFは預金とは異なり、将来の利益が約束されているわけではありません。場合によっては元本割れを起こし、損失を抱えてしまう可能性もあります。
投資の世界では、価値が変動する不確実性のことを「リスク」と呼びます。ETFに投資する際は、どのようなリスクに注意べきなのでしょうか?
価格変動リスク
ETFは、複数の株式や債券を投資対象とする投資信託の一種です。株式や債券の価格は日々変動するため、ETFの価格も変動します。この価格変動リスクにより、思わぬ損失を抱えてしまう可能性があります。
ETFの投資対象によって価格変動リスクは異なります。特に「レバレッジ型」と呼ばれるETFでは、日々の値動きが連動する株価指数の2倍になるように設計されており、短期間で大きな利益を狙える反面、逆に大きな損失を抱えてしまう可能性もあります。
ETFの投資対象と価格変動リスクの傾向
※一般的な傾向を示したものであり、実際のETFの値動きは上記と異なる場合もあります
為替リスク
米国株式など海外の資産を投資対象とするETFの価格は、為替変動の影響を受けます。例えば米国のS&P500指数への連動を目指すETFの値動きは、S&P500と同じにはなりません。ドル/円の為替レートも加味して動くことになります。
したがって、たとえS&P500が上昇しても、同じ時期に円高ドル安が進めば、S&P500に連動するETFは値下がりしてしまう場合もあります。
なお、海外の資産を投資対象とするETFの中には、為替リスクの影響を抑える仕組みを備えた「為替ヘッジあり」のETFもあります。
カントリーリスク
投資対象国で財政危機や政変、戦争など重大な事件が起きた際に、ETFの価格が大きく下落することがあります。
信用リスク
ETFが投資対象とする株式や債券を発行する企業が破たんすると、ETFの価格が急落する可能性があります。個別銘柄と違ってETFは価値がゼロになることはありませんが、組み入れ銘柄数が少ないETFでは1銘柄当たりの影響が大きいので、注意が必要かもしれません。
価格乖離リスク
多くのETFは株価指数などに連動するように作られていますが、実際のETFの値動きは、指数と必ずしも一致するわけではありません。ETFに組み入れている株式などの売買コストや、信託報酬などのさまざまな要因により、指数を下回ってしまう場合があります。
価格乖離リスクにはもう1つ、ETFの基準価額と市場価格が乖離するリスクもあります。基準価額はETFの本来価値を示すものですが、市場価格は需要と供給の関係で変動するため、2つの価格が離れてしまう場合があります。
投資情報サイトなどで公開されているETFの「乖離率」が、基準価額と市場価格の価格乖離リスクの目安となります。
流動性リスク
ETFや株式などの取引が活発なさまを「流動性が高い」と言います。買いたい人と売りたい人が常にたくさんいるため、希望した価格で売買が成立しやすくなります。
逆に、流動性が低いETFでは、指値注文での取引がなかなか成立しなかったり、成行注文で想定より高い価格で買うことになったりと、希望した価格で売買できないことがあります。
上場廃止リスク
上記のカントリーリスクが発生した場合や、ETFの純資産総額が小さくなった場合など、運用の継続が難しいと判断されたときに、上場廃止となってETFが償還されることがあります。その時点で含み損を抱えていたETFは、損失が確定してしまいます。