株式市場が暴落したら、ETFは売った方がいい?
- 株価指数はこれまで上昇と下落を繰り返しながら、長期的に上昇してきました。今後も上昇を続けると考えるのであれば、暴落しても持ち続けるのが合理的です
- 1~2年後にまとまったお金が必要な場合は、暴落してからあわてて売るのを避けるために、先に売却しておく手もあります
- 暴落に耐えられず売ってしまいそうな方は、値動きが比較的小さい銘柄を選ぶか、投資に回すお金の割合を減らすといいでしょう
- 下落したからといって損切りするのではなく、安いときに買い増す手もあります
株価は上昇と下落を繰り返してきた
「ETFの価格が暴落したら、売った方がいいの?」という疑問について考える前に、過去の株式市場がどのような値動きをたどったのかを見ていきましょう。
日経平均株価とS&P500の推移(1999年12月末~2024年6月末、月次)
出所:大和アセットマネジメント
上の図は、日経平均株価と、米国を代表する株価指数であるS&P500の、1999年末から2024年6月末までの値動きです。世界的な金融危機が起きるたびに株価は上がったり下がったりを繰り返してきましたが、1999年末時点と比較すると、日経平均株価は大きく上昇しました。 S&P500も同様に、大きな下落局面を幾度も経験しながら、長期では成長してきました。
日本や米国に限らず、多くの主要国の株価指数は短期的に暴落があっても、長期的には上昇を続けてきました。今後も同じように上昇が続くとは限りませんが、これまで何十年も続いてきた実績を今後も信頼するのであれば、短期的な暴落に見舞われても、やがて価格が戻ることを期待してETFを持ち続けることは、1つの合理的な判断といえるでしょう。
お金が必要な時期が決まっている場合は、暴落前に売るのもあり
「ETFの価格が暴落したら、売った方がいいの?」……。1~2年後にまとまったお金が必要で、もともとETFを売却して換金する予定がある場合は、例えば「1年以内にETFの価格が○○円まで下がったら売却する」といったように、暴落に備えて損切りする基準を設けた方が良い場合もあります。ただし、数年のうちに換金する予定がない場合は、たとえ暴落しても、いつか上昇に転じるのを待ちながら、売らずに保有しておいてもいいでしょう。
まとまったお金が必要な時期があらかじめわかっている場合は、暴落してからあわてて売るのを避けるために、事前に値動きが小さい債券型のETFなどに乗り替えておくのも手です。
「どのくらいの下落であれば耐えられるか」を想定しておく
ETFに限らず、値動きのある金融商品を買う際には、「一時的にどのくらいの下落であれば耐えられるか」を事前に想定しておくことが大切です。
一時的であっても価格が3割以上減ってしまったら不安で耐えられず売ってしまいそうな場合は、例えば為替変動の影響も受ける外国株式型のETFを避けて、為替ヘッジありの外国株式型を選んだり、あるいは投資に回す金額を減らしたりすることなど考えた方がいいかもしれません。
暴落を安く買えるチャンスと見て買い増す手もある
「大きな暴落があっても、長い目で見れば株価は上昇すると信じている」という方は、暴落したときに余裕資金があれば、暴落を「安く買えるチャンス」とみなして、ETFを買い増すのも1つの手です。
株式の個別銘柄の場合、一度暴落した株価が長期的に戻らないこともありうるため、損切りの決断も必要な場合があります。一方、ETFは複数の株式などを投資対象としているため、たとえその中の1社が破綻しても、その他の企業の業績が回復し、再び成長軌道に乗れば、ETF全体としては長期的な成長が期待できます。