ETFを比較するときのチェックポイント
- ETFの連動対象が同じでも、信託報酬や最低売買価格、決算回数などが異なる場合があります
- 純資産総額や流動性、乖離率もチェックポイントです
- 投資情報サイトや証券会社のホームページなどで、ETFどうしの特徴を比較してみましょう
ETFには、連動対象が同じ銘柄が多くあります。連動を目指す資産・指数が同じなら、どの銘柄に投資しても結果は同じと思ってしまうかもしれませんが、実は銘柄によって様々な違いがあるのです。
連動対象が同じなら運用コストで差が出る
基本的なところでは、ETFを購入する際にはチェックが必要な「最低売買価格」は銘柄によって異なります。また、分配金が支払われるタイミングに関わってくる決算回数や決算の時期もそれぞれ異なることがあります。
信託報酬などの運用コストも、銘柄ごとに様々です。保有期間が長期化するほど、小さなコストの差が積み重なり、最終的な運用成果に響きます。特に連動対象が同じETF同士であれば本来の期待リターンは同水準のため、運用中ずっと支払うことになる信託報酬を中心に、コストの比較・検討は欠かさず行いたいところです。
信託報酬以外では純資産総額、出来高、乖離率を比較したい
ETFは信託報酬が安ければ優れているとは限りません。コスト以外にも、大切な比較ポイントがあります。
ETFの特徴を探る比較ポイント例
信託報酬 | 運用コストを比較! ・運用期間が長いほど、利益率を高めるために運用に係る信託報酬を抑えることが大事 ・信託報酬以外に監査費用などのコストがかかる可能性も。月次レポートや目論見書などで実質的なコストを要確認 |
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純資産総額 | 運用の安定性を比較! ・ETFの資産から負債などを除き、組み入れた有価証券などを時価で評価した金額。ETFの規模や時価を表す ・どれだけ投資家がそのETFに投資をしているかを示すため、人気のバロメーターとしても有用 ・純資産総額が小さいと、繰り上げ償還の可能性がある |
出来高(売買高) | 流動性を比較! ・取引所で株券などが売買された数量のこと ・出来高が多いほど、そのETFの取引が活発に行われている(=流動性が高い)と見なせるため、適切な価格で売買が成立しやすくなる |
乖離率(基準価額と連動対象指数との乖離) | 運用のうまさを比較! ・ETFの基準価額の変化率と、連動対象指数の変化率の差のこと ・差が大きいほど、意図する運用(指数通りの値動き)から乖離していることを示す。乖離率が大きくなりすぎると上場廃止の可能性もある |
例えば「純資産総額」。この数字が大きいほど運用の継続性が高いと言われます。運用規模が小さいETFだと非効率な運用になってしまったり、早期の運用終了(繰り上げ償還)となったりといったデメリットが考えられるので、他の条件が同じならなるべく純資産総額の大きな銘柄に投資すると安心でしょう。
また、ETFは刻々と変動する価格を見ながらリアルタイムで売買できるメリットがありますが、あまり活発に売買されていない銘柄の場合、想定内の価格で取引が成立しない可能性が高くなります。そこで、どれだけスムーズに売買ができるのかを表す「流動性」の比較も重要です。流動性の高低を比べるには、どれだけその銘柄が盛んに売買されているかを示す「出来高」に注目することをお勧めします。
「乖離率」も比較したいポイントです。ETFの乖離率には、「基準価額と連動対象指数の乖離率」と、「基準価額と市場価格の乖離率」の2種類がありますが、運用のうまさを示すのが「基準価額と連動対象指数の乖離率」です。
特定の指数への連動を目指すETFは、組み入れ銘柄を売買するタイミングや売買コスト、信託報酬などの要因で、ETFの値動きが指数を下回ることもあります。乖離率が小さいほど指数の値動きにより近い、「運用がうまいETF」ということができます。
投資情報サイトなどでETFを調べて、比較する
ETFの各種データは、証券会社のホームページやアプリ、東京証券取引所のホームページなどで調べることができます。サイトによっては、ETFの一覧を純資産総額や信託報酬、乖離率で並べ替えられるので、連動対象が同じETFを簡単に比較できます。
上記の比較ポイントの項目を参照しながら、ご自身にとってベストなETFを選んでみてください。