ツミレバ博士の「レバレッジ活用講座」

1時限目「常識を疑え!!」長期積立レバレッジ投資の可能性

「レバレッジ」とは「てこの力」を意味する言葉であり、手元にある資金よりも大きな資金を使った成果を得るための投資を「レバレッジ投資」という。レバレッジ投資は短期投資向きだ、長期では投資成果が劣化する、長期投資には向かない、これが資産運用業界の「常識」として考えられている。果たして本当にそうだろうか…どうやらツミレバ博士はそうは考えていない。

「常識を疑え!!」

ツミレバ博士と助手のレッジが、レバレッジを活用した長期投資の可能性に挑む!!

ツミレバ博士

さまざまな投資手法を分析している研究家、博士。最近は長期投資に有効な投資手法の分析に力を入れており、長期投資に有効なインデックスや積立投資の研究を行っている。「常識を疑え」が信条で、あまり注目されていない投資手法やインデックスを分析することも多く、業界内では少し風変わりに見られている。

レッジ(助手)

最近就職した新社会人、若者。博士の研究所の近所に住んでおり、小さいころから博士の研究室に出入りしている。そのせいか、博士からは助手扱いされていて、投資の分析などに毎回付き合っている。社会人になったことで最近投資に興味を持ち始めた。彼女はいない。

レバレッジ投資の怖さ

レバレッジ投資を恐れるレッジ


レッジ

やあ、博士、元気? 社会人になって給料入ってくるようになったから投資とかしたいんだけど、何か良い投資先知らない? やっぱり今なら米国ハイテク株とかかな?


博士

おー、レッジ!! よいところにきた!! ちょうど君のような若者にオススメの投資手法を発見したところじゃ!!


レッジ

なになに? どんなの?


博士

長期積立レバレッジ投資じゃ


レッジ

レ、レバレッジ!?  博士、さすがの僕でもレバレッジがやばいことぐらい知っているよ。ファンド(投資信託)でいえば、いわゆるブル・ベア型ってやつでしょ。日々の値動きが対象指数の○倍になることをめざすってやつ。


博士

そうじゃ。ちなみに、どんなところがやばいんじゃ?


レッジ

そりゃあもうやばいよ! まず値動きの大きさ!! だって日々の値動きが対象指数の2倍とか3倍とかなんでしょ!! 上がればいいけど、下がったら目も当てられないよ。しかも値動きの上下が続くと、時間とともにファンドの基準価額は下がるっていうじゃないか。完全に短期売買目的の商品でしょ。それで長期投資とかやばくない?


博士

ふむ、レッジの言うとおりレバレッジ投資はハイリスクな投資方法じゃ。次のグラフを見てくれ。

(博士)上記はあくまで過去の実績と結果を示したものじゃ。必ずしも将来の成果を示唆・保証するものではないぞ。

 


博士

さきほどレッジの言った米国ハイテク株を例に見てみよう。このグラフは米国ハイテク株の代表的な指数であるNASDAQ100指数(配当なし)と、日々の値動きがNASDAQ100指数の2倍の値動きになることをめざす米国上場ETF「Rydex Nasdaq 100 2X Strategy Fund」(以下、レバレッジETF)、それぞれに一括投資した場合のパフォーマンスを表しておる。NASDAQ100指数がシンプルにレバレッジなしのインデックス投資、レバレッジETFがレバレッジを2倍かけた投資ということじゃ。期間は当該ETFの設立日2000年6月から2020年12月までの約20年間、パフォーマンスは米ドルベース、投資金額は約7.4万ドルからスタートじゃ。

博士のワンポイント解説

NASDAQ100指数とは?
米国ナスダック市場の代表的な企業の株式で構成される株価指数のことで、アップルやアマゾン、マイクロソフトなど、NASDAQ100指数の構成銘柄には、誰もが聞いたことあるような市場の注目度が高い企業が多いんじゃ。一般的には米国ハイテク株の代表的な指数として語られることが多いが、人々の生活に浸透した製品・サービスを提供する企業から、ITやバイオテクノロジーなどの最先端技術を有する企業も構成銘柄には含まれていて、多種多様な企業で構成されておる。

そもそも「NASDAQ」って何?
正式名称は、「National Association of Securities Dealers Automated Quotations=NASDAQ」で、米国のベンチャー企業向け株式市場として有名じゃが、成長した後もナスダック市場に上場を続ける企業も多く、ニューヨーク証券取引所と並ぶアメリカの代表的な株式市場なんじゃ。


レッジ

約7.4万ドル? なんか中途半端じゃない?


博士

後でわかる。それよりも、どうじゃ、このグラフを見て?


レッジ

僕の思ったとおりだよ。2000年6月からだから、ちょうどITバブルの崩壊の株価下落局面で逆張り的に投資を始めたと仮定すればいいよね。レバレッジをかけていないインデックス投資はしばらく元本割れが続いたものの、足元の上昇相場で回復して、元本の約4倍になっている!! 一方レバレッジETFはひどいね。元本割れたまま20年以上経過…ほらね、これがレバレッジ投資の末路だよ。


博士

ふむ、確かにこのグラフを見ると、レバレッジ投資が長期投資に向いているなんて到底思えんわな。まあ、これがいわゆるレバレッジ投資の「常識」じゃ。


レッジ

しかし、米国ハイテク株の長期パフォーマンスはすごいね!! 元本約4倍かぁ…まとまったお金さえあれば投資したいけど、働き始めたばっかだし、そんなお金どこにもないしなぁ。


博士

そこじゃレッジ。まとまったお金のない人がレバレッジを活用するとどうなるか…レバレッジ投資に対する常識をくつがえしてみせよう!

長期積立レバレッジ投資の可能性

長期積立レバレッジを発見した博士


博士

投資はしてみたい、でも、まとまったお金がないというレッジにオススメなのが、長期積立投資じゃ。次のグラフを見てくれ。

(博士)上記はあくまで過去の実績と結果を示したものじゃ。必ずしも将来の成果を示唆・保証するものではないぞ。


博士

これは先ほどのNASDAQ100指数に一括投資した場合と、毎月300ドルずつ積立投資した場合のパフォーマンス比較じゃ。濃い青色の線が積立投資金額の推移で、うすい青色の線が一括投資した場合の投資金額の推移、灰色の線が毎月300ドルの積立分、つまり元本の推移じゃ。


レッジ

毎月300ドルの積立投資を20年とちょっと…そうか、300ドル×20年と7ヶ月、それで最初のグラフの一括投資は約7.4万ドルからスタートだったんだね。


博士
そういうことじゃ。

レッジ

てか、積立投資のほうがパフォーマンスやばいじゃん!! 一括投資は元本が約4倍に増えているけど、積立投資は約6.5倍!?


博士
さらに、次のグラフを見てくれ。

(博士)上記はあくまで過去の実績と結果を示したものじゃ。必ずしも将来の成果を示唆・保証するものではないぞ。

 

博士

これは先ほどのグラフに、レバレッジETFに一括投資した場合と、積立投資した場合を加えたんじゃ。


レッジ

うそでしょ? レバレッジETFに積立投資したケースがこの中で一番パフォーマンスいいだって? NASDAQ100指数に一括投資した場合よりもいいじゃん。元本約7.4万ドルが約87万ドルって、約11倍 !?


博士

このグラフはあくまで過去の実績を表したものに過ぎんし、グラフの右端を見ると分かるように、レバレッジを活用すると投資金額が大きく減少する局面もある。だが、私は、レバレッジの活用が長期の積立投資のツールとして有効活用できる可能性があると考えているんじゃ。レバレッジ投資は長期投資に適さないというイメージが、少し変わって見えないか?


レッジ

うん、確かにちょっとイメージ変わるかも。そもそも、レバレッジを活用して長期積立投資するなんて発想、頭に全くなかったよ。


博士

これが「常識を疑え」ということじゃ。


レッジ

「常識」ねぇ…でもなんでこんなことになるの? 何かカラクリがあるんでしょ? こんな結果だけ見せられても…どこか信じられないよ。


博士

もちろん。真っ当なカラクリがある。カラクリを紐解く鍵は、「時間分散効果」じゃ。


レッジ

時間分散効果? どういうこと??


博士

それはな…。

次回予告!!
長期積立とレバレッジの組み合わせ、そのパフォーマンス結果に戸惑うレッジ、博士が残した「時間分散効果」という言葉、果たしてそのカラクリとは?

次回、「長期積立レバレッジ投資のカラクリ!!」

 

【当記事に関連するファンドのご紹介】
>>NASDAQ100指数への連動をめざすインデックスファンド「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」の詳細はこちら。

>>NASDAQ100指数を対象としたレバレッジ型のファンド「iFreeレバレッジ NASDAQ100 」の詳細はこちら。

 

※ファンドのご購入にあたっては、「投資信託説明書(交付目論見書)」の内容をご確認ください。
>>「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」の交付目論見書の詳細はこちら。

>>「iFreeレバレッジ NASDAQ100 」の交付目論見書の詳細はこちら。

 

<使用した指数について>
NASDAQ100指数はNasdaq,Inc.の登録商標です。

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インベスタイムズ編集部

ライター

インベスタイムズ編集部

マジメに面白く考えることで投資への理解が深まる、そんなメディアをめざしています。

奈良裕己

イラストレーター

奈良裕己

イラストレーター・漫画家。雑誌・書籍・Web・テレビなどジャンルや媒体を問わず幅広く活動中。投資信託と株主優待目当ての株を数年放置中なので、そろそろちゃんと勉強して資産運用したいと考えている。単行本「いとしの印刷ボーイズ」(学研プラス)発売中。

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