JSR
不採算事業の撤退と
ガバナンス体制の進化
※エラストマー事業は、合成ゴム事業。JSR社の同事業は国内トップであり、S-SBR(溶液重合スチレン・ブタジエンゴム)を中心に高付加価値合成ゴムに強みを有する。しかし、グローバル競争も激化し、事業環境は厳しさを増していた。
課題
-
祖業であり
課題を抱える
エラストマー事業は
資本効率が悪く、
収益率が低い -
社長に権限が集中し、
痛みを伴う
意志決定に遅れ
提案内容
-
エラストマー事業
の構造改革
エンゲージメント実績と株価推移
2017年5月末〜2023年8月末
※主要実績のみ
❶ 社長との対話
- 大和
- エラストマー事業の低収益・高ボラティリティである点を問題点として指摘
- 会社
- 事業課題に対する認識は認め、対策は必要との認識が示されたが、S-SBR(※)は環境面で成長が期待できる事業として主張
※S-SBR(溶液重合スチレン・ブタジエンゴム)はエコタイヤ向け素材として環境への意識から燃費向上への要請が高まる中で、需要の成長に期待された。
❷ 社長との対話
- 大和
- S-SBRが資本コストを上回る利益が出ていない点を問題提起
- 会社
- 収益改善の必要性について認識しつつも、成長余地についても併せて言及
❸ CFOとの対話
- 大和
- 会社側は環境対応車向けタイヤの成長性に着目しているが、合成ゴム事業全体の成長性・収益性・環境負荷などの視点から検討すべきと提言。そのうえで、構造改革案について、当方のシナリオ分析結果を共有。
- 会社
- 抜本的な構造改革の必要性について理解が示された
❹ JSR社契約コンサルタントとの議論。
- 同社の依頼をうけて、構造改革案の策定に向けて、同社が契約したコンサルタントと議論
- 大和アセットマネジメントが策定した事業評価や改革シナリオ、企業価値試算の結果を共有
大和アセットマネジメントの提案も実案に組み込まれ構造改革は急激かつ大幅に進展
その後の会社側アクション
・エラストマー事業に
対する構造改革の
必要性について言及
・特別転進
支援施策などの公表
2020年9月
構造改革公表
ENEOSへの
エラストマー事業の
譲渡方針を発表
2021年5月
事業売却方針公表
産業革新機構による
公開買い付けが
公表された
2023年6月
TOB公表
エンゲージメントで使用した
ディスカッション・ペーパー(抜粋)
大和アセットマネジメントが策定した事業評価や改革シナリオ、企業価値試算に基づき、
構造改革の必要性や望ましい改革の内容について提案