無形資産価値に注目した
エンゲージメント
企業価値には、財務諸表に反映される財務価値と、財務諸表には反映されない非財務価値があり、
昨今、非財務価値とりわけ無形資産(知的財産、人的資本等)の割合が増加傾向にあるといわれています。
日本企業の企業価値に占める無形資産の割合は諸外国に比べて低いという分析があり(図表1参照)、
このような傾向がみられるのは日本企業の無形資産に関する開示や取り組みが不十分であるためと考えられます。
その観点から、市場において企業価値が適切に評価されるため、
あるいは企業価値を引き上げるために戦略的にエンゲージメントを行っていきます(図表2参照)。
知的財産の情報活用に
関する取り組み
責任ある投資家として「社会のサステナビリティとの関連性を踏まえた企業評価・投資判断」の重要性が増しています。
そこでの視点は、発想の大転換を伴うイノベーションによる競争環境の激変(ゲームチェンジ)も想定され、
企業がゲームチェンジを主導したり同期化したりできるかが重要となります。
その際、企業がこれまで積み上げてきた製造資本や財務資本以上に、
知財や研究開発力とこれを担う人的資本、そしてそれらが活躍する土壌である企業風土といった無形資産の重要性が高まると当社では考えます。
特許情報およびその活用度や戦略は、外部からみえにくいという特徴があることから、
当社では、「知財戦略対話」という目的対話・エンゲージメントを積極的に行っています。
同対話は、知財および研究開発部門の経営層を対象に、企業における知財部門の位置づけや特徴など基本的な情報を確認したうえで、
具体的事例に基づいて「知財戦略」を理解するよう取り組んでいます(図表3参照)。
知財についても企業価値評価や投資判断に組み込まれていく流れができると考えており、
当社としても適切な評価ができるよう研鑽を重ねていくとともに、
企業の知財を含む非財務価値の向上を通じた企業価値拡大を促していきたいと考えています。
活動紹介
公益社団法人 日本証券アナリスト協会が発行する証券アナリストジャーナル2023年10月号において、渡辺チーフ・アナリストが論文を寄稿しました。
「機関投資家による『知財戦略』評価とエンゲージメント」という表題で、機関投資家における「知財戦略」の評価の視点、企業と機関投資家の望ましいコミュニケーション、今後の「知財戦略」評価の展望について紹介しました。