議決権行使に
関する方針
金融・資本市場を通じて社会および経済の発展に資することを当社の企業理念として掲げており、議決権の行使はかかる目的に向けて非常に重要な役割を担っていると考えています。
そのため、当社の「議決権の行使に関する方針」について多くの方々に理解していただくべく、その詳細を公表しています。特に、投資先企業に賛否判断の理由を把握していただくことは、投資先企業との建設的な対話にも資するものと考えています。

議決権行使プロセス
投資先企業との建設的な対話を通じて得られた知見を反映し、以下のプロセスのもと議決権行使を行っています。
また、行使方針や結果をもって投資先企業と建設的な対話を行うことで相互理解を深め、投資先企業の価値向上に貢献していきます。

エスカレーション戦略
当社は投資先企業とのエンゲージメントと議決権行使を一体化して運営するよう努めています。
株主総会議案が議決権行使方針に抵触しない場合でも、企業との対話内容や行動等を受けて企業価値にマイナスに作用すると判断する際は株主総会議案に反対します。
加えて、議決権行使方針を機械的に適用すれば反対となる議案であっても、エンゲージメントの内容を受けて賛成する場合もあり、これらを含めて当社ではエスカレーション戦略と定義しています。
議決権行使方針を杓子定規に適用するのではなく、投資先企業との対話や議決権行使行動を通じて、企業価値向上に資する取り組みをサポートするよう心掛けています。
エスカレーション
戦略の事例
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G社
(機械) -
対話テーマ:
財務戦略・資本効率改善- 賛成
- 反対
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課題認識
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同社は潤沢な手元資金・自己資本を有しているにも関わらず、資金使途および目的が不明瞭なエクイティファイナンスを実施した。これを受けて株価は大幅に下落した。
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対話内容・企業側行動
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会社側は当該ファイナンスの目的を株式の流動性向上と説明し、資金使途についてはM&A・不動産取得・設備投資に充当する方針とした。現状の財務状況等を勘案すると、会社側の説明では納得できないことを当方は主張したものの、議論は平行線を辿った。その後、会社側は好業績により必要資金が確保できたとして新株予約権の一部買入れ・消却を行っている。
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議決権行使への反映
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当社の業績や表面的なガバナンス体制は当社の議決権行使に抵触しないものの、財務戦略について十分納得できる説明を得られなかったことを勘案し、財務戦略を担当する取締役の再任に反対することとした。
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H社
(繊維製品) -
対話テーマ:
事業構造改革・資本効率改善- 反対
- 賛成
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課題認識
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ブランディング戦略・海外事業戦略に課題があり、コスト構造・資本効率において改善余地が大きいと判断。マネジメント改革を含む抜本的な事業構造改革が、業績低迷局面からの脱却には必要である。
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対話内容・企業側行動
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数年前より、上述の課題認識に基づく企業変革エンゲージメントを実施してきた効果もあり、会社側は経営陣の入替え、経営改革およびバランスシート圧縮等に着手した。新年度まではリストラ関連費用等で厳しい業況を余儀なくされる見通しだが、すでに業績回復局面入りの兆しが見えつつあり、来年度以降は業績回復が期待できる。
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議決権行使への反映
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これまでの業績水準は、当社が設定する下限値を下回っており、議決権行使を適用すると、一部取締役の再任議案には反対が原則となる。しかしながら、エンゲージメントにより現経営陣による経営改革に相応の成果が見受けられ、今後さらなる改善が見込まれることを評価し、当該取締役の再任には賛成することとした。