【特別企画】みんなで投資について考えてみた

小学二年生にお金や投資について相談してみた

「もっと投資やお金が身近になるような企画を考えよう」

と、クリエイターさんたちで集まってブレスト会議をしたのが先日のこと。

その結果、「ポケモンカードがほしいけれどお小遣いが足りない…」という子供らしい悩みをきっかけにコーヒー屋さんを開業した筆者の息子と、「どうすれば子どもが“お金の勉強”に興味をもつか」というテーマで話をしてみることにしました。

なんだかんだ起業から1年経つ今もコーヒー屋さんを続けている息子からは、小学2年生ならではの奇抜なアイデアが。ところどころ調子に乗っているところもありますが、そこは小学2年生のご愛敬として、温かく見守っていただけたら幸いです。

ポケカ欲しさにコーヒー屋を始めて1年。いまだポケカを買わない理由とは…?

ねじ

今日は一緒に「お金」の話をしたいんだけど、そもそもさ、自分がなんでコーヒー屋さん始めたかって覚えてる?

息子

うん、最初はポケモンカード(以降「ポケカ」)買いたくて始めたの。

買いたかったやつが150円だったんだけど、40円くらい足りなかった。で、次のお小遣いで100円もらえるまでかなりあったから、父ちゃんに相談したんだよね?

夏なので、水分補給はこまめにお願いしています

ねじ

そうそう、で、どうやったら子どもでもおこづかい以外で稼げるか一緒に考える「おこづかい講座」を100円で開催して。

「ターゲット(父・母)の困りごと」×「小1でも頑張ればできること」の組み合わせでビジネスを考えた結果、「ちゃんと美味しいコーヒーをハンドドリップで淹れてくれるコーヒー屋さん」を始めたと。

最初、1,900円のコーヒー豆を買うために、父ちゃんから900円借金したよね(笑)。

息子

うん。お年玉貯金1000円も使い切っちゃったし、なんでそんなに高いのか意味がわかんなかったけど……最初はどんなコーヒーがいいか自分じゃわかんないから、父ちゃんに任せることにしたの。

「ターゲットが何をほしかがってるかが大事」って講座で勉強したし!

なんだかエラそうに語ってますが、1,900円と聞いたときは完全にビビり倒していました

ねじ

そこから、1,900円のコーヒーなら合計11杯くらい作れそうだから、1杯200円×11杯=2,200円で、300円の利益を目指そう…って一緒に設定したんだよね。

結局、どれくらいで黒字化したんだっけ?

息子

2カ月かな?

最初は豆をこぼしちゃったり作るの失敗しちゃったりして計画通りに売れなかったけど、「うまきなセット」がヒットしてからは、いい感じになった。

※「うまきなセット」…コーヒー(200円)に「うまい棒」と「きなこ棒」(それぞれ10円)がついてくるセットメニュー。値段は240円、利益は20円とやけにリアルな価格設定で攻めてくる息子。

ねじ

でも結局、ポケカ買いたくて始めたはずなのにいまだに買ってないよね

もう貯金1,000円くらいあるのに、なんで?

息子

まだまだ、ダメ!

今貯金1,000円でポケカ買ったら、お金を増やすためのお金がなくなっちゃうから

今買ったら1,000円ぶんしかポケカ買えないけど、コーヒーを仕入れて売り続けていけば、もっとたくさん買えるようになるでしょ?

「買うためのお金」とはべつに、「稼ぐためのお金」を確保しておきたいらしい

息子

それに今は、世界のいろんなコーヒー豆を買いたいの。お客さんが知らないコーヒーを出したいの。

ポケカは、貯金に余裕が生まれてからにしようかな。

コーヒー屋やるまでは、お金が貯まったらすぐ買ってたんだけど、今は「もうちょっと頑張ってみっか」って思うんだよね。

ねじ

すごいね……。(こいつ、「金持ち父さん」みたいなこと言い始めたな)

お金を稼ぐだけだったら大した成長はないんだけど、新しいコーヒー豆に興味が湧いたり、数字に強くなったりとか、じつは君は自分が思ってる以上にレベルアップをしてると思うよ。

小2起業家が語る「お金」の価値観

ねじ

コーヒー屋さんやってみて、他にも何か「お金」について考え方変わったりした?

息子

うーん、おもちゃとかもそうだけど、買ってもらって楽しむより、自分でお金を使って楽しむほうが、意外となんか、楽しくなったりする

苦労するけど、そのぶんよくなっていく感じ。

ふつうにお小遣いをもらって貯金していくよりは苦労するけど、どうやったら増えるんだろうって考えて頑張るほうが、楽しい

息子

あとね、お金っていろんなことに活用できるのが楽しいって思った。

ねじ

ん、どういうこと?

息子

お金って使い方によって、「消費」にも、「浪費」にも、「投資」にもなるって勉強したじゃん? ただ使うのと、ムダになっちゃうのと、あとでちょっといいことがあるやつ。

お金をどう活用するか考えるのって楽しいなって、コーヒー屋をやってみて思った。

ここで、小2の集中力に一度限界が。ちょっぴり休憩して、また再開です

ねじ

そういう話って、学校の友達とはしないの? 「投資とはさあ」、みたいな。

息子

しない、しない!(笑)

ねじ

じゃあさ、同級生のみんながお金の楽しさに気づけるような“遊び”とか、”ことわざ”を考えてみない?

ことわざってわかる?

息子

「サルも木から落ちる」、「イヌも歩けば棒に当たる」、「木に登ってサカナを釣る」…

ねじ

まあ最後のは知らんけど、お金のことが学べることわざってあんまりない気がするんだよね。

これ考えてみようよ。

息子

お金のことわざ…父ちゃんも一緒に考えて!

しばしシンキングタイム。どんなアイデアが出るかな?

ねじ

お金は薬にも毒にもなるからな…むずかしいなこれ。

息子

勉強もいかせば投資になる」……とか? 違う?

ねじ

いや……悪くないと思う。

「ふだん無駄に思えるものも、見方を変えれば価値が変わる」みたいな話だよね? そのメッセージ自体は最高な気がする。

なんか「サル」とか他のものにたとえたら、もっとことわざっぽくなるかもね。

息子

あっ……じゃあ、ハイ!

ビシッ

息子

石もがんばりゃ金(きん)になる」!

ねじ

お、おおおお……!? いいんじゃん!?

「石」が「金(きん)」になるってめちゃくちゃ投資っぽいし、「金」って「かね」とも読むし、なんかそのことわざ普通にありそうだぞ!

ちなみに、その心は?

息子

そこらへんに落ちてるただの石ころでも、金くらいの価値になることもあるってこと。

ねじ

いやお前それ、投資の本質ついてるわ

みんなが「ここに金があるから掘ろう!」って、一か所に集まると、みんなが金を手に入れちゃってあんまり貴重じゃなくなるんだよ。

だから、「頑張って磨いたら売れるようになる石ころがそのへんに転がってるかもしれない」って視点をもつのは、ホントの投資の世界でもめちゃくちゃ大切なの。株式投資とか…わからんか、カブシキトウシ。

息子

うん、カブト…。

たぶん今はカブトムシを想像してますが、ナイスなことわざがでてきて父ちゃんはうれしいです

ねじ

でも、君が買ってるコーヒーも小学2年生からしたらふつうは「石ころ」だろうし、そのことわざなら友達にも「お金の使い方を考える面白さ」を伝えられるかもね。

いやあ、今のは「かいしんのいちげき」だぞ、息子よ。

小2と考える”お金の勉強”①身近なもので「お金」の経験値を積む

ねじ

じゃあ今度は、子どもが「お金の勉強」をするとしたら、どんなふうに勉強すればいいと思う?

息子

子どもがお金の勉強かあ……。

ねじ

たとえば今ってさ、カードとかスマホで会計できたりするじゃん?

それをもっと子どもにとって身近な、簡単なものにしたらいいんじゃないかなって思うんだけど。たとえばマリオとか?

息子

マリオ、マリオ…あっ思いついた!

ゲームってコインとかよく出てくるじゃん。そのゲームで稼いだお金を見せれば、ほんもののお金がもらえたり、お店でものが買えたりするの。どう?

ねじ

それもう、ほぼビットコインと同じ発想だ。お前すごいな……。

子どもが使える仮想通貨。めちゃくちゃありだよ、それ。

息子

集めるだけで使えないんだよな~、マリオのお金。使えないなら意味ないもん。

ねじ

たしかに、マリオで稼いだお金をドラクエとか他のゲームでも使えるようにすれば、子どもにとっても自然と「稼ぐ」と「使う」の勉強になるだろうし……

ニンテンドーコイン、ほんとに面白いかもな。

息子

あっあと、学校のテスト用紙がそのままお札になるとかどう?

100点だったら100円のものが買える、みたいな。

ねじ

おお、勉強とつなげるのも面白いね。

お札に問題が載ってるとかもいいかも。1円玉には簡単な問題、1万円には難しい問題が書いてあるとか。

お金自体でお金の勉強ができる「ラーニングマネー」って、ありかもね。

小2と考える”お金の勉強”②「一緒に稼いで興味をもってもらう」

ねじ

でも、子供だからこそ思いつくこともあってさ、大人からすると「今小学生で何が流行ってるのか」って、お金払ってでも知りたいくらい、すげー面白いんだよ。

任天堂とかタカラトミーとか、小学生が何を考えてるのか知りたがってる大人ってたくさんいると思うワケ。たぶん、子どもが何してるかって情報は、お金になると思うんだよね。

息子

日記とか自由研究を売るってこと?

ねじ

そうそう、それいいじゃん!

今は宿題出しても先生が「よかったですね」って評価するだけで終わっちゃうけど、「自由研究×クラウドファンディング」とかいいんじゃない!?

自由研究やる前に「こういうこと研究します!」って発表して、楽しそうって思ってくれた大人たちからお金をもらって、豪勢な研究をするの。

息子

それ、よさそうだね!

子どもだけでやるより、もっとすごいものが作れるってことでしょ?

ねじ

そう。ものを作るタイミングで、もうお金がもらえちゃうの。

4年生くらいになったらやってみようか。

息子

うん、じゃあさ、それさ、2学期になったら先生に伝えてみるね。

これからは自由研究は、クラウドファンディングにしたらどうですか?」って。

ねじ

それたぶん生意気すぎて怒られるやつだから、まずは父ちゃんたちだけで勝手にやろう!(笑)

楽しいブレストでした。長時間、お疲れさま!

お金の勉強は、探求学習。いろんな世界へ興味の入り口になる

「お金」のことを子供に教えるのって、なんだか悪いイメージもあったり、自分もよく分かってるわけではないし、どう教えたらいいのか難しいです。

でも遊びを兼ねて子供に起業家ごっこをさせてみたら、結果的に子供は「もっと世界のコーヒー豆を集めたい」とか「カフェで店員さんがどうやってコーヒー淹れてるか」とか「家に店の看板をつくりたい」とか、お金以外のいろんなそっちの興味がすごく広がりました

お金の勉強というより、もっと広い意味での「投資・消費・浪費」の勉強は、結果的にいろんな世界への興味の入り口になるんだなと、子供を見ていて分かりました。

そして今回、子供と一緒に「お金や投資についてのブレスト」をしてみて、子供フィルターで見たお金の世界は、いろんな可能性があると思いました。それは子供と話したからこそ出てきた視点といえます。大人にとっても、こういう試みを通じて勉強になることはあるのかもしれません。

令和に誕生した、お金の新ことわざ「石もがんばりゃ 金(きん)になる」をはじめ、「ニンテンドーコイン」や「ラーニングマネー」、「自由研究×クラウドファンディング」など、いろんなアイデアが出ましたが、これからも息子と一緒に「お金」について考えたり、遊んだりしていきたいと思います!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

・当記事は投資啓蒙を目的に作成したものであり、大和投資信託では個別の投資相談は承っておりません。
・当記事に掲載の情報は、すべて執筆者および取材対象者の個人的見解であり、大和投資信託の見解を示すものではありません。

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佐藤ねじ

佐藤ねじ

1982年生まれ。プランナー。/アートディレクター。Blue Puddle Inc.代表。「アナログデジタルボドゲ」「CODE COFFEE」「変なWEBメディア」「5歳児が値段を決める美術館」「Kocri」「貞子3D2」など、様々なコンテンツを量産中。著書に『超ノート術』(日経BP社)