前回、「日本株VS先進国株」の対戦で勝利した先進国株、その人気を裏付ける実力を発揮して日本株を圧倒しました。これでもう資産形成は先進国株に決まり? いやいやちょっと待てと、忘れていないか、先進国と対を成す存在があることを!
そうです! 今回の対戦で注目する資産は、「新興国株」! 注目が集まる先進国株がその実力を示した一方、果たして新興国の実力は如何ほどか!?
ROUND3、先進国株と新興国株の対決スタートです!
本日の対戦カードについて
みなさんこんにちは!! IWABの実況を担当する岩淵汗人です!! そしてこちらは解説担当のミスターTです!!
どうも。よろしくですじゃ。
本日の対戦カードは先進国株と新興国株! いやぁ、この対決も見たかったんですよね。積立投資界隈では「先進国株! 先進国株!」と人気が高いイメージがありますが、一方で、新興国株ってどうなの? って思っていたんです。ミスターT、そもそも新興国株とはどんな資産なのでしょうか?
新興国とは、ブラジルやロシア、中国、インドと言ったかつてはBRICs(ブリックス)と呼ばれた国々からメキシコや南アフリカといった国などたくさんの国があり、先進国と比較して高い経済成長が期待されている国々が多く集まっておるんじゃ。
つまり、新興国株とは、高い成長が期待されている国々の企業の詰め合わせと言えよう。
なるほど! イメージできました! それでは、選手の準備ができたようです。選手入場です!
先進国株と新興国株、選手紹介!!
さあ! 実現しました! 先進国株と新興国株の対決! 堅牢な印象のある先進国株キャラとは対照的に、今にも羽ばたきそうな新興国株キャラ!
(以前は勢い良く飛び回れていた新興国株じゃが、未曾有の金融ショックであるリーマンショックによって叩き落とされてしまったんじゃのう…)
ミスターT! 先進国株と新興国株のパフォーマンス計測は何を指標にしましょうか?
ふむ、先進国株は前回同様MSCIコクサイ指数、新興国株は同じシリーズのMSCIエマージング指数を使おう。
両指数とも、MSCI という米国の指数算出会社が開発した株価指数ですね。それではルールの説明に入りましょう。
ルール説明
それではルールの説明です! ミスターT、お願いします!
ふむ、ルールは前回同様、各資産へ毎月3万円、約20年にわたって積立投資(円ベース)した結果、「パフォーマンスが良い=積立投資の評価額が大きい」のはどちらの資産か、2つの資産の長期にわたるバトルを見てみよう。
ありがとうございます! それでは、いよいよバトル開始です!
先進国株と新興国株のパフォーマンス
さあ! 結果が出ました! 先進国株の評価額は約1,510万円! 一方、新興国株は約1,580万円! 結果は新興国株の勝利です。しかし、その差はほんとわずか! これはどう見たらいいんでしょうか?
ふむ、似たような結果になったとは言え、両資産の値動きの推移は同じではない。新興国株のほうが、評価額の推移が激しく見えんか?
確かに! 特に2005年から2008年にかけては大きく上昇した後、大きく下落しています!
2008年に起こったリーマンショックの前と後で状況が一変したんじゃ。それまでは高い成長期待から投資マネーが流入し、新興国株は破竹の勢いで上昇を続けた。しかし、リーマンショックによって一気に投資マネーが引っ込み、大幅な下落となった。次のグラフを見てくれ。
両資産のリーマンショック前の高値とリーマンショック後での積立評価額の変化を示しておる。
先進国株も新興国株も、リーマンショック前後で積立評価額は半分以下になっているんですね…。でも、金額ベースで見ると新興国株の方がマイナス約740万円と、先進国株のマイナス約300万円と比べて大きく減少していますね。
そう、新興国株の方が評価額の振れ幅が大きい、そこが重要なポイントじゃ!これはな、先進国株と比較して新興国株の方が「リスクが大きい」と言うことじゃ。
投資の世界で「リスク」が大きいと言うのは、大きく上昇する可能性もあるが、大きく下落する可能性もある、ということなんじゃ。
なるほど、「リスク」は「値動きの振れ幅」であり、新興国株は先進国株よりも「リスク」が大きいという特徴があるのですね。
大きな上昇を期待して新興国株を選ぶならば、大きな下落も想定しなければいけない、ということですか…。
そういうことじゃ。積立投資の結果も重要じゃが、こういった資産の値動きの特徴をしっかりと考慮することも投資先を選定する時には非常に重要なんじゃ。
なるほど! 投資先を選ぶにあたって大切なポイントを押さえたところで本日はおしまいです。次回は人気資産同士の対決、先進国株と米国株の対決をお届けします!お楽しみに!
第4回「先進国株VS米国株」はコチラ!
※使用した指数について
・MSCIコクサイ指数およびMSCIエマージング指数に関する著作権、知的財産権その他一切の権利はMSCI Inc.に帰属します。
この記事の連載を読む
IWAB インベス・ワールド・アセット・バトル!! ~長期投資向き資産、頂上決戦!!~
イラストレーター・漫画家。雑誌・書籍・Web・テレビなどジャンルや媒体を問わず幅広く活動中。投資信託と株主優待目当ての株を数年放置中なので、そろそろちゃんと勉強して資産運用したいと考えている。単行本「いとしの印刷ボーイズ」(学研プラス)発売中。
格闘技を専門とする30代半ばの実況アナウンサー。妻子持ち。格闘技の観戦はもちろん、自らも総合格闘技のジムへ通うほど格闘技への熱が高い。解説のミスターTとはジムの顔見知り。最近は資産形成への熱が高い。