ETF投資、早速やってみたいんですけど、いろんな銘柄の種類があって迷っちゃうんですよね。
そうですよね。東京証券取引所では約300銘柄のETFが取引されています。ETFには、国内株式指数に連動する商品以外にも、外国株式や債券、原油、金など、さまざまな種類があるんですよ。
原油に金まで!? 株式だけじゃないんだ!
そう、いろいろあるんです。でも大丈夫! 選び方のポイントを押さえるだけで、グッと選びやすくなりますよ。重要なのはそれが「何に」投資するものなのか、そして「どこに」投資するものなのかの組み合わせで考えること。
どういうことですか…?
「何に」というのは投資する商品のこと。「どこに」というのは、その商品を提供している国のこと。たとえば、「何に=株式」、「どこに=日本」であれば、日本企業の株に投資するETFになります。同じように、「何に=債券」、「どこに=アメリカ」であれば、アメリカの国債や社債に投資するETFになるんです。
なるほど。「何に」「どこに」の2つを軸に考えると、選択肢が絞りやすくなりそう!
あとは代表的な商品から選ぶという手もあります。初心者がまずは押さえておきたいETFは以下の4つです。
①日本の株価指数に連動するETF(日経225、TOPIXなど)
②米国の株価指数に連動するETF(S&P500など)
③高配当株にまとめて投資するETF
④REITにまとめて投資するETF
特に「まずは定番の銘柄に投資したい」「情報が得やすく、値動きを把握しやすい銘柄がいい」という方に向いているのが、①と②ですね。
「日経225」はニュースで聞いたことがあります!
「日経225」は、日本経済新聞社が選んだ日本の代表的な会社225社の平均株価をもとにした指数です。日経平均株価とも言いますね。「TOPIX(東証株価指数)」は東京証券取引所に上場している銘柄を広く網羅し、一定の計算方法によって指数化したもの。日経225よりも、日本株式市場全体の動きを反映しやすいのが特徴です。
「S&P500」というのはなんですか?
「S&P500」は、Googleの親会社アルファベットやAppleなど、みんながよく知っているアメリカ企業500社の時価総額を加重平均して指数化したものです。このような数値は、毎日のニュースでも取り上げられるぐらい身近なものですし、実際に初心者の方でこれらの商品から始める人は多いですよ。
③の「高配当株にまとめて投資するETF」はどういうものですか?
高配当株は、株価に対して高い配当金が得られる企業の株式のこと。「配当金がたくさんもらえる会社に投資したい」「投資で定期的に収入がほしい」という人向きですね。高配当株の中には、年間の配当金の割合が4%を超える銘柄もあるんですよ。
4%ってことは10万円投資したら、4,000円もらえるってことですよね…? それは魅力的かも!
でも、高配当株にもリスクがあるんです。たとえば企業の業績が悪くなると、配当金が減ってしまう可能性があります。場合によっては配当を出さなくなる企業も…。
うーん、なるほど…。それなりのリスクもあるということですね。
その通りです。ちなみに、これらのリスクを抑えるために複数の高配当株に分散投資をしようとすると、数百万円といった高額の元手も必要になってきます。ETFなら1つの銘柄に投資することでいろんな高配当株にまとめて投資ができるんですよ。
最後の④「REITにまとめて投資するETF」はどういうものですか?
「REIT(リート)」は、オフィスビルや商業施設、倉庫などの不動産に投資して、そこからの賃料(家賃)収入を投資家に還元する仕組みの金融商品です。「REIT ETF」は、複数あるREITにまとめて投資するため、「不動産に投資したい」「株式や債券とは違った資産に投資してみたい」という人に向いています。
ETFって、不動産にも投資できるんですね!
そうなんです。マンションなどの不動産を買ったり、人に貸したりするにはまとまったお金が必要ですよね。また、管理や手続きが面倒なこともあります。でも、REITだとそういったお金や手間をかけずに、少額から不動産に投資できるので根強い人気があるんですよ。
ETFって、本当にいろんな選択肢があるんですね。私は、せっかくなら最初は日本に馴染みのある商品にしてみようかな。日本企業の株なら、ニュースやトレンドを見る目がもっと変わってきそうだし。
それじゃあ早速、このあいだスマホに入れた証券会社のアプリで、ETF投資にチャレンジしてみようと思います!
最初は、アプリ画面から購入したい商品名を入力してみましょう。希望の商品名を選択すると、その銘柄の詳細を見ることができますよ。
商品名をタップしたら、グラフと数字が書かれたページが出てきました!
このグラフは「チャート」と言って、この商品の株価の推移をグラフ化したものです。チャートを見ると、過去の値動きがわかるので、今後の値動きを考える上で参考になりますよ。
へぇ〜面白い。グラフの期間が1日から5年まで選択できるのもいいですね。ちなみに小林さんはどのくらいの期間の値動きを参考にしていますか?
3〜5年は絶対見ていますね。たとえば、2008年のリーマン・ショックでは株価が大きく下がったんですけど、5年くらい経つと元の水準まで戻ってきました。日経平均も先日、史上最高値を更新しましたし、やっぱり長い目で値動きをチェックしておくことは大事です。
なるほど。私もチャートをじっくり見て、目先の動きにとらわれないようにしないと! ん? 画面下の「株式を売買する」をタップすると、数字がオレンジ色と緑色になっている画面が出てきました…。
これは「板情報」と言って、どれくらいの人がいくらでその株を売買したいかを知るのに役立ちます。真ん中に並んでいる数字が価格で、右側の数字がその価格で買いたいと言っている数量(株数)、左側の数字がその価格で売りたいと言っている数量(株数)を表しています。たとえば今、マーシュさんがこの株を買いたいと思ったら、「4,175円で45,364株まで買うことができる」ということがわかります。
そんなふうに見るんですね! 「購入価格を指定しますか?」のところにある「成行」と「指値」ってなんですか?
指値(さしね)注文とは、買う値段を自分で指定して注文する方法です。たとえば現在1株1,000円の株を、800円以下で10株買いたいときは、800円の指値で10株注文します。
なるほど、自分で「指定」するから「指値」って言うんですね!
反対に、成行(なりゆき)注文は、値段を指定しない注文方法です。取引時間中に成行の買い注文を出すと、そのとき売りたいと言っている注文の中で一番低い価格で、通常はすぐに注文が成立します。早く確実に売買したいときによく使われますね。
すぐにでもETFを買ってみたいので、今回は成行注文に挑戦してみたいです! まずは10万円から始めてみようと思います!
最初はそのくらいの金額から始めてみるのもいいと思います。初心者がいきなり100万円とか大きい額で始めると、値下がりしたときのショックも大きくなってしまいがちですから。
たしかに。10万円なら、5%値下がりしてもマイナス5,000円で済みますもんね。それなら私にとってはまだ許容範囲かな。
マーシュさんも考え方が投資家らしくなってきましたね! 買付画面が表示されたら、次は価格、数量などを入力し注文です。
えーっと、私が買いたい銘柄の株価が3,900円になっているので、10万円の予算だったら、25株は注文できるってことですか?
市場の変動によって、最終的な約定(やくじょう)価格は変わってくるので、もうちょっと少なめに注文を出したほうが安心かもしれませんね。
やくじょう…ってなんですか?
「約定」とは株式取引の売買が成立することです。ETFはリアルタイムで取引する商品なので、たくさん注文してもそれに応えてくれる投資家がその時点でいないと取引が成立しないんですよ。
そうなんですね! じゃあ、いったん21株ぐらいにしておこうかな。最後に暗証番号を入力して、注文っと。
「注文を受け付けました」という画面になりました! ちゃんと約定できたかな…?
注文結果を見たいときは、マイメニューから、「注文内容の詳細」を確認するといいですよ。
やったー!! 全部、約定になっています! 最終的に、21株約定して、82,005円の取引になりました。
ETF投資デビューおめでとうございます! 実際にやってみてどうでしたか?
思ってたより簡単でびっくりでした! 聞き慣れない言葉も、一回やってみると頭に入ってきますね。操作もシンプルだったので、次回からはもっとスムーズに取引できると思います。
それはよかった! 短期的な値動きに振り回されるのはよくないけど、日々のニュースや世の中の出来事と、株価がどう連動するかなどをチェックする習慣をつけると、投資がもっと面白くなってきますよ。しばらくしたら結果を見てみましょう!
とっても楽しみです! どうなっているかドキドキワクワクですね。
小林さんのサポートもあって、無事ETF投資デビューをはたしたマーシュさん。最終回となる第5回は、マーシュ彩さんによるETF投資のリアルな運用結果を大公開! 小林亮平さんによる運用結果の分析や今後のアドバイスもあわせて紹介します。
次回もお楽しみに!
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