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ETFの種類と選び方をわかりやすく解説!

新NISAで新たに設けられた成長投資枠における投資先として取引所でリアルタイムに分散投資ができるETFが注目されています。ETFには多くの種類があり、国内に上場されているETFは約300銘柄にも及びます。具体的には、日経平均株価やTOPIXといった国内株価指数に連動する商品をはじめ、外国株式や債券、REIT、コモディティに投資できるものなどがあります。本記事では、数あるETFの中から自分に合った銘柄を見つけていただくためのポイントについてわかりやすくお伝えします。

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この記事の目次

「対象資産」と「対象地域」との組み合わせで整理する

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ETFへの投資をはじめる前に、まずはどのような種類のETFがあり、それぞれどのような特徴があるのかを知った上で、自分の投資目的や投資スタイルにあった銘柄を選ぶことをおすすめします。ETFの種類は、そのETFが“どの資産”に投資するものなのか、また、“どこの国や地域”に投資するものなのかの組み合わせで考えると整理がしやすくなります。

例えば、どの資産=株式、どこの国や地域=日本であれば、日本の株式に投資するETFとなり、日経平均株価やTOPIXに連動する代表的な銘柄や高配当株に分散投資する銘柄、特定の業種に分散投資する銘柄などがあります。同様に、どの資産=債券、どこの国や地域=米国であれば米国の国債や社債に投資するETF、どの資産=REIT(不動産)、どこの地域=先進国であれば先進国のREITに投資するETFといった具合です。また、ETF自体の値動きが対象資産の値動きの2倍変動するレバレッジ型や逆の方向に変動するインバース型など、短期間での収益を追求するタイプの銘柄もあります。このように様々な種類のETFがある中で、自分にあった銘柄を見つけていただくために、投資目的や投資スタイルといった切り口から、それぞれのおすすめのETFをご紹介します。

投資したい国や地域が決まっている人 ~ 国や地域の代表的株価指数に連動するETF

“日本企業の底力や日本経済の復活に期待している”、“米国経済のダイナミズムを捉えたい”、“新興国の今後の経済成長を享受したい”など、投資したい国や地域が決まっている人は、その国や地域の株式市場全体の値動きをとらえる株価指数に連動するETFが良いでしょう。

例えば、日経平均やTOPIXは、日本の株式市場を構成する広範な銘柄の株価をもとに算出された指数で、これら指数の数値は毎日ニュースなどでも取り上げられ、どのような要因で株価が上下したのかといったことも把握がしやすいです。そのため、これら指数との連動を目指すETFは投資初心者でも馴染みやすい銘柄と言えます。米国の代表的な株価指数としては、NYダウ平均やS&P500なども有名です。

海外資産に投資するETFを検討する際には、カントリーリスク(投資対象の国や地域における政治・経済情勢によって大きく価格が変動する可能性)や、為替リスク(為替相場の変動によって円建ての金額が大きく変動する可能性)にも注意が必要です。為替リスクを避けたい場合は、為替リスクを抑制する「為替ヘッジあり」の銘柄を選ぶのも一つの方法です。

特定の成長分野に投資したい人 ~ 業種やテーマに沿って選定された企業に投資するETF

特定の国や地域から、さらに投資先を絞り込みたい人には特定の成長分野への投資という選択肢もあります。ETFには、投資先の選定に一定のテーマ性を持たせたものがあります。こういったテーマ型ETFは特定のテーマに絞った企業へ投資することで、市場全体へ投資するよりも高いリターンを狙える可能性があります。しかし、これらETFは市場全体の値動きをとらえる代表的な株価指数に連動するタイプのETFよりも費用が高めである点や、投資対象を特定の企業に限定することから値動きが大きくなることもあります。

テーマ型ETFの例としては、日本を代表する価値創造力を持つ企業150社に投資するJPXプライム150指数ETFや、ESG評価に優れた企業に投資するETFなどがあげられます。また、投資先を銀行の株式や電気機器メーカーの株式など特定の業種に絞ったETFもあります。ほかにも、米国の半導体関連事業を行なう企業へ投資するものなど海外に目を向けたテーマ型ETFもあります。

定期的な収入を得たい人 ~ 利回りが高い株式や債券に投資するETF

投資によって定期的に収入を得たい人には、分配金利回りの高い(投資金額に対して支払われる分配金の割合が高い)ETFが選択肢となるでしょう。

配当利回りの高い株式に投資する高配当株ETF

高配当株とは、株価に対して高い配当金が得られる企業の株式を指します。高配当株の指標として用いられる「配当利回り」は「1株当たり配当金÷株価」で算出され、高配当株の中には配当利回りが4%を超える銘柄もあります。一方、高配当株にはリスクもあります。

例えば、企業は利益の一部を配当として株主に還元するため、業績が悪化すれば配当の減額につながる可能性があります。また、高配当株の中には、業績悪化を見越して株価が下落したことで配当利回りが高くなっている銘柄もあります。そのため投資家は、高配当株を選ぶ際に減配につながる要因を見定める必要があります。また、これらリスクを抑えるために複数の高配当株に分散投資をしようとすると数百万円といった元手が必要になってきます。

高配当株ETFは、高い配当利回りが期待できる複数の銘柄に投資するため、ETF1銘柄への少額投資で複数の高配当株への分散投資が可能になります。ETFが投資する高配当株の配当金は、ETFの分配金として受け取ることができます。

外国債券に投資するETF

外国債券に投資するETFの分配金利回りが高くなる理由は、外国債券に投資することで日本より高い外国の金利を享受することができるからです。ただし、金利が高い債券は信用リスクも高くなる傾向があるため、ETFを選ぶ際には投資する国や地域の金利の高さだけでなく、その国や地域の情勢や財務状況なども確認しておきましょう。 また、債券ETFへの投資には、通常の債券投資とは異なり償還がないため、元本割れの可能性があります。そのことを理解した上で投資判断をしましょう。

不動産投資に関心がある人 ~ REITに投資するETF

先ほど記載した高配当ETFや外国債券ETFのように、定期的な収入が期待できるものとしてREIT(リート) ETFがあります。REITとは、投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、物流倉庫など複数の不動産を持ち、そこから得られる賃料や、所有する不動産を売却した際に得られる利益などからコストを差し引いた残りの利益を投資家に分配する金融商品であり、取引所に上場しています。そのため、不動産投資に関心があるものの、マンションなどを所有したり人に貸したりするにはまとまった資金が必要で管理や手続きが煩雑で面倒だという方にも、少額からでも不動産を間接的に所有することができ、その管理を不動産のプロに任すことができるREITは根強い人気があります。

株式にとっての配当のように、REITも分配金を出し、分配金利回りが4%を超える銘柄もあります。しかし、株式同様、REITにも減配リスクがあり、それを見定めるには手間や労力がかかります。REITにも複数の銘柄に分散投資できるETFが存在し、こちらも少額での購入ができ大変人気があります。また、海外の不動産を所有、管理するREITに分散投資するREIT ETFもあり、個人では所有、管理することが困難な海外の不動産を、ETFを通じて間接的に所有することもできます。

短期間で効率的に収益を追求したい人 ~ レバレッジタイプのETF

短期間で効率的に収益を追求したい投資中級者以上の人には、ETF自体の値動きが投資対象の値動きの2倍変動するレバレッジタイプのETFもあります。

レバレッジとは、「てこの原理」を意味し、小さな力で大きなものを動かす仕組みのことを指します。投資対象を日経平均株価とするレバレッジタイプのETFの場合、日経平均株価が1日で10%上昇したらETFは1日で20%上昇する、というように日々のETFの変動率が投資対象の変動率の2倍となるように運用されています。

レバレッジタイプのETFは相場の上昇局面で大きな収益が期待できる一方で、相場が予想と外れた場合に、大きく損失を被る可能性があります。

下落相場に備えたい人 ~ インバースタイプのETF

レバレッジ型とは対照的に、投資対象の価格が今後下落すると予想する人には、インバースタイプのETFが向いています。インバースとは、日本語で「逆の」という意味で、インバースタイプのETFは、ETF自体の値動きが投資対象の値動きとは逆の方向に変動するように運用されています。更に、ETF自体の値動きが投資対象の値動きとは逆の方向に2倍変動するタイプのETFも存在します。

レバレッジタイプのETFもインバースタイプのETFも、投資対象の日々の変動率に対して一定の倍率の変動率となるように運用されているため、2日以上離れた日との比較においては、その変動率は一定の倍率をかけたものにはなりません。そのため運用が長期にわたる場合は、乖離が大きくなる可能性もあり、期待どおりの成果が得られないこともあります。とはいえ、両者ともETFの売買ランキングでは上位に入ることが多く、人気のあるETFの一つです。

インフレに備えたい人 ~ コモディティに投資するETF

ニュースなどを観ていて「原油価格が上がっているんだ。こうした商品に投資をしてみたい。」と思った人におすすめなのが、原油や金といったコモディティ(商品)に投資をするETFです。

株式や債券とは異なる値動きが期待できるため、ポートフォリオの一部に組み込むことで、資産全体の価格変動リスクを抑えられる可能性があります。また、インフレ時にはコモディティの価格の上昇が期待できるため、インフレに強い資産とも言われています。一方で、コモディティの価格の変動は比較的大きく、リスクは高いと言えます。また、世界情勢や環境の変化にも影響を受けやすいといった特徴もあります。

まとめ

ETFは、少額で手軽に分散投資ができ、品揃えも豊富です。加えて、リアルタイムの価格で自由に売買できるところが大きな魅力です。数あるETFの中から、それぞれの特徴を知った上で自身の投資目的や投資スタイルに合った銘柄を選ぶと良いでしょう。

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