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人気の高配当株に手軽に投資する方法を紹介!

低金利の時代でも高い利回りが得られる商品として、書籍やYouTubeなどで取り上げられることが多く注目が集まっているのが「高配当株」です。しかし高配当株の中には、業績の悪化により配当金が減額されて、期待通りの配当金がもらえなくなるなど、銘柄選びは意外と難しく、手間もかかります。本記事では、高配当株に手軽に分散投資することができ、株式と同様に取引できる高配当株ETFについて、その魅力や注意点、仕組みなどをお伝えします。

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この記事の目次

今人気の高配当株投資

高配当株とは、株価に対して高い配当金が得られる企業の株式を指します。高配当株の指標として用いられる「配当利回り」は「1株当たり配当金÷株価」で算出されますが、高配当株の配当利回りはどのくらいなのでしょうか。高配当株として根強い人気を誇る銘柄であるJT(日本たばこ産業株式会社)を例にして、その配当金と配当利回りを紹介します。

JTの2023年度のケースで考えてみます。2023年度、JTの1株当たり配当金は、年間合計で188円となることが予想されています。仮に2023年11月末のJTの株価3801円(終値)で100株保有していたとすると、保有金額38万100円に対する配当金は、年間合計1万8800円が期待できます。この場合の税引き前の配当利回りは4.95%となり、銀行預金の金利が0.1%程度であるとすると、いかに高配当株が魅力的か実感していただけると思います。もし配当利回り4%の株を5,000万円分保有していれば、約20%の税金が差し引かれたとしても、 年間約160万円の手取り収入を得ることができます。 株主優待がある銘柄であればさらに魅力的に感じるでしょう。

他にも、誰でも聞いたことがあるような企業で配当利回りが高いものはたくさんあります。

<配当利回りの高い時価総額1兆円以上の企業ランキング>

企業名 株価(円) 予想1株あたり配当金(円/年間) 予想配当利回り
1位 日本たばこ産業 3782.0 188 4.97%
2位 ソフトバンク 1766.5 86 4.87%
3位 商船三井 4077.0 190 4.66%
4位 JFEホールディングス 2230.0 100 4.48%
5位 武田薬品工業 4203.0 188 4.47%
6位 いすゞ自動車 1924.5 86 4.47%
7位 SOMPOホールディングス 6783.0 300 4.42%
8位 MS&ADインシュアランスグループホールディングス 5497.0 240 4.37%
9位 日本製鉄 3469.0 150 4.32%
10位 三井住友トラスト・ホールディングス 5486.0 220 4.01%

2023年11月24日現在

※予想配当は作成時点の日経新聞社の今期(通期)予想を使用しており、実際の配当とは異なる可能性があります。
※予想配当利回りとは、1株当たりの予想配当金を株価で割った指標です。
出典:大和証券作成 「時価総額1兆円以上配当利回りランキング」

銘柄選びが難しい高配当株投資

高配当株投資の魅力は大きいですが、一方でリスクもあります。それは「減配リスク」です。企業は、利益の一部を配当として株主に還元しますので、業績が悪化すれば配当の減額につながる可能性があります。また高配当株の中には、業績悪化を見越して株価が下落したことで(その結果として)配当利回りが高くなっている銘柄もあり、そういった銘柄は減配リスクが高いとも言えます。

2023年12月時点で、配当利回りが3%を超える企業は、全上場企業のうち1061銘柄もあり、自分で個々の企業の減配につながる要因を見定めることは大変難しいもの。かといって、リスクを抑えるために複数の高配当株に分散投資しようとすると、数百万円といった元手が必要になってきますし、銘柄の管理も煩雑になってしまいます。しかし、高配当株ETFなら、1銘柄への少額投資で複数の高配当株に分散投資できるため、その便利さから人気が高まっています。

高配当株ETFの魅力

ETFとは、金融商品取引所に上場している投資信託のことで、株式のようにリアルタイムで売買することができます。高配当株ETFは、高い配当利回りが期待できる複数の銘柄で構成されているETFのことです。高配当株ETFにはどんな魅力があるのでしょうか。

魅力①:少額で高配当株への分散投資ができる

高配当株の企業には株主への利益還元意識が高く、経済基盤が安定し、今後も安定した成長が期待できる企業が多く存在しますが、一方で業績悪化による減配リスクを抱える企業も含まれています。このような中、複数の企業に分散投資する高配当株ETFへの投資は、比較的少額で行うことができ、特定の企業が持つ固有リスクを軽減することが期待できます。

魅力②:定期的な銘柄入れ替えの実施により、銘柄管理の手間が不要

ETFでは一般的に構成銘柄の定期的な入れ替えが行われます。高配当株ETFでも、定期的に構成比率や銘柄の見直しが行われ、相対的に利回りの低くなった銘柄が除外され、利回りの高くなった銘柄が追加されます。そのため、投資家自身が保有する個別銘柄の配当金の状況などを逐一チェックしたりしなくても、1本のETFを持つだけで手軽に高配当株投資を継続できるのです。

ETFの分配金の仕組み

次に、ETFの分配金が支払われる仕組みはどのようになっているのか説明します。

ETFを保有していると、分配金が定期的に支払われます。ETFの分配金は税法に則り、ETFに組み入れられた銘柄から得られる配当金や受取利息といった収益から、経費等を引いた金額が全額ETF保有者に分配されます。また、組み入れられている株式に株主優待がある場合は、受け取った優待分を可能な限り現金化して分配されます。

なお、分配金の原資にはETFに組み入れられた銘柄の配当金が当てられますが、その配当金が出る時期とETFの分配金が出る時期にはズレが生じます。なぜなら、ETFに組み入れられている株式の決算時期は銘柄によって異なるのに対し、ETFの決算時期は一定の時期に決まっているからです。

ETFで支払われる分配金の金額は、

  • 1口あたりの分配金 = ETFの組入銘柄から得られる配当金や受取利息の総額から経費等を控除したもの ÷ 受益権口数(収益分配を受ける権利を持つ対象口数)

で計算されます。

ETFの分配金を受け取るには、ETFの決算日(権利確定日)にETFの所有者になっている必要があります。ETFの所有者になるには、権利確定日の2営業日前の権利付最終日までにETFを購入しておく必要があります。ちなみに、実際に分配金を受け取れる日は、一般的にETFの決算日から約40日後です。

分配金利回りの計算例

高配当株ETFにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは例として「iFreeETF TOPIX高配当40指数」を紹介します。

このETFは、信託財産の1口当たりの純資産額の変動率を「TOPIX高配当40指数(配当込み)」の変動率に一致させることを目的として運用しており、そのため構成銘柄は、「TOPIX高配当40指数(配当込み)」に採用されている株式となっています。この指数は、東証一部上場銘柄の中でも時価総額(および流動性)の高い大型株100銘柄のうち、直近1年間の実績配当利回りが相対的に高い40銘柄で構成されている配当込みの指数です。主な銘柄はトヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャルグループ、任天堂、伊藤忠商事など日本を代表する大手企業が多いです。

「iFreeETF TOPIX高配当40指数」の分配金利回りを計算してみましょう。

ETFの分配金の利回りは、ETFの基準価額に対し、過去1年間に支払われた分配金の割合のことです。計算式は、

  • 分配金利回り(%)= 過去1年間に支払われた(1口当たりの)分配金の合計額 ÷ (1口当たりの)基準価額×100

iFreeETF TOPIX高配当40の基準価額が167,555円(100口あたり/2023年11月30日現在)、過去1年間に支払われた分配金の合計額が3,490円(100口あたり/税引前)なので分配金利回りは、

  • 分配金利回り(%)= 34.9円÷1,675.55円×100円 ≒ 2.1%

上記の計算式より、2023 年11月末時点での「iFreeETF TOPIX高配当40指数」の分配金利回りは約2.1%であることがわかります。ただし、基準価額は日々変動し、分配金の金額も毎回一定ではないため、分配金利回りは常に変動することに注意しておく必要があります。

高配当株ETFの銘柄選定基準は銘柄によってさまざまで、時価総額の大きい企業を中心に組み入れたもの、企業規模に関わらず配当利回りの高さに特化したもの、ファンドマネージャーが銘柄を選別するアクティブ型など、一口に「高配当株ETF」と言っても色々なETFがあります。銘柄を選ぶ際は、目論見書や月次レポート等で確認するようにしましょう。

まとめ

高配当株への投資は、配当利回りの高さや定期的に配当金を得られるといったことから、低金利が継続する現在の日本の投資環境においては、魅力的な投資対象であると言えます。しかし、銘柄の選定や管理は思いのほか難しく、分散投資にはある程度まとまった資金が必要となります。少額から分散投資をしたい方や、銘柄選びや管理に手間をかけたくない方は、高配当株ETFを検討してみてはいかがでしょうか?

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