Special Column
NASDAQ100の圧倒的ファンダメンタル改善の裏側
大きく改善したNASDAQ100のファンダメンタル
NASDAQ100のファンダメンタルは、リーマンショックや、不安定な経済環境にも関わらず、大きく改善しています。2003年から2019年にかけてのNASDAQ100の各ファンダメンタルの年間成長率は次のとおりです。
- 利益 +21%
- 収益(売上) +13%
- 配当額 +26%
結果としてNASDAQ100の利益は22倍、売上は6.5倍、配当にいたっては40倍増加し、米国の代表的な株価指数であるS&P500を大きく上回る成長を実現しました。
各ファンダメンタルの伸び
NASDAQ100成長の裏側
このNASDAQ100成長の裏側にあるのは、米国の経済成長が資本集約的な伝統産業(基礎原料・石油・ガス)からニューエコノミーセクター(特にテクノロジー)にシフトしていることがあげられます。セクターごとの10年間の売上成長率を見てみましょう。
10年間の売上成長率
石油やガスといったセクターの売上成長率がマイナスの一方、テクノロジーセクターは128%も売上を成長させています。
それでは次にNASDAQ100とS&P500のセクター比率を確認してみます。
セクター比率
上記グラフを見ても明らかなように、NASDAQ100のテクノロジーセクターの比率は50%を超えます。一方S&P500は30%未満です。NASDAQ100の方がよりテクノロジーセクターの成長を享受できたと考えられます。また、NASDAQ100には石油やガスといったセクターの比率が0%のため、当該セクターのマイナス成長に影響されなかったこともファンダメンタル改善の要因になっていると考えられます。
テクノロジーセクターの成長要因は?
テクノロジーセクター成長の背景にはGAFAに代表されるテクノロジー企業の台頭があります。GAFAのようにプラットフォーマーといわれる企業群は「21世紀の石油」と呼ばれるデータの蓄積、ネットワーク効果(あるネットワークへの参加者が多ければ多いほど、そのネットワークの価値が高まり、更に参加者を呼び込むという現象)、盤石なキャッシュフローを背景に、研究開発への投資、技術を持つスタートアップ企業の買収・出資を積極的に進め、大きな成長を実現してきています。
コロナウイルスによるパンデミックを経た後においても、GAFAは以下のように積極的な投資を展開しています。
- アルファベット(Google)によるクラウド移行支援のStratoZone買収
- AppleによるVR企業のSpaces、NextVRの買収
- FacebookによるインドのEC市場への展開を狙ったReliance Jio Platformsへの出資
- Amazonによる自動運転技術開発のZooxの買収
こういった積極的な研究開発への投資やスタートアップ企業の買収・出資が、今後もNASDAQ100の成長ドライバーとなっていくと考えられます。
(出所)Nasdaq社提供のグラフをベースに大和アセットが本文を作成