Special Column

NASDAQ100のイノベーションドライバーを探る

はじめに

NASDAQ100は、世界で最も影響力のある革新的な企業で構成される指数です。

例えば、Facebook、Apple、Amazon、Netflix、Alphabet、Tesla、Microsoftなどが挙げられます。まだまだ多くの企業がありますが、これらの企業は イノベーションをベースとしたアイデンティティを持つ、世界的に大きな成功をおさめた企業です。

しかし、なぜNASDAQ100には、このような成功している最先端の企業が集まるのでしょうか。そもそもNASDAQ100がテクノロジーにフォーカスした指数ということが要因のひとつではありますが、それだけではありません。Comcast、Costco、Starbucksなどの小売セクターの企業でさえ、従来の小売とコンシューマリズム(消費者主義)を再定義しており、またバイオテクノロジーの革新を加速させている企業もあります。

では、いったい何がNASDAQ100を突き動かしているのでしょうか?NASDAQ100を構成する企業がどうやってイノベーションとパフォーマンスを加速させているのかを探ってみましょう。

トップイノベーターであり続ける

NASDAQ100企業がイノベーターであるという認識は、そのブランド、製品、文化、および財務実績に基づいています。イノベーターはマーケットリーダーであり、業界に破壊的変革をもたらし、社会を再形成し、価値を創造するスタートアップ企業とユニコーン企業でもあります。テクノロジー企業はこの変化の中心にあり(例えば、ソーシャルメディア、IoT(モノのインターネット)、電気自動車、人工知能など)、他の業界も含めて消費者の期待に応えて成長してきました。

NASDAQ100企業が一貫してトップイノベーターとしてランク付けされているのは当然のことです。彼らは業界のゲームチェンジャーであり、それゆえ消費者から認められ、評価されています。

ボストンコンサルティンググループが公表した「最も革新的な企業ランキング(2019)」には、2020年1月時点で下記のNASDAQ100企業が含まれていました。

ランキング 企業名
1 Google
2 Amazon
3 Apple
4 Microsoft
6 Netflix
8 Facebook
9 Tesla
13 T-Mobile
17 Cisco
22 Marriott
43 eBay

トムソン・ロイターがまとめた「グローバルテクノロジーリーダーランキングTOP100」にもNASDAQ100企業が数多くランクインしました。健全な経営と経済的な成功を背景に選ばれたこれらの企業は、イノベーション、評判、環境への影響などの指標に基づいてランク付けされました。

トップ10に含まれるNASDAQ100企業

ランキング 企業名
1 Microsoft
2 Intel
3 Cisco
5 Alphabet
6 Apple
9 Texas Instruments

2020年1月時点において上記以外でランクインしたNASDAQ100企業は下記のとおりです。

Adobe、 Advanced Micro Devices (AMD)、Analog Devices 、Applied Materials 、Autodesk 、 Cognizant Technology Solutions Corporation、 eBay、Intuit 、 Lam Research 、Micron Technology 、 NVIDIA、 NXP Semiconductors、QUALCOMM。

また、フォーブスは「世界で最も革新的な企業のリスト(2018)」をまとめています。当リストでは企業の時価総額とキャッシュフローの正味現在価値との差を表す「イノベーションプレミアム」に基づいて企業がランク付けされています。

イノベーションプレミアムが高い企業というのは、投資家から収益性の高い成長を期待されている企業、ということになります。このイノベーションプレミアムでランク付けされた上位25社に、2020年1月時点で下記のNASDAQ100企業が多くランクインしています。

ランキング 企業名(イノベーションプレミアム%)
4 Tesla (78.27%)
5 Amazon (77.4%)
6 Netflix (71.23%)
10 Facebook (64.42%)
11 Monster Beverage (64.26%)
13 Adobe (62.38%)
15 Autodesk (62.04%)
16 Regeneron Pharmaceuticals (61.11%)
17 Vertex Pharmaceuticals (60.93%)
20 Illumina (58.33%)
21 Marriott International (58.15%)

どうやってNASDAQ100企業はイノベーションを加速させるのか?

NASDAQ100企業がイノベーターであることはわかりました。では、そのアイデンティティはどうやって構築しているのでしょうか。他の企業との違いはどこにあるのでしょうか?

その主な要因は2つです。

  1. ①研究開発費へのコミット
  2. ②強力で前向きなリーダーシップ

1つ目は研究開発費についですが、NASDAQ100企業には研究開発費を重視していると考えられる企業が多く存在します。PwCの調査では、世界で最も革新的な企業1,000社をランク付けしたときに、重要なのは企業の資金力ではなく、経営上の戦略、プロセス、意思決定、コラボレーションであることがわかりました。

2006年以来の調査において、最も革新的な企業の間では研究開発費と収益が着実に増加していることが観察されており、そういった企業にはNASDAQ100企業が多く含まれています。同じ調査によると、2018年のNASDAQ100企業TOP25は、その年の研究開発費として合計897億ドルを費やしました。

2つ目は企業TOPのリーダーシップについてですが、NASDAQ100企業には革新的なリーダーが率いる企業がたくさんあります。

フォーブスによると、NASDAQ100企業の内、2019年の最も革新的なリーダーは次のとおりです。

ランキング 名前(企業名)
1 Jeff Bezos (Amazon)
2 Elon Musk (Tesla)
3 Mark Zuckerberg (Facebook)
5 Reed Hastings (Netflix)
6 Satya Nadella (Microsoft)
7 Shantanu Narayen (Adobe)
8 Tim Cook (Apple)
9 Arne Sorenson (Marriott International)
10 Larry Page and Sergey Brin (Alphabet)
11 Rodney Sacks (Monster Beverage)
13 Jeffrey Leiden (Vertex Pharmaceuticals)
14 Gary Guthart (Intuitive Surgical)
15 Brad Smith (Intuit)
16 Scott Stephenson (Verisk Analytics)
20 George Yancopoulos and Leonard Schleifer (Regeneron Pharmaceuticals)
24 Jeffrey Leiden (Vertex Pharmaceuticals)

他にも、NVIDIA、Electronic Arts、Broadcom、Paychex、Activision Blizzard、Sirius XM Radio、Texas Instrumentsなど、NASDAQ100企業のCEOやリーダーがトップ50に登場しました。

どのようにイノベーションは結果につながるのか?

革新的であることは素晴らしいことですが、企業は結果を出さなければなりません。幸いなことに、NASDAQ100企業の中には、最先端のイノベーターでありながら好業績を実現している企業が数多く存在します。

PwCの調査では、同業他社と比べて効率的に研究開発費を投じている企業は下記の点で優れるという結果が出ています。

  • 平均営業利益
  • 平均粗利益
  • 粗利益率
  • 相対的な総成長
  • 営業利益の成長
  • 売上高の成長
  • 時価総額の成長

さらに、トムソン・ロイターの調査では、彼らが定義した最も革新的な企業は、前年比の研究開発投資、従業員の変化率、収益率の変化などの点で世界的な平均を上回っていることがわかりました。これらの点は株価にも明白なプラスの影響を与えており、イノベーターの株価パフォーマンスは主要指数を大幅に上回っていました。

最後に

リーダーおよびイノベーターとして、NASDAQ100企業は、次のこと(what's next)、新しいこと(what's new)、そして最も重要なこと(what matters most)をこれらかも創造していきます。これらはすべて、指数の各構成銘柄とインデックス全体のパフォーマンスの向上につながります。イノベーションが急速に進み、テクノロジーが私たちの日常生活により密接になる今、NASDAQ100カンパニーはその変化の最前線を走っています。

(出所)Leaders in Innovation: How Nasdaq-100 Companies Drive Change and Financial Performance