Special Column
米国のミレニアル世代がNASDAQ100に魅了されるワケ
はじめに
米国では、ミレニアル世代(1981年以降に生まれ、インターネットが当たり前の時代に育った世代)の株式投資シェアが増加しており、米国株式市場において最も影響力のある世代となっています。
ミレニアル世代の投資家は、自身の消費行動と一致するようなハイテク株への投資を好みます。NASDAQ100指数は、上記ミレニアル世代のニーズ変化を捉え、伝統的指数からNASDAQ100指数への資金シフトの恩恵を受けてきました。
ミレニアル世代投資家とは?
2018年のTDアメリトレード社の調査によると、ミレニアル世代の株式市場への参加率は約50%でした。これは上の世代より低い割合なのですが、それでも3,600万人が株式投資に参加していることを意味しています。(実際には、ミレニアル世代の資金は、退職金制度を通じて株式インデックスファンドに流入している可能性があります。)
ミレニアル世代の人々は、リーマン・ショックや多額の学生ローン返済などの経験から、慎重かつ意図を持った投資行動を取ります。2020年のトゥルーイスト社の調査によると、ミレニアル世代の投資目的は、
- ①借金返済
- ②旅行
- ③退職後の貯蓄増加
が、主要目的であり、上の世代の主要目的であった、住宅所有・結婚資金、は重視されていない結果となりました。
ミレニアル世代の投資先は?
ミレニアル世代の投資家は、自身が信頼できる企業や、ESGへの取り組みに積極的な企業に投資することを好みます。
2017年のナティクシス社によるミレニアル世代の調査では以下のような結果でした。
- 75%の人が自身の投資が世の中に役立つか関心がある
- 75%の人が価値観と一致しない企業には投資したくない
- 73%の人が倫理的・環境的にネガティブな株式は売却する
また、2019年のMSCI社のレポートによると、ミレニアル世代の95%の人がサステイナブル投資(持続可能な投資)に関心がありました。
ミレニアル世代の投資家は、自身がよく理解している企業や自身をワクワクさせる企業を好みます。アペックス・クリアリング社の調査によると、ミレニアル世代の投資家は、ハイテク株・動画提供サービスや決済サービスを担う株式の買付に積極的であることが分かりました。これらの株式は、ミレニアル世代の人々が日常的に商品・サービスを利用している企業です。
ミレニアル世代が好む投資手法として、上場投資信託(ETF)の存在感が増しています。2019年のチャールズ・シュワブ社によるETF投資家についての調査は以下のような結果でした。
- ①ミレニアル世代の79%が、ETF投資を主要な投資手法と考えている(全世代では67%、ベビーブーム世代では37%)
- ②ミレニアル世代の投資家の90%が、ETFを自主的に選択したと回答している(全世代では79%)
- ③ミレニアル世代の74%が、テクノロジーETFへの投資を重視すると回答している(全世代では69%)
- ④意外なことに、ミレニアル世代の投資家の86%が、債券ETFに投資する良い時期であると回答している(全世代は74%、ベビーブーマー世代は50%)
ミレニアル世代とNASDAQ100指数
上記で記載したことを背景に、ミレニアル世代の投資ニーズは、NASDAQ100構成銘柄への投資、という形で近づいてきました。ミレニアル世代の、①ハイテク株への投資ニーズ、②ESGを重視する企業への投資ニーズ、を満たすため、S&P500に代表される伝統的な企業・セクターへの投資から、NASDAQ100構成銘柄への投資が増加することになりました。
アペックス・クリアリング社によると、ミレニアル世代が購入した株式の上位100銘柄は、NASDAQ100構成銘柄が多く含まれていました。上位100銘柄のリストには、下記表のNASDAQ100構成銘柄(2020年4月時点)の24銘柄が含まれていました。
アマゾン | アップル | テスラ |
フェイスブック | ネットフリックス | AMD |
マイクロソフト | アルファベット-C | エヌビディア |
アルファベット-A | JD.com | インテル |
スターバックス | マイクロコン | コストコ |
ペイパル | ネットイース | ATVI |
シスコ | バイドゥ | クアルコム |
アドビ | ギリアド | ペプシコ |
アマゾン | アップル |
テスラ | フェイスブック |
ネットフリックス | AMD |
マイクロソフト | アルファベット-C |
エヌビディア | アルファベット-A |
JD.com | インテル |
スターバックス | マイクロコン |
コストコ | ペイパル |
ネットイース | ATVI |
シスコ | バイドゥ |
クアルコム | アドビ |
ギリアド | ペプシコ |
アペックス・クリアリング社の調査によると、ミレニアル世代が保有する株式上位100銘柄のうち、NASDAQ100構成銘柄が55%を占めていました。
また、バロンズ社の2019年のランキングによると、最もサステイナブルな上場企業トップ100で、下記表のNASDAQ100構成銘柄がランキングしました。
シスコ | テキサス・インスツルメンツ | イントゥイット |
オートデスク | ラムリサーチ | アプライド・マテリアルズ |
マイクロソフト | エヌビディア | バーテックス・ファーマ |
ペプシコ | バイオマリン・ファーマ | シンタス |
シスコ | テキサス・インスツルメンツ |
イントゥイット | オートデスク |
ラムリサーチ | アプライド・マテリアルズ |
マイクロソフト | エヌビディア |
バーテックス・ファーマ | ペプシコ |
バイオマリン・ファーマ | シンタス |
さらに、気候変動レポート(米国の投資家や政策決定者も参照するESGデータ)で、下記表のNASDAQ100構成銘柄が最高ランク「A」評価を付けました。
アドビ | アマゾン | アップル |
シスコ | グーグル | マイクロソフト |
パッカー |
アドビ | アマゾン |
アップル | シスコ |
グーグル | マイクロソフト |
パッカー | |
おわりに
ミレニアル世代が投資意欲を拡大させ、また投資態度を成熟化させるにつれて、彼らが富の最大化の方法をさらに模索することが期待されます。NASDAQ100指数は、上記のミレニアル世代の計画を実現できる可能性を秘めています。それはすなわち、ミレニアル世代は、今後、様々な投資手法でNASDAQ100指数への投資を増やす可能性を示唆しています。
(出所)Why Millennials Are Gravitating to the Nasdaq-100