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世界的大企業が集う欧州屈指の経済大国。英国株投資の魅力とは?

世界経済が不透明感を増す中で、投資対象を特定の国に集中させず、さまざまな国や資産に分散する「国際分散投資」の考え方がこれまで以上に重要となりそうです。国際分散投資の有効な手段の1つが英国株です。この記事では、英国株式市場の魅力や、英国を代表する株価指数「FTSE100」の特徴、英国株に投資する方法について解説します。

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この記事の目次

米国、日本、EUと並ぶ重要な経済圏

世界最大の経済大国といえばもちろん米国。2025年時点のGDP(国内総生産)規模では、中国が世界第2位、ドイツが第3位、日本が第4位、近年著しい成長を遂げているインドが第5位、そして第6位が英国となっています。

英国はEU(欧州連合)と異なる独自の通貨を持ち、その経済規模は欧州ではドイツに次ぐ2位。先進国市場において、米国や日本、EUとともに世界の重要な経済圏を形成しています。

英国の基礎データ

国名 グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国
面積 24.3万平方キロメートル(日本の約3分の2)
人口 6,827万人(2023年)
通貨 ポンド(1ポンド=約189円、2025年4月23日時点)
名目GDP 2.75兆ポンド(2024年、約520兆円)
主要産業 自動車、航空機、電気機器、エレクトロニクス、化学、石油、ガス、金融
(出所)外務省HPより作成

18世紀の産業革命で「世界の工場」と呼ばれた英国

かつて英国は「世界の工場」と呼ばれ、19世紀には世界一の経済大国として君臨しました。その契機となったのが、18世紀中頃から始まった産業革命です。英国では紡績機や織機などの機械が発明され、その動力として蒸気機関が使われたことで綿織物の大量生産が可能となりました。機械化は紡織だけでなく製鉄業などにも広がり、他の国々に先駆けて工業化が進みました。

19世紀末には世界一の経済大国の座は米国に譲ることになりましたが、現代においても工業は英国の主要産業のひとつであり、特に自動車や航空機においては世界的な企業が数多く存在します。

ロンドンの「シティ」は世界を代表する金融センター

英国を代表する産業の一つが金融です。首都ロンドンの中心部「シティ」は中世から金融業が盛んで、現在も銀行や保険会社など世界的な金融機関が集まっています。

シティに位置するロンドン証券取引所は、1801年に設立された歴史ある証券取引所として、国際的な金融取引の拠点となっています。

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シティの街並みとロンドン証券取引所

英国には日本でも有名なグローバル企業も多い

英国には、日本でもなじみ深い企業が数多くあります。例えば、高級自動車メーカーのジャガーやロールスロイス(ロールス・ロイス・モーター・カーズ)はよく知られています。石油・エネルギーのシェル、日用品のユニリーバや、日本からは撤退してしまいましたが携帯電話のボーダフォンも有名な英国企業です。

ロンドン証券取引所に上場する、日本でも知られる英国企業の例

企業名 事業内容
アストラゼネカ 医療用医薬品のメーカー。日本では滋賀県米原市に生産工場がある
HSBCホールディングス 世界有数の規模を誇る金融グループ。日本では事業法人を対象に銀行・資産運用業務などを行う
シェル 石油や天然ガスなどのエネルギー関連事業を行う。日本では「シェル」ブランドでガソリンスタンドを展開していた
BP エネルギー関連企業。日本では「カストロール」ブランドで、自動車用エンジンオイルなどを販売している
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ タバコの製造・販売を行う。代表的な商品は「ラッキーストライク」など

世界で大きな存在感を示す、成長力も魅力の英国株式市場

2024年9月時点の英国株式市場の時価総額は、米国や中国や日本を下回るものの、欧州ではフランスやドイツなどを超えて最大となっています。世界株式を対象とする代表的な株価指数であるMSCI ACWI、いわゆるオールカントリーの国別比率では、英国は2025年4月時点で米国、日本に次ぐ世界第3位と、世界の株式市場において大きな存在感を示しています。

オールカントリー指数の国別構成比率

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※ 2025年4月末時点
(出所)MSCIデータより大和アセットマネジメント作成

GDP成長率は他の欧州諸国より高い

国の経済の規模を表すGDPでは、英国は欧州においてドイツに次ぐ第2位です(2024年時点)。特筆すべきはその成長力です。2014年から2024年にかけてのGDP成長率を比較すると、英国はドイツなどを上回り、1.5倍を超える経済成長を遂げています。

欧州主要国の名目GDPの比較

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※2024年時点
(出所)World Economic Outlook Database, April 2025

欧州主要国の名目GDP上昇率の比較

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※2024年時点。名目GDPは現地通貨ベース、2014年を100として指数化
(出所)OECDより大和アセットマネジメント作成

英国を代表する株価指数「FTSE100」とは?

英国株式市場の代表的な株価指数が、1984年に算出を開始した「FTSE100」です。ロンドン証券取引所に上場する時価総額上位100銘柄で構成される、時価総額加重の株価指数です。欧州ではドイツの「DAX」やフランスの「CAC40」と並ぶ重要な指数として、世界の投資家から注目されています。

直近の指標は割安感を示す

近年のFTSE100の特徴として、各種指標が割安感を示していることが挙げられます。

例えば、株価を1株当たり純利益で割り算したPER(株価収益率)という指標があります。PERは、企業の収益力に対して株価が割安か割高かを判断するのに使われます。株価指数全体のPERの加重平均を比較すると、2025年4月末時点でFTSE100は日米の株価指数と比較して低くなっており、相対的に割安とみなすことができます。

英国・日本・米国の主要株価指数のPERの比較

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※ 2025年4月末基準、トータルリターン、現地通貨ベース
(出所)ブルームバーグより大和アセットマネジメント作成

株価を1株当たり純資産で割り算したPBR(株価純資産倍率)は、企業の資産価値に対して株価が割安か割高かを判断する指標です。FTSE100のPBRは日本のTOPIXより高いものの、米国のS&P500と比べると大きく下回っており、米国株との比較では割安感が大きいと考えられます。

英国・日本・米国の主要株価指数のPBRの比較

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※ 2025年4月末基準、トータルリターン、現地通貨ベース
(出所)ブルームバーグより大和アセットマネジメント作成

特定の産業に偏らず、幅広い業種で構成

FTSE100と米国のS&P500の業種別割合を比較すると、FTSE100は複数の業種がまんべんなく構成されていることがわかります。英国を代表する産業である金融の割合が最も高いものの、生活必需品や資本財・サービス、ヘルスケアも比較的大きな割合を占めています。これに対して、S&P500では情報技術が約3割を占めており、情報技術関連企業の業績に左右されやすい構成となっています。

幅広い業種で構成されているFTSE100は、英国経済全体の成長を享受しやすい指数といえるでしょう。

FTSE100とS&P500の業種別構成比率

イメージ イメージ
※2025年5月末時点。GICSによる産業分類
(出所)ブルームバーグ、S&Pグローバルより大和アセットマネジメント作成

世界の主要株価指数との相関が高くないため分散投資が有効

以下の表はFTSE100とS&P500の、他の株価指数に対する相関係数です。相関係数は-1~1の数値で表され、1に近づくほど2つの指数は過去に同じ値動きを、-1に近づくほど正反対の値動きをしてきたことを示します。そして相関係数が0に近ければ、2つの指数の値動きは無関係に変動したことを示します。

FTSE100に対する、日本のTOPIXやインドのNIFTY50との相関係数は、いずれもS&P500を下回っています。つまり、過去10年間においては、FTSE100の方が他の株価指数との連動性が低かったことを示します。

分散投資の観点では、例えばTOPIXとS&P500を併せ持つより、TOPIXとFTSE100を併せ持つ方が、分散効果が高まることが期待できます。すでにS&P500やオールカントリーなどに投資している人にとって、他の主要株価指数との相関が比較的高くないFTSE100は、分散投資によって運用効率を高めるために有効といえそうです。

FTSE100と主要指数の相関関係

FTSE100 S&P500 TOPIX NIFTY50
FTSE100 - 0.65 0.55 0.51
S&P500 0.65 - 0.66 0.58
※2015年5月末~2025年5月末(月次)、ネットトータルリターン、現地通貨ベース
(出所)ブルームバーグより大和アセットマネジメント作成

英国株に投資するならETFが便利

日本の個人投資家が英国株に投資する場合、個別株は主要ネット証券での取り扱いが少なく、ハードルが高いのが現状です。

誰でも手軽に英国株に投資できる方法の1つが、FTSE100への連動を目指すETFです。数千円から数万円の少額から購入が可能で、変動する価格を見ながらリアルタイムで取引できるのがETFのメリットです。

FTSE100への連動を目指す、英国株式に特化した東証唯一※のETF

※2025年5月9日時点

まとめ

2025年1月に米国でトランプ大統領が就任して以来、関税をはじめとするさまざまな政策が、株式市場に動揺を与えています。米国の株価指数への連動を目指すETFや投資信託、あるいは米国株の比率が高いオールカントリーに投資している方は、米国の動向に不安を感じているかもしれません。

そんな悩みを解決するには、米国以外の株式に分散投資することがカギになりそうです。その有効な手段の1つが英国株式です。英国の首都ロンドンが世界有数の金融センターであり、政治的にも米国やEUと一定の距離を保っていることなどにより、英国株式市場は独自の地位を確立しています。

英国を代表する株価指数のFTSE100は、構成銘柄の業種が幅広く、日本や米国などの主要指数との相関係数が高くないため、他の株価指数に対する分散投資の効果が見込まれます。さらに、FTSE100においてはPERやPBRといった株価指標が割安感を示しており、ここからの株価の成長も期待できるかもしれません。

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