〜ゼロ金利から金利の時代へ〜
2023年にアベノミクス開始以来となる上昇をみせた日本株式市場は、勢いそのままに2024年へ突入した。地政学リスクに対する懸念が続く中、日本株式市場は、国内外で控える大きなイベントを乗り越え、活況を続けることが出来るのか。
2023年の世界株式市場は、米国がけん引役となり日本を含む先進国、新興国が全般的に好調だった。
とりわけ日本からの海外投資は、円安の進行が円ベースでのリターンを押し上げ、より高い投資成果をもたらした。
主要株価指数の年間騰落率をみると、主要な株価指数の大半が上昇していることがわかる。首位はテック企業を多く組み入れる米国のナスダック100指数ではあるものの、日本の日経平均株価も21位と、米国に次ぐ人気を誇ったインドの株価指数の26位を上回った。
世界の主要株式市場は、地政学リスクの高まりから敬遠された中国を除き上昇した。
米国株式市場においては、大手テック企業を多く組み入れるナスダック100の上昇が際立つ一方、S&P500 は他の主要指数と同水準の上昇となっており、米国内でも、大手テック企業とそれ以外の企業で様相が異なった。
2024年も主要株式市場は全般的に上昇トレンドを継続しているが、その勢いにはバラつきが出始めている。
中国の地政学リスクや景気減速に対する懸念からグローバル投資家の中国回避が加速、滞留した資金の行き先として、日本株が見直された。海外投資家の日本株買いは、2012年に始動したアベノミクス以来の高水準となっている。
日本の株式市場では、PBR1倍割れ(企業を精算することで回収できる金額が株式投資で得られる金額を上回る)企業が全体の過半数と、欧米を大きく上回る水準にあることが問題視されてきた。しかし、2023年3月、東証が上場企業に対して行った要請「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」を契機に企業のPBR向上に向けた取り組みが本格化の兆しをみせている。海外投資家が日本を敬遠する一因ともなっていたこの課題の解決期待は、更なる日本株買いを呼び寄せる材料となりそうだ。
PBR改善の鍵は、企業の資本収益性(ROE)の改善や株価評価(PER)向上に繋がる中長期的な企業価値の改善だ。
日本企業の企業価値向上に向けた取り組みは、これまでサプライチェーンの最適化やコストカット、在庫管理の徹底などコスト面の改善が中心で、結果的にPBRの十分な改善には至らなかった。
今後は、資本の効率的な活用や売上を伸ばす取り組みに力を入れることで、収益性の改善を裏付けとした企業価値の向上が期待される。
日本の株式配当利回りは近年、米国を上回る水準となっている。日本にはキャッシュリッチな企業が多い。しかし、この潤沢なキャッシュを有効に使えていないケースが多く、これを問題視する声に応え、企業は自社株買いや株主還元を積極化させている。
株価が上昇する中でも配当利回りが上昇しているのは、株主還元が株価上昇を上回る速度で進んでいる結果といえる。
物価上昇や日銀の金融政策転換論などの社会環境の変化やNISA制度の変更をきっかけに、投資未経験者やリスク資産への投資に及び腰だった投資家が、株式投資に参入。バフェット効果も、この流れを後押しした。
個人資産における株式・投資信託の割合は、現金・預金の約50%、保険・年金等の25%に次いで20%程度だが、増加率は主要資産の中で最も大きい。
NISA導入をきっかけとした投資家層の拡大や、株価上昇に伴う資産効果によるものだろう。
デフレからの脱却や政府の働きかけ等により、長年膠着状態だった賃金がようやく上昇を始めた。しかし、その速度は十分とはいえない。実質賃金は、2021年から前年比で低下基調が続いており、個人の生活環境が改善しているとは言い難い。
現金の価値が目減りするインフレへの転換は、資産価値を減らさない取り組みの重要性を私たちに再認識させる。
2024年は国内外で様々なイベントが控えているが、いずれも日本株式市場には追い風となるだろう。
海外では、地政学リスクに加え主要国で重要な選挙が控える。市場動向に影響を与えるイベントが多い中、相対的に安定した見通しが描ける日本株投資が選ばれやすい環境が続く見通し。
国内では、企業のPBR改善の取り組みが本格化することで企業収益が拡大し、株価や配当に好影響を与えることが期待される。新NISAの始動で国内投資家からの資金流入の加速が期待される。日銀の金融政策の転換も見込まれるが、引き締めに舵を切ったとしても、金利水準が大きく上昇する可能性は薄いと見込まれ、相対的に株式投資の魅力は高いといえるであろう。
これまでの株価上昇は、概ね企業収益を裏付けとしたものだった。
今後は、東証によるPBR改善要請を受け、企業価値向上の取り組みを本格化させる企業が増加することが見込まれる。企業収益の拡大により株価の更なる上昇が期待される。
日銀による金融緩和政策の転換で、市場金利の上昇が見込まれるが、その水準は株式の配当利回りを大きく下回る見通し。
企業の利益追求姿勢の高まりから、配当原資となる企業利益の拡大が期待され、今後も配当利回りは上昇すると期待される。
相場では「辰巳天井」という格言がある。辰年と巳年は株価が上昇しやすいという意味だ。
2024年は干支でいえば辰年、この格言が該当する1年目になる。
日本の株式市場を広範に網羅する「東証株価指数(TOPIX)(配当込み)」の動きへの連動をめざす
景気循環等の相場環境に応じてポートフォリオの性格を大胆に変更
相対的にPBRが低く、企業価値の向上が期待できる日本企業に投資
東証プライム市場から資本収益性と市場評価の観点で選ばれた時価総額上位150銘柄により構成される「JPXプライム150指数(配当込み)」の動きへの連動をめざす
取得時にPER、PBRなどの指標または株価水準から見て割安と判断され、今後株価の上昇が期待される銘柄に投資
予想配当利回りが高いと判断される銘柄を中心に、成長性、ファンダメンタルズ、株価の割安性等に着目することで高水準の配当収入の確保と値上がり益の獲得をめざす
原則10年以上増配を続ける銘柄のうち、連続増配年数上位70銘柄で構成された「日経連続増配株指数(トータルリターン)」の動きへの連動をめざす
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