他の新興国とは一線を画したその発展の原動力を紐解く
インドは世界のIT産業/イノベーション振興において、なくてはならない存在となりつつある。
国を挙げてIT人材の育成に力を入れていることに加え、英語が公用語の一つである点も他の新興国に比べ優位な立ち位置にある要因といえる。
世界有数のIT企業のトップがインド人という事ももはや珍しい事ではなくなった。
インドのIT産業は、米国を中心とした先進諸国のオフショア開発により1990年代半ばから発展、今やIT先進国にまで成長した。
インドでは、2000年代半ばから初等教育でプログラミング学習を取り入れるなど、早くからIT人材の育成に力を入れている。
インド最高峰のインド工科大学の卒業生はそのITスキルの高さから世界中から求められており、世界の名だたるIT企業のトップを務める人物も登場。
中国に代わる半導体など先端分野における世界の工場へ
慢性的な経常赤字の解消は、インド経済において重要な課題となっている。
資源に乏しく、産業が農業などの一次産業に偏っている点が要因だが、この状況を好転させる原動力となっているのが通信技術関連(ICT)サービスの成長だ。ICTを武器に今後も世界での存在感を高めることで赤字国からの脱却が視野に入ってきた⁉
インド経済の成長にはインフラ整備が欠かせない。 交通インフラ整備には内外の様々な要因から遅れがみられるが、デジタルインフラの強化が功を奏し、その遅れをものともしない一足飛びの成長が続く。
インドでは停電が日常茶飯事だ。
インドの電力供給は、長らく需要を下回る状況にあるが、2010年代に入り需給環境が改善している。
2022年度(2022年4月~2023年3月)は前年度比で9.5%増と、過去25年で最も高い伸びを記録した。
経済成長の障害となっていた電力不足は解消されつつある。
インドは米国に次ぐ世界第2位の携帯電話大国となった。
2022年には13都市で次世代高速通信サービス「5G」が開始され高速データ通信が可能となったことで、機械通信や拡張現実・メタバース体験など、様々なソリューションの発展が期待される。
新たな金融サービス(UPI)が2016年に登場。スマートフォンで銀行口座間の電子送金が即時にでき、預金通貨をデジタル通貨のように活用できる先進的な金融サービスにより、インドのキャッシュレス化は急速に進行した。
2022年には、スマートフォン以外の携帯でも利用できるサービス(UPI123Pay)、インターネット未接続でのオフライン決済サービス(UPI Lite)も導入されている。
中国を抜いて人口世界一となったインドの原動力は、人数だけではない。生産活動を支える15歳~64歳の人口における若年層の割合が高い点が大きな魅力である。インドは、中国やベトナムなど、先行して成長した新興国ではピークアウトした「人口ボーナス期」の真っ只中にあり、人口に占める若年層の割合も高い。人口ボーナスのピークを越えた後の高齢化進行スピードが遅く、旺盛な内需を原動力とした息の長い成長が見込まれる。
生産年齢層に占める若年層の割合は37.3%と25%の中国を大きく上回る。
生産年齢層入りを控えた14歳未満の人口も主要国に比べ多く、経済のより一層の活況が見込まれる。
豊富な生産年齢人口(生産活動を支える15歳~64歳の人口)は、生産性の向上と旺盛な消費により高い経済成長を後押しする。
インドは2018年から生産年齢人口がその他の人口の2倍を超える人口ボーナス期に入った。
中国では人口ボーナスのピークを過ぎ減速感が出る中、インドのピークは2029年とこれからやって来る。若年層の割合も際立っており、インドは2051年頃まで、この活況を享受し続ける見通しだ。
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