2019年度のJ-REIT市場⾒通し

  • マーケットレター
  • 2019年05月
底堅い相場展開を想定
ポイント
  • 2019年度のJ-REIT市場は底堅く推移する⾒通し
  • オフィス、住宅は堅調なファンダメンタルズが継続
  • バリュエーションは過去平均と比べて割安な水準
  • 引き続き自社株買いが株価を下支え

2019年度のJ-REIT市場は底堅く推移する⾒通し

2019年度のJ-REIT市場は、①堅調なファンダメンタルズ、②割安なバリュエーション、③自社株買いによる株価下支えなどを背景に、底堅い相場展開になると考えております。

東京オフィス市況は、堅調な需要を背景に空室率、賃料ともに良好

2019年4月時点の東京都心5区のオフィス・ビル平均空室率(三⻤商事調べ)は、1.70%と3月に比べて0.08ポイント低下、三⻤商事公表の月次データとして残る2002年1月以来の過去最低値を更新しました。小規模な成約があった一方で、解約の影響が少なかったためです。
平均賃料は、21,279円/坪と前月比で0.69%上昇し、前年同月比の上昇率は6.95%でした。2014年1月から64ヶ月連続の上昇となり、この期間の上昇率は31.30%となりました。

⽉次の都心5区のオフィス賃料・空室率の推移のグラフ
※対象地区は都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)。
※調査対象ビルは東京ビジネス地区内にある基準階面積が100坪以上の主要貸事務所ビル。
建物全部の一括賃貸など特殊な事情のあるビルは、調査対象に含まれておりません。
(出所)三⻤商事

都心オフィス市場は引き続き堅調に推移する⾒込み

東京のオフィスビル供給について、森トラストが発表した「東京23区の⼤規模オフィスビル供給量調査‘19」によると、2018年は147万㎡と過去20年で4番目に高い水準でした。2019年の供給は102万㎡と過去20年平均(108万㎡/年)並みの水準となりますが、2020年は再び上昇に転じ、過去20年で3番目の規模となる179万㎡の供給が⾒込まれます。
一方で、2021年〜2022年の供給量は2020年までの⼤量供給の反動で⼤幅に減少します。2023年は99万㎡まで上昇しますが、過去平均並みの水準にとどまります。2019年以降の5年間の平均供給量は約98万㎡と、過去20年平均(108万㎡/年)を下回る水準に落ち着く⾒通しです。
上記のように2023年までの5年間でみると⼗分に供給の消化が⾒込まれる水準であるといえます。また、都心のオフィス需要は堅調であり、2019年竣⼯のビルは既に⼤部分で募集を終了させており、2020年竣⼯のビルもテナント誘致が順調なビルが多いことから、引き続きオフィス市場は堅調に推移すると⾒込まれます。

東京23区の⼤規模オフィスビル供給量の推移のグラフ
(出所)森トラスト

都心の賃貸住宅市場では、緩やかな賃料上昇が続く

マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)によると、東京23区のマンション賃料は、2011年頃から緩やかな上昇を続けています。
賃料上昇の背景として、地価や建築費の上昇などから、賃貸住宅の新規供給が抑えられていることや、東京都への⼈⼝流⼊傾向が続いているなかで世帯数が増加していることなどがあります。この傾向は今後も続くとみられ、都心の賃貸住宅の賃料環境は堅調に推移することが予想されます。
特に、住宅REITの保有物件に多いシングルタイプや、コンパクトタイプについては、1世帯あたりの⼈数が減少していることから需要が強く、賃料上昇率がファミリータイプよりも高くなっており、その恩恵を受けやすいといえます。住宅REITの保有物件の稼働率は高水準で推移しています。賃料が上昇することで、賃料収⼊の拡⼤を通じた分配⾦水準の向上が期待されます。

マンション賃料インデックスのグラフ エリアは東京23区
※部屋タイプ:シングルタイプ18㎡以上30㎡未満、コンパクトタイプ30㎡以上60㎡未満、
ファミリータイプ60㎡以上100㎡未満
(出所)マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)を
もとに⼤和投資信託が作成

ホテルセクターはイベントや訪日外国人の増加に期待

改元に伴い10連休となった今年のGWは、観光地各地が観光客で賑わい、ホテルの稼働率も高水準で推移した模様です。観光庁が4月に公表したGW中の宿泊施設の予約状況によると、都道府県別の予約が取れなかった宿泊施設の割合は高いところで90%を超える水準となり、宿泊料⾦の上昇率が200%以上となった地域がみられました。
2019年のイベントとしては、6月に⼤阪でG20が開催予定、9月に国内各地でラグビーワールドカップが開催予定であり、観光客誘致の効果が⾒込まれます。
また、日本政府観光局が発表した2019年3月の訪日外客数は、前年同月比5.8%増の276万⼈と、3月として過去最高を記録しました。今後も訪日外国⼈の増加が期待されることから、ホテル需要のさらなる押し上げ要因となることが予想されます。

バリュエーションは過去平均と比べて割安な水準

堅調なファンダメンタルズの一方で、バリュエーション面では過去平均と比べて割安な水準にあります。
市場全体のNAV倍率(物件の価値を時価で評価した1⼝あたり純資産と投資⼝価格の倍率)は、1倍を超えているものの、過去平均と比較して低く、依然として割安な水準にあるといえます。

J-REITのNAV倍率の月次推移グラフ
※NAV倍率はJ-REIT全銘柄の時価総額加重平均値。
(出所)不動産証券化協会

引き続き自社株買いが株価を下支え

2017年以降、バリュエーション面での割安さを背景に、J-REIT市場において自社株買い(正確には自己投資⼝取得)の動きがみられます。
自社株買いについては、NAV倍率が1倍を下回る銘柄において、⼿元資⾦の活⽤先として自社株を取得することは実質的に割安な価格で不動産を購⼊した場合と同じ効果が得られることになります。今後も株価の割安感が強まれば自社株買いを⾏う可能性が高いことから、J-REIT市場の下支え要因となることが考えられます。

J-REIT各社の自社株買いの実績の表
(出所)各社資料より⼤和投資信託が作成

J-REITの魅⼒:安定した配当収益と値上がり益に期待

2008年12月末からの指数の推移をみると、東証REIT指数(配当込み)のリターンはTOPIX(配当込み)を⼤きく上回っています(下グラフ参照)。J-REITは、高い配当利回りを背景に、配当収益が東証REIT指数(配当込み)のリターンの過半を占めており、トータルリターンを押し上げています。J-REITは株式に比べて、安定した配当収益が期待できる資産といえます。
また、J-REIT市場は、海外市場や為替などの影響を受けにくく、堅調なファンダメンタルズを背景に、底堅く推移しています。足元では、配当を含まない東証REIT指数のリターンもTOPIXを上回っているように、値上がり益も⼗分に狙える資産であるといえます。

東証REIT指数の推移と TOPIXの推移のグラフ
(出所)ブルームバーグデータをもとに⼤和投資信託が作成
※TOPIXおよび東証REIT指数に係る知的財産権は、株式会社東京証券取引所(東証)に帰属します。
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