米国金融政策(2019 年3 月)

  • マーケットレター
  • 2019年03月
~金融政策姿勢は一段と緩和的に~
ポイント
  • 金融政策姿勢は一段と緩和的に
  • 2019 年は利上げなしの見通しが大勢
  • バランスシートの縮小は9 月末で完了
  • 金利低下は株価を下支え、米ドル安とは限らず

金融政策姿勢は一段と緩和的に

2019 年3 月19、20 日(現地)開催のFOMC(米国連邦公開市場委員会)では、政策金利であるフェデラル・ファンド・レートの誘導レンジが2.25~2.5%に据え置かれました。政策金利の据え置きは市場予想通りでしたが、FOMC の金融政策姿勢は一段と緩和的な方向へ傾斜しました。FOMC 参加者の政策金利の見通しは引き下げられ、FRB(米国連邦準備制度理事会)のバランスシートの縮小も早期に終えることが決定されました。パウエルFRB 議長は昨年12月のFOMC 後の記者会見で、バランスシートは計画に基づき「自動操縦で」淡々と縮小していく旨の発言をしていましたが、わずか3 カ月で状況が一変しました。

政策金利と国債利回り

2019 年は利上げなしの見通しが大勢

FOMC 参加者17 名のうち11 名が2019 年中の政策金利の据え置きを想定しています。利上げ1 回の想定が4 名、2 回が2 名でした。昨年12 月時点では、2019 年は利上げ2 回が中央値で、据え置きはわずかに2 名でした。声明文には、前回に続き、当面の金融政策姿勢として、「グローバルな経済、金融動向、ならびにインフレ圧力の弱まりに鑑みれば、フェデラル・ファンド・レートをどの程度調整するのが適切であるかを決定するにあたって、FOMC は忍耐強くある」と記されました。パウエル議長は記者会見でも、「雇用とインフレの見通しが政策の明確な変化を求めるまでには時間を要する」、「経済データは我々がどちらの方向に動く必要があるかのシグナルを送ってはいない」と述べ、中立、様子見の姿勢を強調しました。2020 年については利上げ1 回の想定が中央値となりましたが、米国の財政政策、中国経済、米中の通商協議、英国のEU(欧州連合)離脱など、不確実性が高く、確度の高い見通しとは思えません。
FOMC 参加者は景気、物価見通しも下方修正しましたが、パウエル議長は、良好な雇用・所得環境を主たる根拠に、景気見通しは「明るい」との表現を繰り返しました。

FOMC参加者の見通し(中央値)
(注)各項目の上段が今回、下段が12月時点の見通し
GDP成長率、インフレ率は10-12月期の前年同期比、失業率は10-12月期の平均、政策金利は年末値

バランスシートの縮小は9 月末で完了

2017 年10 月から開始されているバランスシートの縮小は9 月末をもって、丸2 年で完了することが決定されました。現在、国債の償還金のうち、月300 億ドルまでは再投資せずバランスシートから落としていますが、この額を5 月からは月150 億ドルまでに減額し、10 月以降は全額再投資する方針に改められました。また、現在、政府機関債とMBS(住宅ローン担保証券)の償還金のうち、月200 億ドルまでは再投資せずバランスシートから落としていますが、10 月以降は全額再投資する方針に改められました。ただし、償還された政府機関債とMBS の再投資先は月200 億ドルまでは国債とし、政府機関債とMBS を順次国債に置き換えることになります。バランスシートの規模は縮小を開始する前の約4.5 兆ドルから、今年末には3.5 兆ドルをやや上回る水準に減少しますが、当初想定されていたよりもバランスシートを大規模に保ったままで縮小を完了することになります。

FRBのバランスシートの規模

金利低下は株価を下支え、米ドル安とは限らず

インフレ懸念が乏しいことが、FRB が「忍耐強く」いられる最大の要因と考えられます。賃金の上昇は緩やかに加速していますが、FRB の責務は物価の安定であり、物価上昇率が2%の目標値を下回っている現状で、インフレ懸念が乏しい限りは利上げを急ぐ必要がありません。いずれにせよ、金融政策姿勢がまた一段と緩和的な方向へ傾斜したことで、市場金利の上昇が株式市場全体の重しになるリスクは大幅に後退しました。市場金利の上昇が阻まれることは、直接的には米ドル安要因に映りますが、当面の金利据え置きの見通しとバランスシートの縮小の完了が明らかにされたことでFRB の金融政策姿勢の緩和方向への傾斜も一段落したと思われることや、FRB に遅れて金融政策姿勢を緩和している他の中央銀行もあり、金利を要因に米ドルが大きく売られる可能性は低下したと思われます。

以上

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