ECB 金融政策(2019 年3 月)

  • マーケットレター
  • 2019年03月
~緩和的な金融政策の強化~
ポイント
  • 緩和的な金融政策の強化
  • 景気、物価見通しの下方修正
  • 利上げ見通しの先送り
  • 長期の資金供給の実施
  • 金利上昇は阻まれやすい

緩和的な金融政策の強化

ECB(欧州中央銀行)は2019年3月7日(現地)開催の理事会で、景気、物価見通しを下方修正すると共に、利上げ見通し(フォワード・ガイダンス)を修正し、銀行への長期の資金供給(TLTRO)の実施を決定しました。銀行への固定金利、金額無制限での現行の短期の資金供給も少なくとも2021年3月まで実施されます。ドラギ総裁の説明によれば、いずれも全会一致での決定です。一連の対応は緩和的な金融政策の強化と評価されます。市場が想定していたよりも早いタイミングでの実施であった模様で、ECB理事会後にユーロは大きく下落しました。

景気、物価見通しの下方修正

景気、物価見通しは下表の通り全体として下方修正されましたが、2019年の下方修正が顕著です。昨年後半から今年初めにかけての各種景気指標の弱さに鑑みれば、当面は潜在成長率に近い1%程度の成長がせいぜいと考えられます。また、基調的なインフレ率が過去数年にわたって1%前後で推移している状況からして、景気悪化の下でインフレ率が1%から目立って上昇するとも考えがたく、ECBもようやく実勢を反映した見通しに落ち着いてきたと言えます。注目すべきは、緩和的な金融政策を強化してもなお、景気見通しに係るリスクを下振れのままとしたことです。ドラギ総裁は地政学上のリスクなど、不確実性の広がりを要因として指摘しました。

ECBの経済見通しの表 実質GDP成長率とインフレ率

利上げ見通しの先送り

フォワード・ガイダンスの修正は、具体的には、政策金利が現在の水準にとどまると期待される期間を、少なくとも「2019年夏の終わりまで」から「2019年末まで」に延長したことです。2020年3月まで延長する意見もあったとのことですが、低金利が銀行収益に及ぼす影響が勘案された模様です。もっとも、「いずれにせよ必要なだけ長く」との方針も従来通り記述されており、結局はデータ次第である点が強調されました。低インフレの長期化が予想されるなか、ECBの利上げは2019年どころか2020年中も困難と思われ、時間の経過に応じて、フォワード・ガイダンスは一段の修正が見込まれます。一方で、景気後退やインフレ期待の不安定化の可能性は低いとし、利下げや量的緩和の再導入は議論されなかったとドラギ総裁は明言しました。

長期の資金供給の実施

TLTROの実施はこれが三度目となります。目的は銀行の資金繰りの改善で、2019年9月から2021年3月まで四半期毎に実施される、銀行への期間2年の資金供給です。詳細は後ほど公表されますが、適用金利は政策金利に連動した低金利で、金額の上限は各銀行の貸出実績に応じて決定される見込みです。2014年9月から2016年6月にかけて実施された第一弾は2018年9月に全て満期を迎えており、2016年6月から2017年3月にかけて実施された第二弾も最長4年の満期を順に迎えることに対応してのものです。TLTROは貸出のインセンティブが付与されている点でも効果的です。

金利上昇は阻まれやすい

緩和的な金融環境、良好な労働市場、賃金の上昇が景気拡大と物価上昇を下支えし、インフレ率は先送りされつつもやがて2%に戻るとの見通しをECBは堅持しています。もっとも、多額の経常収支の黒字を計上しているユーロ圏だけに、最近の景気悪化は外的要因が大きいと考えられ、結局は中国経済や米中の通商協議がユーロ圏経済の当面の鍵を握ると考えられます。仮に、中国経済の持ち直しや米中の通商協議の合意が見られれば、ユーロ圏経済の一段の悪化は避けられるでしょう。とは言え、世界最大の経済規模を誇る米国の景気が減速基調にあるなか、ユーロ圏経済の力強い成長や2%のインフレ目標の達成は容易には見通せません。また、ユーロ圏の経済ファンダメンタルズや金融政策だけでなく、緩和方向に傾斜しつつある米国の金融政策に鑑みても、ユーロ圏の金利上昇は阻まれやすいと考えられます。

ECB政策金利と国債利回りのグラフ  ドイツ10年国債利回り 主要オペ金利 中銀預金金利

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