J-REIT市場の需給環境

  • マーケットレター
  • 2020年08月
7月の投資部門別売買動向と世界株式指数への組み入れ

7月は国内⾦融機関の買いが市場を⽀える

2020年7月のJ-REITの投資部門別売買動向は、銀⾏が208億円、投資信託が79億円、生保・損保が16億円の買い越しとなりました。一方、個人投資家が117億円、外国人投資家が94億円、ETFへの資⾦流出入も含まれる証券会社の自己売買部門が72億円の売り越しでした。7月末の東証REIT指数は1,664ptで前月末比▲0.1%(配当込み指数は同+0.3%)でした。月内の指数の変動は小さく、横ばい圏で推移した月で、TOPIX(配当込み)の同▲4.0%に比べ底堅い推移となったのは、地銀を中⼼とした国内⾦融機関の買いが市場を支えたためと考えられます。
国内の個人投資家が117億円の売り越しに転じました。平時は同統計では捕捉されない新規上場や増資で投資口を取得し、その売却を⾏うため、売り越し主体である個人投資家は6月まで異例の4カ月連続の買い越しでした。一方で投資信託を通じたJ-REIT市場への資⾦流入は継続しています。
外国人投資家は4カ月連続での売り越しとなったものの、7月は94億円と売り越しの規模は大きく縮小しました。3月の343億円の買い越しの後、4月にはJ-REIT市場の上昇を背景に利益確定での売り越しに転換、その後は売り越しが続いており、3月の急落時の買い以上の売りが進んだ印象です。
7月の日銀によるJ-REITの買い入れは105億円で、銀⾏部門から日銀分を差し引いた⺠間銀⾏は103億円の買い越しだったと試算されます。⺠間銀⾏は6月の115億円(試算)に続き、2カ月連続の買い越しです。7月はREIT-ETFへの資⾦流入も相応にあり、3月の急落時にロスカット・減損の実施を強いられた⺠間銀⾏がJ-REIT市場に戻りはじめたと考えられます。
超緩和的な⾦融環境が続くなか、J-REITの相対的に⾼い利回りは魅⼒的で、市場の落ち着きと共に⺠間銀⾏がJ-REITの継続的な買い越し主体となると考えており、引き続き動向に注目しています。

東証REIT指数の推移(2007年1月初から2020年8月14日)
(出所)ブルームバーグ
J-REITの主要投資部門別売買動向(2019年8⽉から2020年7⽉)
(出所)東京証券取引所

英FTSE社の株式指数への組み入れによるJ-REITの買い需要

英国の指数算出会社FTSEは2020年9月からFTSEグローバル株式指数にJ-REITを組み入れると2019年9月に発表しました。2020年8月21日(現地)、FTSEグローバル株式指数定期⾒直しと同時に、同指数に新たに組入れる最終的なJ-REITの銘柄一覧が発表される⾒込みです。
2020年9月定期⾒直し以降、同社が算出する株式指数シリーズは、四半期ごとに25%ずつ計4回に分けてJ-REITの組み入れを実施、2021年6月定期⾒直しをもって完了します。同指数は機関投資家の間で広く利用されており、指数に連動するような運用(パッシブ運用)を実施しているファンドの資⾦流入に加えて、投資家の裾野の広がりが期待されます。
パッシブ運用の買い需要として3,000億円程度との⾒方もあり、4回に分けて四半期ごとに組み入れが実施されるため、1回当たり700億円程度の買いインパクトが期待されます。
日銀は2020年3月16日に開かれた⾦融政策決定会合で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界経済の不透明感の⾼まりへの対応の一つとして、J-REITの年間購入目標額の上限を従来の900億円から、当面は1,800億円に倍増すると発表しました。日銀のJ-REIT買い入れ実績は2019年528億円、2020年は7月末までで895億円でした。市場の急変後、日銀がJ-REITを積極的に買い入れを⾏った4-6月期の買い入れ額が415億円だったことを考えると、上記の指数組み入れによる買いインパクトが大きく、日銀と合わせてJ-REIT市場を買い支えることが期待されます。
日銀はJ-REITの買い入れを個別銘柄ベースで⾏っており、保有比率が一部の銘柄で日銀の定める上限の発⾏済み投資口数の10%に近づいています。ただし上限比率の引き上げなどにより今後もこれまで通り、日銀のJ-REITの買い入れが続くと考えています。

FTSE社のJ-REIT組み入れスケジュール
(出所)FTSE社より大和アセット作成
日銀のJ-REIT買い入れ額(四半期)の推移
(出所)ブルームバーグより大和アセット作成
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