⾜元の⽶国リート市場と今後の⾒通し

  • マーケットレター
  • 2020年05月
現在の市場環境は魅⼒的な投資機会を提供

※当資料は、コーヘン&スティアーズ・キャピタル・マネジメント・インク(以下、コーヘン&スティアーズ社)のコメントを基に大和アセットマネジメントが作成したものです。

現在の⽶国リート市場を取り巻く混乱は、経済活動が再開する際に最初に回復が期待される優良な上場リートに割安な価格で投資できる貴重な投資機会を提供していると考えています。

Point 1:現在の市場環境は、⽶国リート市場への魅⼒的な投資機会を提供

Point 2:景気後退局⾯後に⼤幅なリターンにつながる可能性

新型コロナウイルスの感染拡⼤による経済および資本市場への影響に対する不透明感が依然として残るものの、⽶国リートの魅⼒的なバリュエーションや⼗分な資⾦流動性などを勘案すると、2020年は⻑期投資を想定する投資家にとっては魅⼒的な投資機会を提供する可能性が⾼いと考えています。また、⽶国リート市場の健全なファンダメンタルズを背景に、過去の実績と同様、景気後退局⾯を脱した後、⼤幅なリターンにつながる可能性が⾼いと考えています。

Point 1︓現在の市場環境は、⽶国リート市場への魅⼒的な投資機会を提供

マーケットの振り返り

新型コロナウイルスの封じ込め対策やソーシャル・ディスタンスといった措置によって経済活動が停滞し、依然として⾦融市場全体が⼤きな影響を受けています。⽶国リートについては、2020年1-3⽉期において⼤幅な下落を経験した後、3⽉31⽇から5⽉8⽇まで6.5%上昇したものの、⽶国株式市場の13.6%の上昇と⽐べるとアンダーパフォームしています(図1)。

⼀定期間にわたる賃貸借契約に基づく底堅いキャッシュフローおよび強固な財務体質にもかかわらず、⽶国リートのパフォーマンスの劣後は、ホテル、商業施設、⾼齢者向け住宅やオフィスといった多くの⼈々が利⽤するタイプの不動産に対する懸念の⾼まりを反映していると考えられます。

(図1)⽶国リートおよび⽶国株式のパフォーマンス(トータル・リターン、⽶ドルベース)(2020年3⽉31⽇から2020年5⽉8⽇)

3⽉31⽇から5⽉8⽇までの回復局⾯におけるセクター別パフォーマンス

⽶国リート市場は、3⽉31⽇から5⽉8⽇までの回復局⾯を⾒ると、NAREITエクイティ・リート指数が分類する貸倉庫以外のセクターは、プラス・リターンとなりました(図2)。⼾建住宅や集合住宅といった賃貸住宅セクターは最も良好なパフォーマンスとなっており、データセンターも堅調に推移しました。

⼾建住宅および集合住宅を含む賃貸住宅は、その必要不可⽋性や家計の⽀出項⽬において家賃⽀払いの優先順位が⾮常に⾼いことなどを理由に、相対的に堅調なパフォーマンスとなりました。また、データセンターなどテクノロジー関連のリートは、eコマースや在宅勤務の増加によるデータ通信量の拡⼤を背景に、相対的に⼤きく上昇しました。在宅勤務など、⾃宅をベースとする活動が増加傾向にあることから、こうしたリートは今後も有利な⽴ち位置にあると考えています。

ディフェンシブなセクターとみなされている貸倉庫は、1-3⽉期に相対的に底堅く推移した後に下落し、3⽉31⽇から5⽉8⽇の期間においてはアンダーパフォームしました。⼀部の貸倉庫リートで賃料を割り引く等の兆候が⾒られ始め、収益への重しとなる可能性が意識されたことから下落しました。新型コロナウイルスの感染拡⼤を受けて、渡航規制や出張制限が継続されていることを背景に、ホテル/リゾート・セクターは引き続き相対的に冴えないリターンとなりました。

(図2)⽶国リートのセクター別リターン(トータル・リターン、⽶ドルベース)(2020年3⽉31⽇から2020年5⽉8⽇)

魅⼒的なバリュエーション

⽶国リートは引き続き魅⼒的なバリュエーションにあるとみています。3⽉末時点よりややバリュエーションは上昇していますが、過去5年間のレンジで⾒た場合、現在の⽶国リートはほとんどのセクターにおいてその下限に近い⽔準で取引されています。また、株式や債券に対しても、⽶国リートのバリュエーションは魅⼒的であると考えています(図3-図6)。

(図3)⽶国リートのNAV(純資産価値)に対するプレミアム/ディスカウント(図4)⽶国リートの株価収益率の推移(⽶国リートの株価/FFO倍率)
(図5)株価収益率の推移 ⽶国リートvs.⽶国株式(図6)主要資産クラスの利回り⽐較

過去20年間にわたり、投資家が現在のようなバリュエーション⽔準で優良な不動産に投資できる機会はほとんどありませんでした。市場全体の不透明感は依然として残るものの、現在の株価は不動産保有会社が経験するであろう痛みの多くを既に織り込んでいると考えられます。⻑期投資を想定する投資家にとって2020年は、強固な財務体質を有する企業および今後の成⻑が⾒込まれる優良企業を選定して投資する魅⼒的な機会となると考えています。

Point 2:景気後退局⾯後に⼤幅なリターンにつながる可能性

マクロ⾒通しと⽶国リートに対する影響

世界的に景気後退に陥っており、2020年における⽶国の実質GDP(国内総⽣産)は約6%のマイナス成⻑となると予想される⼀⽅で、現在の景気後退局⾯は⽶国リートへの魅⼒的な投資機会を⽣み出していると考えています。中央銀⾏および政府による前例のない規模の⾦融および財政刺激策に加え、最終的には新型コロナウイルスの感染が収束に向かうとの⾒⽅を背景に、⽶国経済は現在の危機から回復し、今後12ヶ⽉にかけて徐々に正常化すると予想しています。

2008年の⾦融危機当時に実施された措置とは対照的に、FRB(⽶国連邦準備制度理事会)は今回、経済を危機から救済するために迅速に積極的な対応措置を講じており、資⾦市場に潤沢な流動性を供給しています。このFRBによる⽀援策に加え、⽶国リートの平均負債⽐率が歴史的に低⽔準にあることが⽶国リートの信⽤リスクの⾼まりを抑制しています。過去10年にわたり、⽶国リートは保有する資産の質を⾼めるとともに、財務体質を強化してきました。そのため、現在のような厳しい環境が続いても⼗分に耐えることができ、環境の変化が追い⾵となるリートには成⻑を⾒込むことも可能であると考えています。

⽶国リートの総じて健全なファンダメンタルズ

⾜元の環境下、ホテルや商業施設リートは賃料回収が困難な状況にある⼀⽅で、多くの不動産セクターにおいては新型コロナウイルスの感染拡⼤による影響は限定的であり、むしろ⼀部のセクターでは需要の増加が観測されています。例えば、産業施設はここ数ヶ⽉においてeコマース関連テナントによる⼒強い需要が⾒られており、4⽉の賃料回収率も堅調です。

2020年において、⽶国リート市場全体における賃料成⻑率は低下するものの、引き続きプラス成⻑を⾒込んでいます。商業施設セクターは引き続き弱含む⼀⽅、産業施設や集合住宅等のセクターは2021年にかけて緩やかに回復すると予想しています(図7)。

(図7)⽶国リートの主要セクターのNOI(営業純利益)の予想

⾜元の4⽉から5⽉にかけて、⽶国リート各社は2020年1-3⽉期の決算を発表しましたが、多くの企業は市場予想を上回るもしくは市場予想通りの決算内容を発表しています。市場予想を下回る決算内容を発表したリートは約30%あったものの、この⽔準は過去平均と同程度となっています。また、⽶国リートが⼤半を占める⽶国不動産セクターの2020年収益は、現時点では2019年対⽐で5%の減益を予想しています。株式市場全体の24%の減益予想と⽐較すると、⽶国リートの減益幅は⽶国株式と⽐べてかなり⼩幅な⽔準に留まるとみています(図8)。さらに、⼀部のリートの減配を考慮しても、⽶国リートの配当利回りは引き続き魅⼒的な⽔準にあると考えています。

(図8)S&P500種株価指数のセクター別⼀株当たりの純利益(EPS)成⻑率(%)の予想

歴史的観点から⾒ると、10%以上の市場調整から回復した局⾯はこれまでに6回ありましたが、リートは緩和的な⾦融環境と需要の再加速の恩恵を受け、株式市場全体よりも平均して迅速かつ強⼒に回復しています(図9)。現在のような環境下、市場の底を予想することは極めて困難であり、⻑期投資を想定する投資家は引き続き⽶国リートのファンダメンタルズを注視すべきであると考えています。

(図9)過去において市場調整後の⽶国リートのパフォーマンスは良好

リートは以下に⽰すように様々な優位性を有するため、厳しい経済環境においても相対的に耐久⼒が強い資産クラスであると考えています。

  • ⼀定期間の賃貸借契約に基づく⽐較的安定した収益(厳しい景気サイクル局⾯においてもディフェンシブ性を保持)
  • 魅⼒的な配当利回り
  • 低⾦利環境の継続による資産価値の向上と資⾦調達コストの低下
  • 「モノ」ではなく「スペース」を提供するビジネスモデル(サプライチェーン断裂の直接的な影響は⼩さい)

今後の⾒通し

新型コロナウイルスの今後の感染規模およびその経済へのインパクトを予想することは⾮常に困難であり、状況によっては企業の収益が⼤幅に減少し、財務体質が脆弱化する可能性もあります。そのため、現在のような景気後退局⾯では、財務体質が健全と判断される企業に注⽬していきます。

また、厳しい経済環境下においても需要増加が期待されるセクターを選好するとともに、厳しい状況にあるセクターにおいても、危機から脱した後により強固となり、有利な⽴ち位置を確保できると予想される、割安かつ⼗分な資本を有する企業にも投資妙味があると考えています。

とりわけ、賃貸住宅に対しては前向きな⾒⽅を維持します。集合住宅に関しては、失業者の急増による影響は地域によって⼤きく異なっています。⽐較的⾼収⼊の雇⽤者が多いシアトルやサンフランシスコにおいては、経済ショックによるマイナス影響は限定的だと考えられます。また、デジタル・プラットフォームに対する需要の⾼まりを背景に、データセンターといったテクノロジー関連のセクターも選好しています。さらに、貸倉庫にも投資機会があると考えています。貸倉庫の運営企業によれば、外出制限下にある⼈々が居住スペースをより有効に確保したいというニーズから、ウェブサイトやコールセンターへの照会が著しく増えているようです。商業施設については、eコマースの台頭などにより⻑期にわたって構造的な逆⾵に晒されていますが、それらの問題の多くは現在のリート価格に織り込まれつつあるとみています。商業施設においても、強固な財務体質を有し、⽣活必需品を販売する⼩売テナント(⾷料雑貨、薬局やディスカウント・ストア)の⼊居率が⾼く、レストランやフィットネス・クラブといった厳しい環境にあるテナントへのエクスポージャーが低い商業施設に投資機会を⾒いだしています。ヘルスケア・セクターに関しては、いくつかの分野においては引き続き困難な環境に直⾯している⼀⽅、社会的に必要不可⽋な施設であり、今後⾃宅隔離や外出制限が緩和されていくなかで、収益が⼤いに回復する余地があると考えます。

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