⽇銀⾦融政策決定会合(2020年4⽉)

  • マーケットレター
  • 2020年04月
企業の資⾦繰り⽀援を意識した対応が⽬⽴つ内容

新型コロナウイルス問題を受け追加の⾦融緩和策を決定

4⽉27⽇に⽇本銀⾏は⾦融政策決定会合を開催し、追加の⾦融緩和策を発表しました。決定されたのは、①CP(コマーシャル・ペーパー)・社債等買⼊れの増額、②新型コロナウイルス感染症にかかる企業⾦融⽀援特別オペ(⺠間⾦融機関に対する貸付期間1年以内、貸付利率0%の貸し付け)の拡充、③国債の買⼊れ上限の撤廃、の3点です。
同時に発表された「経済・物価情勢の展望(2020年4⽉)」における政策委員の⼤勢⾒通しでは、2020年度の実質GDP伸び率が▲5.0〜▲3.0%と1⽉時点の+0.8〜+1.1%から⼤きく下⽅修正され、新型コロナウイルス問題の国内経済への影響の⼤きさを改めて意識させられる内容となりました。⽇本銀⾏による追加の⾦融緩和は2020年3⽉会合に続き、2会合連続です。

CP・社債等の買⼊枠拡⼤は企業の資⾦繰りに寄与

国債の買⼊れはこれまでの「保有残⾼の増加額年間約80兆円をめど」の⽂⾔が外れ、「10年物国債⾦利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な⾦額の⻑期国債の買⼊れを⾏う」と無制限の買⼊れを⾏うことに改められました。⼤きな政策転換ではありますが、⾜元の買⼊れペースは年間80兆円を⼤きく下回っているため、⽬先の影響は限定的と考えます。
⼀⽅、注⽬されるのはCP・社債等の買⼊れ増額です。事前に観測報道が流れていたものの、その規模が⼤きくサプライズです。買⼊れ増額は2020年9⽉までの時限措置であるものの、2020年1⽉会合時点の合計約5.4兆円が、今回は合計約20兆円と4倍近くに拡⼤することになりました。CPや社債市場における流動性向上が⾒込まれ、CPや社債の発⾏を通じた上場企業を中⼼とする企業の資⾦繰りに対してプラス効果が期待出来ると考えます。

株式市場のセンチメントを下⽀え

株式市場への影響ですが、2020年3⽉会合においてETFの買⼊れペースを従来の2倍に拡⼤した程のインパクトはなく、直接的な影響は⼩さいと考えます。国債買⼊額を無制限とし、10年物国債⾦利ゼロ%程度などをターゲットとするイールドカーブ・コントロール政策の⻑期化による低⾦利環境の継続により、⾦利の影響が⼤きいセクターへの制約は継続することが⾒込まれます。
それでも経済環境の不透明感が強い⾜元の状況を考えれば、企業の資⾦繰り⽀援を強化し、銀⾏に対する特別貸付を強化した今回の追加緩和策は信⽤リスクの低下をもたらし、株式市場のセンチメントを下⽀えすることが期待されます。仮に今後、新型コロナウイルス問題が再び悪化し、株式市場への下押し圧⼒が強まる局⾯が訪れたとしても、下値余地を限定化する効果があると考えます。

2019から2022年度の政策委員の大勢見通し
(出所)⽇本銀⾏より⼤和アセット作成
CP・社債等の年間買入額の推移
(出所)⽇本銀⾏より⼤和アセット作成
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