インド2020/21年度予算案

  • マーケットレター
  • 2020年02月
安全運転を継続
ポイント
  • 景気低迷のなかでも財政規律を守りつつ、穏健な予算案を発表。
  • 歳出は前年度⽐13%増加、景気⽀援と海外投資の促進へ。
  • 株式市場は想定内の予算案に失望し、売りで反応。今後の政府の実⾏⼒に注⽬。

財政規律⾯での安全運転を継続

インド政府は2⽉1⽇、2020/21年度(2020年4⽉〜2021年3⽉)予算案を国会に提出しました。
⾜元景気低迷が続く中で、財政による景気⽀援策への期待もありましたが、政府は財政規律の⼤幅な緩みには踏み出さず、穏健な予算案を発表しました。
蓋を開けてみると、財政健全化への取り組みを当⾯先送りしたものの、市場予想の範囲内に収まる内容となりました。2019/20年度(2019年4⽉〜2020年3⽉)の財政⾚字対GDP⽐率は、2019年9⽉に⼤幅減税を⾏ったこともあり、当初の⽬標3.3%から3.8%へ引き上げられましたが、市場予想の範囲内に収まりました。また、注⽬の2020/21年度は、財政⾚字⽬標を対GDP⽐で3.5%にしましたが、前年度⽬標改定値3.8%より改善したことが評価され、マーケットへの影響は限定的となりました。
中期的には、財政規律の⽅向が維持されていることで、景気⽀援と財政規律の綱引きの中、おおむねバランスの取れた予算案と⾔えるでしょう。また景気回復につれ、⾜踏み状態の財政健全化を再び推進していくことも期待できます。

財政⾚字対GDP⽐の実績及び政府⾒通しのグラフ 2009年度から2023年度
(出所)インド政府2020-21年度予算案

歳出は前年度⽐13%増加、景気⽀援と海外投資の促進へ

歳出に関しては、政府は前年度⽐で13%増加を⾒込んでいますが、⼤きく分けて、景気⽀援策と海外投資の促進策に分けられます。

景気⽀援策に関しては、事前に観測されていた所得税減税が期待通りに発表されました。減税規模は対GDP⽐率で約0.2%に上り、低所得層への減税幅が⼤きく、近年の農業の不振による消費低迷の改善に寄与すると考えられます。今後3〜6⽉にかけては、ラビ作(冬作)の豊作への期待もあり、約6割の⼈ .を占める農村部の消費の改善が期待できます。
その他の景気⽀援策として、インフラ投資に関しては、政府が昨年末に中⾝を発表した5年間の投資計画「102兆ルピーのインフラ投資パイプライン」に沿う内容となりました。ただし、2020/21年度に割り当てられた投資額は、前年度⽐6%増加にとどまり、著しい景気浮揚効果には⾄らないとみられます。⼀⽅で、ソブリンウェルスファンドによるインフラプロジェクトへの投資条件の緩和は、インフラ投資を後押しすることが期待できます。

海外投資の促進策に関しては、配当分配税の廃⽌や、社債の外国⼈保有制限を9%から15%へ緩和するなど、海外投資家の株式、債券市場への投資を後押しする政策が盛り込まれました。昨年9⽉発表の⼤型法⼈税の引き下げに合わせて、海外資⾦の流⼊の安定化に寄与すると考えられます。

実質GDP成⻑率の推移のグラフ 2013年1-3⽉期から2019年7-9⽉期
(出所)CEIC

⽬⽟策の⽋如を指摘する声も

今般の予算案に関しては、インド国内のマーケットでは、⽬⽟策の⽋如を指摘する声もあります。これは、昨年末にモディ⾸相が⼤⼈数の経財界の要⼈と会談し、議会の中で財政責任法の緩和などを議論する動きも⾒られたことで、何らかの⽬新しい景気対策への期待が膨らんでいたことに起因するものです。特に、株式市場では⻑期キャピタルゲイン税の⼀層の低減を期待する投資家も浮上するなど、予算案への期待は⾼まっていました。
それだけに、蓋を開けて特にポジティブサプライズがなかったことで、⼀部マーケット参加者の失望感をもたらし、いったん下落で反応したと考えられます。

インドSENSEX指数の推移のグラフ 2019年2⽉3⽇から2020年2⽉3⽇
(出所)ブルームバーグ

今後の政府の実⾏⼒に注⽬が集まる

今回の予算案の中では、⼀部疑問が残るものもあります。特に、歳⼊に関しては、国有資産の売却により不⾜分を補う⽅針が継続されていますが、売却が進まず、対GDP⽐率で約0.5%の今年度の⽬標さえ達成できない可能性が⾼い中で、来年度の⽬標を0.9%へ引き上げたことは、実現性に⼤きな疑問を抱かせます。また、銀⾏システム健全化のための銀⾏セクターへの資⾦注⼊額も不⼗分とみられています。
景気減速がやや深刻化する中で、財政健全化が制約となり、モディ政権には⾮常に難しいかじ取りが求められています。今後は、今般の予算案や2019年発表の景気⽀援策が最⼤限に景気押し上げに寄与できるよう、政府が実⾏⼒を⾼められるかに注⽬が集まるでしょう。

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