引き続き良好なファンダメンタルズが⽶国リートを下⽀え

  • マーケットレター
  • 2019年11月
⾜元は⼀時的な調整も、緩やかな経済成⻑と低⾦利環境が追い風

健全なファンダメンタルズに加えて、経済成⻑の減速を背景に投資家によるディフェンシブな特性と相対的に⾼い配当利回りを有する証券への⼒強い需要により、2019年初から10月末まで、米国リートはS&P500種指数を大きくアウトパフォームしました。

11月に入り、第3四半期の決算内容が市場予想より総じてやや弱かったことや、各社による公募増資の継続や⻑期⾦利の⼩幅な上昇を背景に、米国リートは広範な株式市場をアンダーパフォームしています。米中通商協議の進展に対する期待の⾼まりや、英国がEU(欧州連合)から強硬離脱する懸念が後退したことなどにより、投資家がリスク選好姿勢を強めてきています。

こうした環境のもとで、コーヘン&スティアーズは以下の理由により、引き続き米国リートは有利な⽴ち位置にあると考えています。

1. 緩やかな経済成⻑と低⾦利環境

2020年および2021年における米国の経済成⻑率を市場は1.8%(2)と予想しており、低⾦利環境はしばらく継続するとみています。

⽶国の成⻑率グラフ 1989年10月末から2019年9月末

低⾦利の継続は、米国リートの信用市場へのアクセスを支援し、リートの相対的に魅⼒的な配当利回りと底堅いキャッシュフロー成⻑⾒通しをより一層際⽴たせるため、米国リートにとって有利な環境です。グローバルな経済成⻑に不安要素が⾼まるなか、近い将来に債券利回りが大きく上昇する可能性は低いとみています。

異なる経済成⻑や⾦利環境下での平均年率トータル・リターンの図 1989年12月から2018年12月

また米国リートは、商業用不動産の賃貸借契約に基づく安定的な収益とキャッシュフローを提供できることから、過去の景気サイクルの後期(成⻑減速期)および後退期において勝ち組となってきました。上の図表で示しているように、経済成⻑率および債券利回りが同時に低下する局面において、米国リートは絶対的にも相対的にも良好なパフォーマンスとなっています。

さらに、リートは国内市場のビジネスが中⼼となっており、海外諸国における経済成⻑鈍化による直接的な影響を受けにくいため、現在進⾏中の米中通商協議は、米国リートにとって大きな打撃となる可能性は低いとみています。実際に、米国リートはほとんどの収益を米国内に保有する不動産物件から得ており、S&P500種指数の11業種内において海外収益⽐率は3番目に低い業種となっています。

2. ⽶国リートの不動産ファンダメンタルズは依然として健全

低失業率、⼒強い賃⾦成⻑および底堅いGDP成⻑を背景に、米国のほとんどの市場およびセクターにおいて不動産に対する需要が強い状況にあります。一方で、土地、建設および労働コストの上昇が賃料の上昇ペースを上回っているため、不動産の供給はピークアウトしつつあります。物件保有者がより強い価格交渉⼒を保持できる現在の環境は、リートにとっては追い風であり、このような底堅いファンダメンタルズが2020年にかけて継続する⾒通しです。

⽶国の非農業部門雇⽤者数および雇⽤成⻑率のグラフ 1999年5月から2019年9月

米国リートのセクターの中でも、いくつかの主要な投資テーマに注目しています。まず、人⼝成⻑トレンド、雇用者数および賃⾦の増加を背景に、米国の様々な形態の賃貸住宅を選好しています。また、データセンターなどのテクノロジー関連のリートにも投資機会を⾒出しており、米国およびその他の国におけるデータ利用の急増による恩恵を享受できるとみています。

米国リートの負債⽐率は歴史的に⾒ても低⽔準にあり、財務体質は強固で、資本市場へのアクセスも良好であるとみています。不動産に対する健全な需要、限定的な供給に加え、低い資本調達コストを背景に、米国リートは投資家に対して⻑期にわたって⾼い⽔準にありながら、なお成⻑するインカムを提供できると考えています。

健全な需要+限定的な新規供給+低い資本調達コスト=キャッシュフロー成⻑及び配当成⻑
既存物件営業純利益vs. 実質GDP成⻑率のグラフ 2002年6月から2019年9月

3. ⽶国リートのバリュエーションは適正

年初来の⼒強いパフォーマンスにもかかわらず、米国リートのバリュエーションは、株式市場と⽐較すると引き続き適正⽔準にあると考えられ、非上場不動産市場や債券市場対⽐で魅⼒的であるとみています。下のグラフが示す通り、株価収益率の観点から米国リートは広範な株式市場に対してはおおむね適正⽔準ながら、10月末時点においてもなおリートが相対的にやや有利な状況です。その後の株価上昇と、リート価格下落により、バリュエーション面からリートの下値抵抗⼒は⾼まっていると考えられます。

株価収益率の推移のグラフ ⽶国リートvs. ⽶国株式 2002年12月から2019年10月

また、市場情報提供会社のプレキン社や、大⼿不動産調査会社のグリーンストリート・アドバイザーズ社によると、コア不動産をめぐる競争環境が激化するなか、非上場不動産市場における待機資⾦は3,000億米ドル以上までに積み上がっており、商業用不動産価格の上昇圧⼒となっています。この状況は、プライベート投資資⾦がリートからプレミアム価格で保有物件を購入する可能性が⾼まっていることを示唆しており、上場リートの収益の⾼まりによりバリュエーションを潜在的に下支えする要因となりうると考えています。さらに、FRB(米国連邦準備制度理事会)がより⻑い期間にわたり⾦利を低い⽔準に保つ可能性が⾼いことも、米国リートにとっては追い風となるとみています。たとえ米国債利回りが上昇した場合でも、現在の米国リートの配当利回りと米国10年債利回りのスプレッドは過去平均を上回っており、さらには⾦融危機前の平均を大きく上回る⽔準となっています。このスプレッドは⾦利上昇によるネガティブな影響を和らげる効果があると考えます。

利回り比較のグラフ ⽶国リートの配当利回りvs. ⽶国10年債利回り 1990年1月から2019年10月

不動産に対する底堅い需要と規律ある新規供給が続く環境の下で、経済成⻑がやや減速する局面でも安定的なキャッシュフロー成⻑が期待できることから、米国リートは引き続き他資産に⽐べて魅⼒的な相対リターンのみならず絶対リターンを提供できると考えています。コーヘン&スティアーズでは、米国の景気および不動産市場のサイクルは依然として健全であり、内需型の特性を有し、着実な収益成⻑の可能性を持つ米国リートは、今日そして今後の市場環境において、潜在的に魅⼒的な分散投資効果をもたらすことができるとみています。

※当資料は、コーヘン&スティアーズ・キャピタル・マネジメント・インクのコメントを基に大和投資信託が作成したものです。

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