J-REIT市場の現状と見通し

  • マーケットレター
  • 2019年09月
底堅い相場展開を想定
ポイント
  • 2019年度下期のJ-REIT市場は底堅く推移する⾒通し
  • オフィス、住宅は堅調なファンダメンタルズが継続
  • ⻑期⾦利の低下を背景に高い利回り差を維持
  • バリュエーションは過去平均並みの水準

2019年度下期のJ-REIT市場は底堅く推移する⾒通し

2019年度下期のJ-REIT市場は、①堅調なファンダメンタルズ、②J-REIT市場が上昇するなかでも高い利回り差を維持していること、③過熱感のないバリュエーションなどを背景に、底堅い相場展開になると考えております。

東京オフィス市況は、堅調な需要を背景に空室率、賃料ともに良好

2019年7月時点の東京都心5区のオフィス・ビル平均空室率(三⻤商事調べ)は、1.71%と6月に比べて0.01ポイント低下、引き続き低水準を維持しました。新規ビルが満室や満室に近い稼働率で竣⼯したことや、既存ビルで増床やオフィス集約などに伴う成約がみられたこと、大型テナント退去の動きが少なかったことなどが空室率低下の背景です。

平均賃料は、21,665円/坪と前月比で0.68%上昇し、前年同月比の上昇率は7.24%でした。2014年1月から67ヶ月連続の上昇となり、この期間の上昇率は33.68%となりました。

都心5区のオフィス賃料・空室率の⽉次推移のグラフ 2007年9月から2019年7月
※対象地区は都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)。
※調査対象ビルは東京ビジネス地区内にある基準階面積が100坪以上の主要貸事務所ビル。建物全部の一括賃
貸など特殊な事情のあるビルは、調査対象に含まれておりません。
(出所)三⻤商事

都心オフィス市場は引き続き堅調に推移する⾒込み

東京のオフィスビル供給について、森トラストが発表した「東京23区の大規模オフィスビル供給量調査‘19」によると、2018年は147万㎡と過去20年で4番目に高い水準でした。2019年の供給は102万㎡と過去20年平均(108万㎡/年)並みの水準となりますが、2020年は再び上昇に転じ、過去20年で3番目の規模となる179万㎡の供給が⾒込まれます。

一方で、2021年〜2022年の供給量は2020年までの大量供給の反動で大幅に減少します。2023年は一時的に上昇しますが、過去平均並みの水準にとどまります。2019年以降の5年間の平均供給量は約98万㎡と、過去20年平均(108万㎡/年)を下回る水準に落ち着く⾒通しです。

上記のように2023年までの5年間でみると⼗分に供給の消化が⾒込まれる水準であるといえます。また、都心のオフィス需要は堅調であり、2019年竣⼯のビルは既に大部分で募集を終了させており、2020年竣⼯のビルもテナント誘致が順調なビルが多いことから、引き続きオフィス市場は堅調に推移すると⾒込まれます。

東京23区の⼤規模オフィスビル供給量の推移グラフ  竣⼯済は1999年から2018年、予測は2019年から2023年
(出所)森トラスト

都心の賃貸住宅市場は好調、緩やかな賃料上昇が続く

マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)によると、東京23区のマンション賃料は、2011年頃から緩やかな上昇を続けています。

賃料上昇の背景として、地価や建築費の上昇などから、賃貸住宅の新規供給が抑えられていることや、東京都への⼈⼝流⼊傾向が続き世帯数が増加していることなどがあります。この傾向は今後も続くとみられ、都心の賃貸住宅の賃料環境は堅調に推移することが予想されます。

特に、住宅REITの保有物件に多いシングルタイプや、コンパクトタイプについては、1世帯あたりの⼈数が減少していることから需要が強く、賃料上昇の恩恵を受けやすいといえます。住宅REITの保有物件の稼働率は高水準で推移しています。賃料が上昇することで、賃料収⼊の拡大を通じた分配⾦水準の向上が期待されます。

マンション賃料インデックス(エリア:東京23区) 2009年Q1から2019年Q1
※部屋タイプ:シングルタイプ18㎡以上30㎡未満、コンパクトタイプ30㎡以上60㎡未満、ファミリータイプ60㎡以上100㎡未満
(出所)マンション賃料インデックス(アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所)をもとに大和投資信託が作成

⻑期⾦利の低下を背景に、高い利回り差を維持

2018年12月末からみると、東証REIT指数が大幅に上昇したため分配⾦利回りは⾜元で低下していますが、⻑期⾦利も大幅に低下しているため、利回り差は引き続き高い水準を維持しています。年初からのバリュエーションには大きな変化はないといえます。

東証REIT指数と国債との利回り差のグラフと国債利回りのグラフ 2018年12月末から019年8月末
※利回り差=東証REIT指数分配利回り-国債(残存10年程度)利回り。
※上記資産は異なるリスク特性を持つものであり、利回りの⽐較はあくまでご参考です。
※税⾦等諸費用は考慮しておりません。
(出所)ブルームバーグ

バリュエーションは過去平均並みの水準

ファンダメンタルズが堅調ななか、バリュエーション面では過去平均並みの水準にあります。

市場全体のNAV倍率(物件の価値を時価で評価した1⼝あたり純資産と投資⼝価格の倍率)は、1倍を超えているものの、過去平均と同水準であり、過熱感はないといえます。

J-REITのNAV倍率の月次推移のグラフ 2002年2月から2019年7月
※NAV倍率はJ-REIT全銘柄の時価総額加重平均値。
(出所)不動産証券化協会

J-REITの魅⼒:安定した配当収益と値上がり益に期待

2008年12月末からの指数の推移をみると、東証REIT指数(配当込み)のリターンはTOPIX(配当込み)を大きく上回っています(下図参照)。J-REITは、高い配当利回りを背景に、配当収益が東証REIT指数(配当込み)のリターンの過半を占めており、トータルリターンを押し上げています。J-REITは株式に比べて、安定した配当収益が期待できる資産といえます。

また、J-REIT市場は、海外市場や為替などの影響を受けにくく、堅調なファンダメンタルズを背景に、底堅く推移しています。⾜元では、配当を含まない東証REIT指数のリターンもTOPIXを上回っているように、値上がり益も⼗分に狙える資産であるといえます。

東証REIT指数の推移グラフと TOPIXの推移グラフ 2008年12月末から2019年8月末
※2008年12月末を100として指数化
(出所)ブルームバーグデータをもとに大和投資信託が作成

※TOPIXおよび東証REIT指数に係る知的財産権は、株式会社東京証券取引所(東証)に帰属します。なお、本商品は東証により提供、保証又は販売されるものではなく、本商品に係る損害等について東証は責任を有しません。

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