最近のインド株式市場の動向について

  • マーケットレター
  • 2019年08月
多くの好材料から株式市場の反発を期待
ポイント
  • 7月発表の政府予算案への失望と世界的な景気減速懸念から株式市場は下落
  • 今後は増税撤回や個⼈消費の回復などの好材料を受けた株式市場の反発を期待

7月発表の政府予算案への失望と景気減速懸念から株式市場は下落

インドの株式市場は5月に開票された下院総選挙においてモディ⾸相率いるインド⼈⺠党の⼤勝利を受けて構造改革の進展期待から6月には史上最⾼値を更新しました。しかし、7月に発表された政府予算案では国営銀⾏への資本注⼊やノンバンクの流動性改善策等が盛り込まれたものの、財政支出を伴う景気浮揚策は期待を下回る内容となりました。さらに、富裕層や海外機関投資家を対象とした増税案が提案されたことから、株式市場はネガティブに反応しました。特に海外機関投資家は、増税案によってセンチメントが悪化し資⾦を引き揚げる動きとなり、株式市場の値下がり要因となりました。

また、⽶中貿易摩擦の深刻化によって世界的な景気減速懸念が広がり、海外機関投資家がリスクオフの姿勢を強めた結果、為替市場においてはインド・ルピーが安くなりました。

インドSENSEX指数の推移のグラフ

今後は増税撤回や個⼈消費の回復などの好材料を受けた反発を期待

⽶中貿易摩擦が激化し世界的な景気減速懸念はありますが、その影響で原油価格が値下がりした場合、原油輸⼊国であるインドにはプラス材料でもあり、総合的に影響を⾒る必要があります。

政府は予算案発表後の株式市場や景気動向を注視しつつ、産業界をはじめ海外機関投資家を含めた市場関係者と対話を重ねました。その上でシタラマン財務相は8月23日に海外機関投資家に対する増税案を撤回するとともに、自動⾞産業への支援策を発表、さらに近日中に追加施策を発表すると発言しました。

またインドの中央銀⾏であるRBI(インド準備銀⾏)は政府への配当⾦と剰余⾦の納付額の算定⽅法の明確化を⾏い、過去最⼤となる⾦額を政府に納付することを発表しました。政府はRBIからの納付⾦の使途を明らかにしていませんが景気刺激策への財政支出が有⼒視されています。

当初懸念されていたモンスーンの降⾬量は平年並みまで回復し、農作物の収穫への悪影響は低下すると⾒込まれており、個⼈消費が活発になる秋のフェスティバル・シーズンでの個⼈消費の増加が期待されます。政府による景気刺激策と個⼈消費の回復が⾒えてくれば株式市場の底堅い動きが⾒込まれます。

グローバルでは数少ない⾼成⻑市場であるインドに対する海外機関投資家の投資スタンスに⼤きな変更はないと考えており、政府による増税案撤回や追加の景気刺激策を受けて再び資⾦流⼊に転じると考えています。為替市場におけるインド・ルピーも安定した値動きが期待されます。

インド・ルピーの推移のグラフ
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