米国バンクローンの市場環境と今後の⾒通し

  • マーケットレター
  • 2019年07月

※以下のコメントは、J.P.モルガン・アセット・マネジメントのコメントを基に大和投資信託が作成したものです。

本レポートでは、米国バンクローンの足元の市場環境および今後の⾒通しについてご説明いたします。

米国バンクローンの発⾏市場

⾦利動向、経済環境、需給などによって変動するバンクローンの発⾏市場

  • バンクローンの発⾏市場は、⾦利動向、経済環境、投資家からの需要、企業の資⾦調達⼿段としてハイ・イールド債券と比較した調達のしやすさ、などの要因により変動します。発⾏市場を取り巻く環境を⾒極めながら、増減を繰り返して成⻑していく市場であり、環境が悪化した場合には、純発⾏額が落ち込む傾向があります。
  • ⾦融危機後、バンクローンの市場全体はおおむね拡大傾向にあります。2017年、2018年は発⾏額が償還などを上回り、純発⾏額が2年連続で2014年以来の⾼い⽔準となりました。
  • ①米国の景気が良好であったこと、②⾦利上昇局⾯で変動⾦利商品への投資家の需要が⾼まったこと、③ハイ・イールド債券との比較で相対的に割安感が⾼まったこと、などバンクローンを発⾏しやすい環境であったことが背景にあります。
バンクローン市場の時価総額の推移

米国バンクローンのファンダメンタルズ

バンクローン発⾏企業のファンダメンタルズは安定的

  • 2015年末以降、米国の政策⾦利の引き上げが実施されてきましたが、米国企業の業績はそれ以前から継続しておおむね堅調に推移しています。そのため、2012年末以降バンクローンの残⾼が増加傾向となったものの、利益対比でみた⾼借⼊企業(発⾏企業の利益*対比の借⼊の比率が5倍以上)のバンクローン市場に占める割合は50%前後の⽔準でほぼ横ばい推移しています。
  • また、財務の安定性を⽰す指標の1つである⽀払利息に対するキャッシュフローの比率を⾒ても、利払いの能⼒の低い企業(1倍未満)の割合は低⽔準で推移しています。
バンクローン市場に占める高借入企業の割合

今後の⾒通し

デフォルト率を考慮すると、バリュエーションは適正な⽔準

  • 米国企業の業績には一部鈍化が⾒られますが、総じて堅調となっていることが、バンクローンのファンダメンタルズの⽀援材料となっています。また、足元の景気に関しては、製造業に弱い数字が⾒られ始めたものの、消費が堅調であり、減速には至っていません。主要先進国の中央銀⾏の⾦融政策、貿易問題、その他マクロ経済指標には注視する必要はありますが、引き続きポジティブなファンダメンタルズは続くと考えています。
  • 2018年末にリスク回避の動きが強まり、リテール向けの投資信託の資⾦流出額が大きく増加したものの、年初からは市場のセンチメントの回復により落ち着きを取り戻しています。バンクローン市場に占めるリテール投資信託の保有比率は低⽔準であることや2019年の新規発⾏が限定的と予想されているため、需給環境の大きな悪化は想定していません。また、証券化商品からの需要が昨年に引き続き堅調であると⾒込まれていることは追い風要因と考えています。
  • バリュエーションに関しては、低いデフォルト(債務不履⾏)率を考慮すると適正⽔準にあると考えています。世界経済が減速する中でエネルギーセクターなどコモディティ関連銘柄のデフォルトが上昇する可能性には注視が必要ですが、今後もデフォルト率は過去と比較すると低⽔準に留まると予想しています。
  • FRB(米国連邦準備制度理事会)は景気に配慮したかたちで⾦融政策のスタンスを変化させてきており、今後1年〜1年半の間に米国経済がリセッション⼊りする可能性は低いとみています。ただし、貿易問題や米国大統領選挙などのイベントに関しては、景気の⾏⽅を左右する要因として動向を注視していく必要があると考えます。
バンクローン投資信託 月次純流出入額の推移
当資料のお取扱いにおけるご注意
  • 当資料は、ファンドの状況や関連する情報等をお知らせするために大和アセットマネジメントにより作成されたものであり、勧誘を目的としたものではありません。
  • 当資料は、各種の信頼できると考えられる情報源から作成していますが、その正確性・完全性が保証されているものではありません。
  • 当資料の中で記載されている内容、数値、図表、意見等は当資料作成時点のものであり、将来の成果を示唆・保証するものではなく、また今後予告なく変更されることがあります。また、記載する指数・統計資料等の知的所有権、その他の一切の権利はその発行者および許諾者に帰属します。
  • 当資料中における運用実績等は、過去の実績および結果を示したものであり、将来の成果を示唆・保証するものではありません。
  • 当資料の中で個別企業名が記載されている場合、それらはあくまでも参考のために掲載したものであり、各企業の推奨を目的とするものではありません。また、ファンドに今後組み入れることを、示唆・保証するものではありません。