ディフェンシブ性を発揮する米国リート

  • マーケットレター
  • 2019年06月
リートは厳しい市場環境において下値抑制の役割を果たす

最近の市場環境

過去1年間(2018年4⽉末〜2019年4⽉末)において、米国リートのパフォーマンスは米国株式を大きく上回りました。底堅い経済成⻑により多くの不動産に対する需要が増加し、多くの市場における物件稼働率をほぼ過去の最⾼⽔準まで押し上げてきました。当初、⼒強い経済成⻑の恩恵を受け、不動産市場のファンダメンタルズが良好であったにもかかわらず、米国リートは米国株式に対してやや出遅れていました。しかし、2018年末にかけて、米国の⾦融引き締めや、グローバルな貿易摩擦問題や経済減速に対する懸念の⾼まりを背景に、投資家が安定的な収益を創出でき、魅⼒的な配当利回り、バリュエーションが相対的に低いディフェンシブな資産クラスを選好するようになり、その結果として、米国リートはアウトパフォームを開始しました。

米国リートと米国株式の推移のグラフ
※米国リートはNAREITエクイティ・リート指数(トータルリターン・米ドルベース)を使用しています。
※米国株式はS&P500種株価指数(トータルリターン・米ドルベース)を使用しています。
(出所)ブルームバーグ

底堅い米国の経済成⻑、不動産市場にとってポジティブな要因となる雇用拡大および賃⾦上昇の継続が確認されたことで、米国リートは引き続き米国株式に対してアウトパフォームしています。FRB(米国連邦準備制度理事会)による利上げ停⽌の可能性や、欧州における利上げ観測の後退などを含め、各国の中央銀⾏が⾦融引き締めに対する慎重姿勢を強めたことも⽀援材料となりました。
コーヘン&スティアーズ社では、以下を背景に米国リートは引き続き良好なパフォーマンスを提供できる有利な⽴ち位置にあると考えています。

  • 貿易摩擦問題の激化による直接的な影響が限定的
  • 低⾦利環境はリートにとっては追い風
  • ほとんどすべてのタイプの不動産ファンダメンタルズは良好
  • 米国リートのバリュエーションは、米国株式に対して適正⽔準となっているものの、非上場不動産市場対⽐では引き続き魅⼒的

米国リートに有利な市場環境

1. 相対的に海外売上⾼⽐率は低く、世界的な不確実性の⾼まりによる影響は限定的

貿易摩擦の激化に対する懸念や英国のEU(欧州連合)からの離脱をめぐる不安が⾼まる環境下、リートはこれらの問題による直接的な影響を受けにくい資産クラスです。米国リートの場合は、米国内に保有する不動産から多くの収益を得ています。S&P500種株価指数の全11業種のうち、リートを含む不動産セクターの海外売上⾼⽐率は3番目に低い業種となっています。

S&P500種株価指数の業種別海外売上⾼⽐率のグラフ
(出所)バンク・オブ・アメリカ、コーヘン&スティアーズ社

2. 低⾦利環境は米国リートにとっては追い風

⾜元でインフレ圧⼒が抑制されているなか、中央銀⾏は⾦融政策に対してハト派の姿勢に転換しています。米国の経済成⻑は底堅い⼀⽅、FRBは⻑期間にわたり低⾦利環境を維持する⾒込みです。短期的に⾦利の影響を受けやすい米国リートにとって、低⾦利環境の継続は追い風となります。

米国の政策⾦利と⻑期⾦利の推移のグラフ
※政策⾦利の⾒通しは2019年3⽉時点(左から2019年末、2020年末、2021年末)
(出所)FRB、ブルームバーグ

3. 米国不動産市場のファンダメンタルズは引き続き良好

米国の経済成⻑はやや減速傾向ではあるものの、依然として堅調であり、不動産市場の良好なファンダメンタルズは継続すると予想します。雇用増加、失業率の低下、賃⾦上昇や依然として⾼い⽔準にある消費者景況感は、リートのパフォーマンスの追い風になるとみています。ほとんどの不動産タイプに対する需要が底堅い環境にある⼀⽅で、労働コストや建設コストの上昇を背景に、不動産物件の新規供給は今後にかけて減少傾向にあります。このように不動産の需給バランスが有利な環境下、物件を保有するリートは引き続きある程度の価格交渉⼒を維持し、結果として1桁台半ば程度の健全な収益成⻑および配当成⻑が⾒込めると予想しています。

GDP成⻑率の推移(対前年⽐)のグラフ
(出所)ブルームバーグ、コーヘン&スティアーズ社
米国商業⽤不動産新規物件供給率のグラフ
※新規物件供給率は集合住宅、産業施設、オフィス、ショッピング・モール、ショッピング・センターの5セクターの単純平均値です。集合住宅に関しては⼾数、その他のセクターは床⾯積に対して算出されています。
(出所)グリーンストリート・アドバイザーズ、コーヘン&スティアーズ社

4. 米国リートのバリュエーションは米国株式対⽐では適正水準、非上場不動産市場対⽐では魅⼒的

米国リートは年初来、堅調に推移してきており、絶対的なバリュエーションは適正⽔準となっています。しかし、価格収益率では米国株式と同様に適正⽔準に近づいているものの、依然としてやや有利な状況にあります。また、非上場不動産市場対⽐では、米国リートのバリュエーションは引き続き魅⼒的だと考えています。
良好なファンダメンタルズにもかかわらず、米国リートの価格/FFO倍率は過去6年間において低下してきた⼀⽅で、過去1年間の下落を考慮しても、米国株式の株価収益率(PER)は拡大しています。コーヘン&スティアーズ社では、現在の米国リートのバリュエーションは米国株式に対してほぼ適正⽔準にあるとみています。

純資産価値(NAV)に対するプレミアム/ディスカウントのグラフ
(出所)UBS、コーヘン&スティアーズ社
価格収益率の⽐較のグラフ
※米国株式は、ラッセル300種価格指数を使用しています。
※米国リートは、FTSE NAREITエクイティ・リート指数を使用しています。
(出所)UBS、コーヘン&スティアーズ社

また、非上場不動産ファンドに積み上げられた約3,000億米ドルの待機資⾦が、リートが保有する実物不動産の取得機会を模索しています。非上場不動産ファンドがこの膨大な待機資⾦をもって、今後リートからプレミアム価格で不動産物件を取得することや、プレミアムを加えたバリュエーションでリート自体を買収する動きの活発化が、米国リートを下⽀えするとみています。

非上場不動産ファンドの待機資⾦のグラフ
※待機資⾦とは非上場不動産ファンドが実物不動産への投資のために投資家から集めた投資確約⾦額(コミットメント)のうち、未投資部分を指します。
(出所)プレキン、コーヘン&スティアーズ社

新しいタイプのリートの台頭

米国リートはこれまで、経済成⻑とともに投資家に安定的な配当を提供し、資産形成の⼀助となってきました。制度が導⼊された1960年以降、米国リートは主要な資産クラスの⼀つとして成⻑してきました。それと同時に、異なる特性を持つ多くの不動産タイプも誕⽣してきました。これを背景に、米国リートの投資家は、⽐較的少ない資本で豊富な投資機会を獲得することができ、多種にわたる実物不動産に裏付けられたポートフォリオを構築することできるようになりました。
オフィス、集合住宅、商業施設、ホテルや産業施設などの伝統的なセクターが米国リート全体の大部分の割合を占める⼀⽅で、新しいタイプのリートの誕⽣は投資家に新たな付加価値を与えています。例えば、通信塔リートを含むインフラストラクチャーやデータセンター・セクターは、eコマースのバリューチェーンを⽀える必要不可⽋なリートとなっており、今後⻑期にわたって恩恵を受けるとみています。また、米国における移動データ通信の急速な利用拡大も追い風になると思われます。
米国の良好な雇用環境や⼈⼝動態を背景に、あらゆる住宅リートに注目しています。伝統的なセクターである集合住宅以外に、現在は総じて良好な需給環境にある⼾建住宅や簡易住宅といった新しいタイプの住宅リートを選好しています。手頃な価格でライフスタイルの変化に合わせて専門的に管理された⼾建住宅への需要は引き続き⾼く、また、⾼齢者層が退職後の住居として手が届き、住み替えしやすい簡易住宅への旺盛な需要も新しいタイプの住宅リートの成⻑を牽引すると考えられます。

米国リートのセクター別リターンのグラフ
※米国リート全体はFTSE NAREITエクイティ・リート指数を使用しています。
※インフラストラクチャーはFTSE NAREITエクイティ・リート指数内のセクターではありません。
(出所)コーヘン&スティアーズ社

⻑期的な資産配分先としての米国リート

過去における⼒強いリターン、魅⼒的な配当利回り、株式や債券との低い相関に鑑みて、米国リートはこれまで投資家にとって分散投資先としての役割を果たしてきました。⾦融危機後、米国リートと米国株式の相関が⾼まっていた時期があったものの、現在では過去の⻑期平均の⽔準まで低下してきています。米国リートは、不確実性が⾼まる環境下だからこそ、投資家に分散効果を提供できる可能性があり、景気減速局⾯においてディフェンシブ性を発揮できるとみています。
不動産は短期的な投資テーマではありません。米国リートに⻑期的に資産を配分することで、商業用不動産の⻑期にわたる特徴に基づき、すべての景気サイクルを通じて魅⼒的な配当収益とともに、投資家のポートフォリオにリスク調整後のリターンを提供することが期待できます。

米国リートのトータル・リターン(年別)のグラフ
※米国リートは、FTSE NAREITエクイティ・リート指数(トータルリターン・米ドルベース)を使用しています。
(出所)コーヘン&スティアーズ社

不動産需給が健全な⽔準にあること、米国リートの強固な財務体質、相対的に魅⼒的なバリュエーションや株式市場との低い相関を背景に、2019年の米国リートを取り巻く環境は引き続き良好です。したがって、コーヘン&スティアーズ社では、米国リートは引き続き有利な⽴ち位置にあり、魅⼒的なリターンを投資家に提供できると考えています。

※当資料は、コーヘン&スティアーズ・キャピタル・マネジメント・インクのコメントを参考にして大和投資信託が作成したものです。

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