米国バンクローンの概要と市場環境

  • マーケットレター
  • 2019年05月

※以下のコメントは、J.P.モルガン・アセット・マネジメントのコメントを基に大和投資信託が作成したものです。

本レポートでは、⽶国バンクローンをご理解いただくため、住宅ローンを例に⽤いたバンクローンの概要と⾜元の市場環境および今後の⾒通しについてご説明いたします。

バンクローンの概要

最近はニュースなどで少しずつ存在感を高めつつあるバンクローンですが、⼀般的には馴染みの少ない資産クラスとなります。
バンクローンの概要をご紹介するにあたり、イメージをより分かりやすくお伝えするため、住宅ローンの仕組みの例を⽤いながら、バンクローンの概要についてご説明いたします。

住宅ローンの仕組み

  • まず、住宅ローンの仕組みを簡単におさらいしましょう。住宅ローンとは、住宅を購⼊・改築するために銀⾏などから借りるお⾦のことです。借り⼿は銀⾏などに対して元本の返済をしながら利息を⽀払う仕組みです。
  • ⼀般的に、銀⾏は借り⼿の返済能⼒がなくなった場合に備えて、借り⼿に対して担保の差し⼊れを要求します。
住宅ローンのイメージ図
※上記は、⼀般的な住宅ローンのイメージであり、実際と異なる場合があります。担保の売却により元本全額を回収できない場合があります。
※本資料のデータ・分析等は過去の実績や将来の予測、作成時点における当社および当社グループの判断を⽰したものであり、将来の投資成果および市場環境の変動等を⽰唆・保証するものではありません。
(出所)J.P.モルガン・アセット・マネジメント

バンクローンの仕組み

  • バンクローンは、銀⾏などの⾦融機関が、主に格付けが投資適格未満の事業会社等に対して⾏う貸付債権であり、⼀般に馴染みのある住宅ローンとおおむね似た構造をしています。
  • 銀⾏から売却されたバンクローンは、流通市場で取引されることで、さまざまな投資家により保有されることになります。投資信託などを通じてバンクローンに投資することは、投資家が「銀⾏」の⽴場になり“貸し⼿”のメリットを享受することを意味します。
  • 欧⽶では、バンクローンは「レバレッジド・ローン」と呼ばれることもあります。その由来は、多くのLBO(レバレッジド・バイアウト、買収対象の企業の資産やキャッシュフローなどを担保に資⾦調達をして⾏う企業買収を指す)の資⾦調達⼿段として使われたことにあるとされており、とりわけ信⽤⼒の低い企業が借⼊により資⾦調達をするという意味で「レバレッジド・ローン」と呼ばれています
バンクローンのイメージ図
※上記は、⼀般的なバンクローンおよび市場のイメージであり、実際と異なる場合があります。バンクローンには無担保のものもあります。また、担保の売却により元本全額を回収できない場合があります。
※本資料のデータ・分析等は過去の実績や将来の予測、作成時点における当社および当社グループの判断を⽰したものであり、将来の投資成果および市場環境の変動等を⽰唆・保証するものではありません。
(出所)J.P.モルガン・アセット・マネジメント

バンクローンのリターンの特徴

バンクローンの⾦利は主に変動⾦利が採⽤されており、LIBOR(ロンドン銀⾏間取引⾦利)などの短期⾦利を基準として、個別企業の信⽤⼒などを加味した⾦利を上乗せして決定されます。また、⼀般的には基準⾦利にはフロアと呼ばれる下限⾦利が設けられます。
そのため、固定⾦利の債券と⽐較して、バンクローンは⾦利変動に強いという特徴があります。結果として、バンクローンの価格変動はリーマンショックやチャイナショックなどといった極端な市場環境を除くと限定的となっており、相対的に安定したリターンの享受が期待されます。

米国バンクローン市場の推移のグラフ トータルリターン 米ドルベース
※1991年12月末を100として指数化。
※⽶国バンクローン:CSレバレッジド・ローン・インデックス(トータルリターン、⽶ドルベース)を使⽤。
※本資料のデータ・分析等は過去の実績や将来の予測、作成時点における当社および当社グループの判断を⽰したものであり、将来の投資成果および市場環境の変動等を⽰唆・保証するものではありません。
(出所)クレディ・スイス、J.P.モルガン・アセット・マネジメント
米国バンクローン市場のリターンの内訳推移のグラフ
※⽶国バンクローン:CSレバレッジド・ローン・インデックス(トータルリターン、⽶ドルベース)を使⽤。
※本資料のデータ・分析等は過去の実績や将来の予測、作成時点における当社および当社グループの判断を⽰したものであり、将来の投資成果および市場環境の変動等を⽰唆・保証するものではありません。
(出所)クレディ・スイス、J.P.モルガン・アセット・マネジメント

米国バンクローン市場の足元の推移

2018年の⽶国バンクローン市場は、大きく2つの局⾯に分けることができます。

  • 2018年の初めから中頃までは、証券化市場からの需要が堅調だったことや、⼀般投資家向け投資信託に資⾦流⼊が継続したことが⽀援材料となりました。また、おおむね堅調な企業業績も下⽀えとなりました。⼀時的に市場の変動性が高まる局⾯も⾒られたものの、⼀般的にバンクローンの基準⾦利とされるLIBORの⽶ドル⾦利上昇を背景としたクーポン収⼊の増加期待から資⾦流⼊は継続し、良好な需給環境により、プラスのリターンが続きました。8月は、デフォルト(債務不履⾏)件数が0件とファンダメンタ ルズは堅調で、スプレッド(国債との利回り格差)も縮小しました。
  • その後は世界的な経済成⻑の減速懸念、原油価格の下落、株式市場の下落などにより⼀転し、10月末から年末にかけて、⽶国バンクローン市場は約3%下落しました。

2019年に⼊ると、年初より市場は上昇に転じました。前年末に悪化したセンチメントはすでに改善し、年初から⾜元(5月16日時点)で5%を超えるリターンとなっています。

  • 2018年末の市場下落時には相対的に高い格付けのローンが底堅く推移しましたが、2019年初も引き続き高格付ローンが市場をけん引しました。マーケットの反発局⾯において、流動性の高さから相対的に高い格付けのローンが積極的に買われたことが主な要因と考えられます。
  • その後は遅れをとっていた相対的に低い格付けの銘柄が市場をけん引し、目⽴った決算発表がなく動きが限定的であった3月を除き、プラスのリターンが続いています。昨年10月頃から⼀般投資家向け投資信託からの資⾦フローは純流出が続いているものの、流出ペースは落ちてきています。また、⽶国バンクローン市場全体に占める⼀般投資家向け投資信託の割合は1割にも満たないことや新規発⾏も減少していることから、需給環境は大きく悪化していないと考えられます。
昨年らいの米国バンクローン市場の推移のグラフ トータルリターン、米ドルベース
※2017年12月29日を100として指数化。
※⽶国バンクローン:CSレバレッジド・ローン・インデックス(トータルリターン、⽶ドルベース)を使⽤。
※本資料のデータ・分析等は過去の実績や将来の予測、作成時点における当社および当社グループの判断を⽰したものであり、将来の投資成果および市場環境の変動等を⽰唆・保証するものではありません。
(出所)クレディ・スイス、J.P.モルガン・アセット・マネジメント

米国バンクローン市場の今後の⾒通し

⽶中貿易摩擦問題や世界的な景気減速懸念、コモディティ価格の変動などが懸念材料ですが、⽶国経済は依然として底堅く、発⾏体のファンダメンタルズも良好な状態が継続していることから、2019年後半もバンクローン市場は底堅く推移すると予想しています。また、限定的な新規発⾏や幅広い投資家の利回りを求める投資需要も下⽀えとなるとみられるほか、担保付であることの優位性もポジティブに働くものと考えられます。

運⽤⾯においては、スプレッドが縮小傾向にある中、個別企業のボトムアップ分析がより重要になってくるものと考えています。

  • ⽶中通商協議の⾏⽅やFRB(⽶国連邦準備制度理事会)の⾦融政策の動向は重要ですが、マクロ要因だけがすべての個別企業に影響を与えるとは考えていません。
  • ⼀部の技術メーカー企業は⽶中貿易摩擦の影響を受けやすいと考えられます。とりわけ中国への依存が強い企業はサプライチェーンへの影響を受けると考えられますが、関税の導⼊引き上げだけがデフォルト率の上昇につながるとは想定していません。
  • 確かにこれらの影響は市場参加者がもっとも関⼼を抱くポイントではありますが、今後、貿易問題の極端な悪化や深刻なリセッションの現実味が高まることがない限り、個別発⾏体リスクの⽅がより重要であると考えています。

業種別では、以前から小売セクターに逆風の環境が続いています。中国からの輸⼊に依存していた企業は関税の影響を受けると考えられますが、ここ1年ですでにそのリスクを織り込み、中国への依存度を下げています。そのため、関税の影響よりもアマゾン効果による実店舗販売の減少による影響の⽅が大きいと考えています。
また、クレジットサイクルの終盤であることに鑑みると、高めの格付けにあるヘルスケア・セクターや公益セクターなどディフェンシブ銘柄が魅⼒的なリスク対⽐リターンになるとみています。

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