トルコ・リラは史上最安値を更新

  • マーケットレター
  • 2018年08月

トルコ・リラは3つの理由から下落を続け、史上最安値を更新

年初からトルコ・リラは下落が続き、史上最安値を更新しています。特に8月に入ってからはトルコ・リラの下落のスピードが加速しており、8月10日にはトルコ・リラが急落する動きとなりました。当社は、この背景には3つの理由があると考えています。

① 中央銀行の独立性をめぐる懸念

② インフレ加速や財政拡張などをめぐる懸念

③ 米国との関係悪化など外交をめぐる懸念

足元の通貨安はこれらの懸念を織り込む形で進展していると考えられることから、こうした懸念が和らぐことが、相場の安定には必要と考えられます。

① 中央銀行の独立性をめぐる懸念

エルドアン大統領は以前より金利の引き下げを望む発言を行うなど、利上げを望む市場とは相反する姿勢を示しています。そのような中で、エルドアン大統領が市場からの信認の厚いシムシェキ氏を財務相に再任しなかった一方で、娘婿であるアルバイラク氏を新財務相に起用したことや、中央銀行総裁と副総裁を指名する権限を自身に与えたことなどから、金融政策への介入強化が市場では不安視されました。7月の金融政策委員会では市場では1.00%ポイントの利上げが見込まれていましたが、実際には予想に反して政策金利は据え置きの結果となったことで、市場はその懸念を強めました。

過去には中央銀行の独立性を懸念する市場の通貨売りによって、中央銀行が緊急利上げに追い込まれたことがあります。その後には、相場が反転した経緯もあり、エルドアン大統領の意向に反して中央銀行が利上げを実施できるかどうかが注目されます。

② インフレ加速や財政拡張などをめぐる懸念

トルコ・リラが安定を取り戻すためには加速を続けるインフレを抑制するとともに、トルコ政府が経常赤字体質の改善に取り組み、市場からの信認を回復することも必要であると考えます。高インフレの背景には通貨安以外にも景気過熱や財政拡張などの要因もあり、政府から財政緊縮への道筋が示されるかが注目されます。

8月10日(現地)に演説を行ったエルドアン大統領やアルバイラク財務相からは市場が期待するような具体的な対策は打ち出されませんでしたが、今後発表される見込みの財政計画および構造改革パッケージにおいては、成長のための財政拡張よりも中長期的な財政健全化方針が示されるとの市場の観測もあることから、その内容に当社も注目しています。

③ 米国との関係悪化など外交をめぐる懸念

トルコ当局が米国人牧師を長期間拘束している問題で、米国との関係が悪化しています。この問題のそもそもの発端は、2016年にトルコで発生したクーデター未遂事件の首謀者とトルコ側が考える、米国在住のギュレン氏の身柄引き渡し要求に米国が応じないことにあります。現時点では、この問題を理由に米国がトルコの大臣2名の資産を凍結する制裁を発動し、これに対抗してトルコも米国に同様の制裁を発動しています。トルコと米国の関係者が事態の打開に向けた協議を行っているものの、具体的な進展はみられていません。エルドアン大統領は米国の要求に屈しない姿勢を示していますが、制裁合戦がエスカレートすることで米国がトルコの企業や金融機関に対して、制裁を発動することがトルコにとっての対外関係面での最大のリスク・シナリオだと考えています。

対話による関係改善の道筋が外交努力を通じて見え、両国の強硬姿勢が和らぐかどうかに注目しています。

トルコ・リラは当面不安定な値動きが見込まれる

足元のトルコ金融市場はニュースや要人発言などに反応しやすい環境となっており、当面は値動きが大きくなりやすいとみております。トルコ金融市場の安定を回復するためには、米国との関係改善や中央銀行による大幅利上げなど、トルコ政府による大胆な政策が必要と考えます。また、中長期的なトルコのファンダメンタルズを改善させるための財政緊縮や構造改革への道筋を示し、市場からの信認を回復することも必要と思われます。このような政策が確認されるまでの間、トルコ・リラは不安定な値動きが続きやすいとみています。

以上

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