フィリピン金融政策

  • マーケットレター
  • 2018年08月
~三会合連続で政策金利を引き上げ~

インフレ率抑制のために政策金利を0.5%ポイント引き上げ

8月9日(現地、以下同様)、フィリピン中央銀行は政策金利である翌日物借入金利を3.5%から4.0%へと0.5%ポイント引き上げました。5月と6月の利上げに引き続き、2018年に入って三度目、三会合連続の利上げとなります。利上げ幅も2008年以降で最大となりました。

フィリピン中央銀行は、インフレ見通しが上振れするリスクが大きくなったことから利上げに踏み切ったと説明しています。今後につきましては、インフレの脅威に対処し物価安定化を果たすために必要なあらゆる策を講じる強い決意と準備があると述べました。将来の追加利上げに含みを持たせました。

フィリピンの物価動向については、7月のCPI(消費者物価指数)は前年比+5.7%と加速しました。物価上昇ペースは税制改革の実施、原油価格の上昇、通貨安などの影響から3月以降、中央銀行のターゲット(+2~+4%)を超えた水準となっています。一方、こうした利上げの動きは、米国金利の上昇やFRB(米国連邦準備制度理事会)の利上げペース加速化の見通しなどを背景にインドネシアやインドなど一部の新興国でも見られます。迅速な政策対応によって一方方向の通貨安に歯止めがかかっており、フィリピン・ペソも7月に入ってから対米ドルでの下落に一巡感がうかがえます。

利上げはフィリピン・ペソの下支え要因だが、引き続き注視が必要

三会合連続の利上げは、インフレ率の上昇を抑制し、フィリピン・ペソの下支え要因となると考えています。一方で、経常収支の動向には引き続き警戒が必要です。政府が積極的に進めているインフラ(社会基盤)投資が実行段階に入り、高水準の資本財輸入を必要としていることなどは経常収支悪化の一因となっています。政策当局はインフレ抑制に目配りをしつつ経済政策の運営を行う必要があり、難しいかじ取りが求められています。

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