イタリアの政治混迷に揺れる市場の今後の展望

  • マーケットレター
  • 2018年05月
~先行き不透明感は強いが、外債への長期投資の好機と見るべき~

イタリア政治の混迷を受けて市場のリスク回避姿勢が強まる

イタリアでの政治情勢の混迷を受けて、世界の金融市場がリスク回避姿勢を強めています。震源地となった欧州債券市場ではイタリアの国債価格が急落(利回りが上昇)し、2 年債利回りは2012 年の欧州債務危機以来の水準に達しました。イタリア情勢混迷の影響は広範に波及し、5 月29 日の世界の株式市場は総じて下落したほか、為替市場では欧州通貨や新興国通貨が下落しました。一方で、安全資産である米国債や円に資金が向かったため、米国債の価格が大きく上昇(利回りは低下)し、円が上昇しました。

2018 年2 月以降、米国の利上げが続くとの見通しから金利が上昇したことや米中貿易摩擦の激化などを背景として、株式市場や新興国市場が軟調に推移していましたが、ここにイタリア政治情勢という新たな不透明要素が加わった格好となり、市場のリスク回避姿勢がますます強まっているというのが足元の状況です。

イタリアでは再選挙の可能性が濃厚であり、先行き不透明感は強い

ここでイタリア政治情勢の整理をしておきたいと思います。今年3 月に行われた総選挙において、反EU(欧州連合)やバラマキ財政を志向するポピュリズム(大衆迎合主義)政党である「五つ星運動」と極右「同盟」が支持を集めました。これら2 党が連立協議を行い、法学者であるコンテ氏を次期首相とした閣僚人事案をマッタレッラ大統領に提示しましたが、反EU 色が強かったため大統領はこれを拒否し、組閣は失敗しました。大統領はIMF(国際通貨基金)元高官であるコッタレッリ氏を次期首相に指名し組閣を命じましたが、この政権は議会の承認を得られないとみられており、早ければ7 月にも再選挙の可能性が取り沙汰されています。ただし政党支持率を見ても、再選挙時には「五つ星運動」と「同盟」の得票率が伸びることが予想され、その際にはイタリアのユーロ離脱機運が盛り上がるとの連想が高まっているというのが現状です。

世界経済のファンダメンタルズは損なわれておらず、外債への長期投資の好機と見るべき

イタリアの経済規模はユーロ圏で3 番目と大きく、その政治混迷による市場のリスク回避傾向はしばらく続きそうです。しかし当社は、イタリアのユーロ離脱を巡る市場の懸念は行き過ぎであると判断しています。イタリアには高水準の政府債務があり、ユーロ離脱による資金調達面での悪影響が大きいため、現実的な選択肢ではないと考えられるからです。「五つ星運動」や「同盟」の党首が「ユーロ離脱を模索していない」旨の発言をしているのも、こうした事実を理解し始めたからだと思われます。その代わり、今後イタリアはEU に対し財政規律の緩和などを訴えかけていくとみています。

イタリア政治情勢以外にも、米朝首脳会談や各国で選挙など重要イベントが予定されており、当面はボラティリティ(価格変動性)の高い市場環境が続くと想定されます。しかし世界経済が依然として底堅く推移していることや、新興国の経済・財政ファンダメンタルズは過去と比べて強固となっていることをふまえると、多くの通貨で対円為替レートが下落し債券利回りが上昇している現状は外債への長期投資の好機であると考えています。タイミングや購入価格を分散しながら投資を行い、金利の果実を上手に受け取ることが重要だと考えています。

以上

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