新興国からの資金流出懸念などでブラジル・レアルは下落

  • マーケットレター
  • 2018年05月

米国金利上昇による資金流出懸念で新興国通貨は軟調な推移

ブラジル・レアルを含む新興国通貨は足元で軟調に推移しています。その主な要因は、米国金利の上昇により新興国の対米金利差が縮小したことで、新興国からの資金流出懸念が高まったことであるとみています。

すでにトルコやインドネシアなど、いくつかの新興国で通貨防衛のための利上げが行われている中で、ブラジル中央銀行は5 月16 日(現地、以下同様)に、市場が利下げを予想する中、政策金利の据え置きを決定しました。今回の政策金利の据え置きは、急速な通貨安によって将来的なインフレ率の上昇リスクが高まった点が政策判断において重視されたものとみられます。

今後、米国の経済指標の予想比上振れなどから、米国の利上げペースの加速が一段と市場で意識され、さらなる米国の金利上昇と新興国通貨安につながるリスクには注意が必要です。

ただし当社では、新興国の経済・財政面での健全性は増しており、また政策発動余地も残されていることから、過去と比べて外的ショックに対する耐性は強まっていると考えています。グローバル金融市場が落ち着きを取り戻すにつれて、新興国の高い金利を安定して享受できる環境に戻り、新興国への資金流入が再び活発化すると予想しています。

大統領選挙をめぐる不透明感や足元の経済指標の予想下振れも逆風

ブラジル・レアルの下落については、新興国からの資金流出懸念に加えて、10 月に控える大統領選挙をめぐる不透明感や、足元の経済指標が予想よりも弱い結果となったこともその要因となっているとみています。

大統領選挙については、最新の世論調査で、収監されたルラ元大統領の支持率がトップとなっています。その他の候補者の中では、極右のボウソナロ氏の支持率が高い一方で、最も金融市場寄りの候補者として投資家から評価されているアルクミン氏の支持率が低迷していることが明らかになっています。大統領選挙については今後も流動的な状況が続くことが予想され、投資家の手控えムードを強めているとみられます。

また、ブラジルでは景気回復が続いているものの、最近発表された失業率や鉱工業生産指数、経済活動指数といった経済指標が市場予想よりも弱い結果となっており、景気回復ペースの鈍化懸念が高まっています。ブラジル中央銀行は3 月に発表したインフレ報告書で2018 年のGDP(国内総生産)成長率を2.6%と予想していますが、今後景気見通しの下方修正が行われる公算は高いと考えられます。景気回復ペースの鈍化懸念も、ブラジル・レアルにとってマイナスに働いているとみられます。

ブラジル中央銀行の通貨防衛姿勢がブラジル・レアルを下支え

ブラジル・レアルの下落が続く中で、ブラジル中央銀行は5 月21 日から、米ドル売りブラジル・レアル買いの通貨スワップによる為替介入額を増額しました。これを受けてブラジル・レアルは反発しました。中央銀行はブラジル・レアルの下落がインフレ率の上昇に波及することを懸念しているとみられ、中央銀行が通貨防衛姿勢を示したことは、ブラジル・レアルを下支えすると考えられます。

今後のブラジルの金融市場はグローバル金融市場や大統領選挙の動向に左右される展開が見込まれます。グローバル金融市場が落ち着きを取り戻すことに加え、大統領選挙で構造改革の継続に前向きな候補の当選が有力になり不透明感が払拭されていけば、ブラジル・レアルにとって好材料になるとみています。

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