2018年問題とオフィス需給の見通し

  • マーケットレター
  • 2018年05月
~都心オフィス供給インパクトは緩和、堅調な需給環境を想定~

2018年以降の5年間のオフィス供給インパクトは緩和

東京のオフィスビル供給について、森トラストが発表した「東京23区の大規模オフィスビル供給量調査‘18」によると、2017年は76万㎡と過去20年の平均(105万㎡/年)を下回った一方で、2018年は147万㎡、さらに2020年には173万㎡と高い水準での供給となる見込みです。(図1)

一方で、前回調査時点(2017年4月)の見通しと比較すると、計画の後ろ倒しなどに伴い、2019年、2020年の供給量はやや縮小しています。また、2021年~2022年の供給量は2020年までの大量供給の反動で大幅に減少し、2018年以降の5年間の平均供給量は約100万㎡と、過去20年平均(105万㎡/年)を下回る水準に落ち着く見通しです。

上記のように2018年以降の供給量見通しは一時的に過去平均を上回りますが、2021年までの5年間でみると十分に供給の消化が見込まれる水準であるといえます。また、後述のように、都心のオフィス需要は堅調であり、テナント誘致が順調な新規供給ビルが多いことから、オフィス市況の大幅な悪化は考えにくいとみています。

主な供給エリアはオフィス需要が強い都心3区に集中

2018年~2022年に新規供給されるエリアは都心3区(千代田区、中央区、港区)に集中しています(図2)が、都心3区ではここ数年の供給が建替え中心です。オフィス床面積のストックは供給量に対して緩やかな伸びにとどまり、空室率も低水準で推移しています。

また、東京では企業の業績拡大、女性・中高年層の活用や多様な働き方への移行など生産性向上のための働き方改革などを背景とした増床・移転ニーズが強く、2018年の新規供給も順調に消化しています。例えば、今年3月に開業した「東京ミッドタウン日比谷」(東京・千代田)には旭化成本社が移転を予定しているように、開業時点でテナントが内定しているオフィスも多くあります。これらを踏まえるとオフィスの新規供給は底堅い需要によって消化され、需給環境が大幅に悪化する可能性は低いと想定されます。

オフィス空室率は過去最低水準まで低下

2018年3月時点の東京都心5区のオフィス・ビル平均空室率(三鬼商事調べ)は、2.8%と2月に比べて0.23ポイント低下、2008年3月以来10年ぶりに3%を割り、過去最低水準まで低下しました(図3)。足元では、東京都心におけるオフィス需要が高いことがうかがえます。今後もさらなる人員増加による増床ニーズやオフィスの集約移転ニーズの高まりも期待できます。

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