オーストラリア金融政策

  • マーケットレター
  • 2018年05月
~政策金利は据え置き。企業の景況感は改善が進む~

RBAは政策金利を1.5%に据え置き

2018年5月1日(現地、以下同様)、RBA(オーストラリア準備銀行)は政策金利を発表し、1.5%に据え置きました。据え置きは事前の市場予想通りでした。

声明文では、最近発表されたインフレ率はRBAの目標水準に届かなかったものの、景気が力強さを増すに連れて緩やかにインフレ率が上昇していくことが期待されるとの見方が維持されました。

今後については引き続き、失業率の低下とインフレ目標の達成に向けたさらなる進展が期待されるものの、この進展は緩やかなものになる可能性が高いとし、当面の政策金利の据え置きが示唆されました。

製造業の景況感は過去最高水準となるなど、企業の景況感の改善が進む

製造業PMI(購買担当者指数)は4月にやや低下したものの、3月には過去最高の63.1となりました。また、オーストラリアの大手銀行が発表している企業の景況感指数も上昇傾向となっています。

オーストラリアでは、交通インフラ(社会基盤)の建設などのインフラ投資が活発化しており、こうしたインフラ整備などが企業の景況感の改善をけん引しているものとみられます。

このように企業の景況感の改善が今後も進んでいけば、雇用のさらなる増加や賃金上昇率の改善に波及することが期待されます。

経済は堅調なものの、インフレ率はRBAの目標水準にあと一歩届かず

4月24日に発表された2018年1-3月期のCPI(消費者物価指数)は前年比1.9%の上昇と市場予想をわずかに下回りました。RBAのインフレ目標水準である+2~3%の下限も引き続き下回っています。

またCPIトリム平均値は、前年比1.9%の上昇となりました。CPIトリム平均値とは、一時的な要因の影響を取り除いたインフレ率として、RBAが重視している指標です。CPIトリム平均値は市場予想を上回ったものの、RBAの目標水準にはあと一歩届きませんでした。

今後はRBAが次の一手である利上げの開始時期を模索していく中で、堅調な経済の下、賃金上昇率が加速し、それに伴うインフレ率の上昇がみられるかどうかが、引き続き注目材料になると思われます。

豪ドルは足元で持ち直しつつあるが、外部要因によって左右される展開が続くと見込む

これまで米国と中国の貿易摩擦に対する懸念などにより、鉄鉱石価格の調整が続いていました。このため鉄鉱石の主要輸出国であるオーストラリア経済にも、鉄鉱石価格の調整の悪影響が及ぶとの警戒感が高まり、豪ドルも軟調な推移となっていました。しかし足元では鉄鉱石価格は底打ちし、豪ドルも対円で持ち直しつつあります。

今後については、RBAが声明文で繰り返し述べているように、インフレ率が上昇するにはしばらく時間を要するものと思われるため、豪ドルは外部要因に左右される展開が続きやすいと見込んでいます。

当社ではRBAが年内は政策金利を据え置くと見込んでいますが、堅調な経済の下でRBAの想定以上に雇用環境の改善が続けば、利上げ開始時期が前倒しになる可能性もあります。長期的には、労働市場の改善を通じてインフレ圧力が高まることでRBAの利上げ観測が高まり、豪ドルは底堅く推移するものと見込んでいます。

以上

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