国内株式市場が大幅安

  • マーケットレター
  • 2018年03月
~米中貿易摩擦を懸念した米国株安が波及~

米国株式市場の急落を受け、国内株式市場も大幅安

本日(3月23日現地、以下同様)の国内株式市場は、前日(3月22日)の米国株式市場が急落したことを受け、日経平均株価が▲4.51%、TOPIX(東証株価指数)が▲3.62%となるなど、大幅安でした。米国株が下落した原因は、トランプ政権が中国に対し貿易面での制裁措置を発表したことで、米中貿易摩擦の激化による経済への悪影響が市場で強く懸念されたためです。また、このような先行き不透明感が、為替市場ではリスク回避姿勢の強まりによる円高・米ドル安の動きを加速させ、1米ドル=105円を超える円高となったことも、国内株式市場の下落幅を拡大させる要因になりました。

米中貿易摩擦、懸念が高まるも最悪シナリオは回避

今回の米国の発表に先立ち、2017年8月、USTR(米国通商代表部)はトランプ大統領の指示の下、米国通商法301条に基づき、主に中国による知的財産権侵害の実態調査を始めると発表していました。最近は、調査結果に伴う制裁措置を検討しているとの報道が多く、市場の注目材料となっていました。

3月22日にトランプ米統領が署名した覚書に関して、現段階で明らかになっている内容としては、以下のような点があります。

(1)航空宇宙やIT(情報技術)、機械などの産業を含めた、中国政府の不公正な産業支援策を受ける約1300品目、500億米ドル近い規模の中国製品に対して25%の追加関税を課すこと
(2)中国企業の米国投資に関して制限を設けること
(3)WTO(世界貿易機関)に対し中国の知的財産権侵害について提訴すること
事前の欧米各種メディアの報道では、中国企業の米国投資への制限は予想されていたものの、関税引き上げの対象に関しては、300億米ドル程度との見方もあったため、事前予想よりも課税の範囲が大幅に広がったことに対し、市場では警戒感が高まった模様です。

ただし、今回の覚書の署名によって、即日、制裁措置が発動されるわけではありません。15日以内に関税対象品目リストを公表し、関係方面と協議した上で最終的なリストを確定し、適切であれば関税を課す流れとなっています。また、中国企業による米国への投資制限も、60日間の調査期間が設けられています。

つまり、中国と交渉する期間を残しているともいえ、中国が即時に大規模な報復措置に動き出すリスクが緩和されているとも考えられます。一部の事前観測では、トランプ大統領が強力な大統領権限を行使し、直ちに課税に踏み出すとの見方もありましたが、結果的には、そのような最悪シナリオは回避されたといえます。

また、1300品目で500億米ドルという関税対象に関しても、最大の場合と考えられ、実際の対象範囲は狭くなる可能性もありそうです。そういった点を考慮すると、今回の発表も、最初に高めの球を投げて相手の譲歩を引き出すというトランプ流の交渉術の一環とみることができるかもしれません。

当面は懸念先行も、株式市場は徐々に好ファンダメンタルズを評価へ

当面の国内株式市場は、相対的に下方リスクが意識されそうです。今回の米国の発表を受け、中国側もまず譲歩よりは強く反発するとみられ、米中貿易摩擦の激化懸念が継続するとみられるほか、国内では、3月27日に佐川前国税庁長官の証人喚問が控えており、政治不安への警戒感も強いためです。

しかし、そのような政治的・外交的不透明感は、例えば、2016年6月のBrexit(ブレグジット:英国の欧州連合からの離脱)を決めた英国国民投票や、2017年4月のミサイル発射実験による北朝鮮地政学リスクなどのように、ニュースが出た時に最も強まり、株式市場も一旦は大きく下落しますが、その後は時間の経過とともに不安が徐々に沈静化し、株式市場も緩やかな回復軌道をたどる傾向があります。

したがって、今回に関しても、足元が最も懸念が高まった状態で、今後は時間の経過とともに懸念が徐々に後退していく可能性が高いと考えられます。そうなれば、堅調を維持している経済ファンダメンタルズに市場の関心が再び向かい、株式市場も次第に回復していくと予想されます。

ファンダメンタルズに関して、円高の企業業績への影響が懸念されますが、大和証券が四半期ごとに集計している主要事業会社200社の業績見通しによると、為替の前提を1米ドル=100円とした場合でも、2018年度は経常増益を維持できると予想されています。そうすると、1月下旬の15倍台から直近は13倍台まで低下している東証1部のPER(株価収益率、12カ月予想ベース、出所:トムソンロイター/データストリーム)は割安感があると考えられ、懸念要因が後退した場合に、株価を浮揚させる一つの材料になるとみられます。

なお、これまでも様々なところで物議を醸してきたトランプ政権の政策ですが、結果的に株高政策を選択してきたという点も、市場参加者としては踏まえておくべきだと思われます。

以上

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