メキシコ金融政策

  • マーケットレター
  • 2017年12月
~メキシコ銀行は0.25%ポイントの利上げを実施。引き続きNAFTA再交渉の進展に注目~

メキシコ銀行は0.25%ポイントの利上げを実施。次回追加利上げの可能性も。

メキシコ銀行(中央銀行)は、12月14日(現地、以下同様)、政策金利を市場予想通り0.25%ポイント引き上げ、7.25%とすることを決定しました。

メキシコ銀行は、利上げの理由として、インフレ期待の上昇を防ぎ、インフレ率が目標に低下するための圧力を強めることを挙げています。メキシコ銀行は2018年末にはインフレ率が目標の3%に落ち着くとしていますが、11月のCPI(消費者物価指数)上昇率は前年比6.63%の上昇となるなど目標を上回る水準が足元で続いていることから、今回の利上げが必要と判断したとみられます。

また、対米ドルでメキシコ・ペソ相場の安定のため、メキシコ銀行は米国の金融政策の動きに対応して利上げを行う傾向があり、12月13日にFRB(米国連邦準備制度理事会)が0.25%ポイントの利上げを行ったことも今回の利上げ判断に影響していると考えられます。

メキシコ銀行は声明文で今後、インフレ期待やメキシコと米国との相対的な金融政策の違いおよび為替市場などを注視していき、インフレ期待が高まるリスクがある場合には必要な対応をとると述べています。

そのため当社では、インフレ動向などによっては次回2018年2月の金融政策決定会合においても、追加利上げが行われる可能性があると考えています。

NAFTA再交渉は難航するとみられるも、最終的には妥結に向かう可能性が高いと見込む

今後、メキシコの金融市場に影響を与える材料としては、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉が挙げられます。

NAFTA再交渉については、11月にメキシコで第5回会合が開催され、米国、カナダ、メキシコの3カ国は会合終了後、一定の進展が得られたとする声明を発表しました。しかし、NAFTA加盟3カ国が継続で合意しない限り5年ごとに協定が自動的に失効する「サンセット条項」の導入や「原産地規則」の厳格化など、米国が要求している重要項目については合意に至りませんでした。次回会合は、2018年1月にカナダで開催される予定ですが、米国が脱退を示唆するなど強硬な姿勢をとっていることにカナダとメキシコから反発の声も聞かれ、協議は難航するとみられています。

NAFTA再交渉が難航し長期化した場合、2018年7月に実施されるメキシコの大統領選挙が交渉の行方に影響する可能性があります。メキシコでは与党への支持率が低迷する中、新興左派野党の党首であるオブラドール氏が高い支持率を得ており、政権交代の可能性が高まっています。同氏はNAFTAの再交渉を中断すべきと主張していることから、同氏が大統領選挙で勝利した場合には、NAFTA再交渉がさらに難航するリスクに注意が必要です。

当社では、米国の貿易に占めるメキシコの割合が徐々に高まっていることなどから、NAFTA からの脱退は米国にとって最後の手段だと考えています。また、最終的な合意には至っていないものの交渉が継続されることは、米国も新しいNAFTAの成立を目指す意思があることを示唆しています。そのため、最終的には米国も妥協点を見出して交渉の妥結に向かう可能性が高いと見込みます。その場合、企業の経営環境の不透明感が後退するなど、メキシコ経済にとってポジティブであることから、メキシコ・ペソは下支えされると見込んでいます。

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