インド経済はモンスーンの降雨量に恵まれ視界良好

  • マーケットレター
  • 2017年09月

農業セクターの比率が高いインドにとってモンスーンがもたらす雨は重要

「モンスーン」とは、夏季の南西風がもたらす雨期のことで、インド経済を語る上で欠かせないキーワードです。

何故、「モンスーン」が重要なのでしょうか?それは、インドの総人口の約69%が農村部で生活をしているからです。農作物の収穫は農村部の経済にとって極めて重要です。また、農林水産業はGDP(国内総生産)の約15%を占めています。

インドの旧来的な農業経営もモンスーンによる経済への影響を高めています。インドでは灌漑設備が農地の51.9%(2013年度)にしか整備されておらず、依然として多くの耕作地は自然の雨に頼った農業を行っています。また、モンスーンの降雨量が少ない年は雨期の農作物の収穫が影響を受けるだけでなく、貯水量が少なくなるため乾期の農作物の生産にも深刻な影響を与えます。

農作物の不作は農家の所得の減少のみならず、食料品価格の上昇を招きます。従って、モンスーンの少雨による経済面への影響は、農村部にとどまらずインド全体に大きく及びます(表1)。

2017年のモンスーンの降雨量と作付けは順調

インド気象局は2017年のモンスーンに関して平年並みの降雨量予想を発表しています。10月にかけても現在の水準が継続すると予想されています。また、足元では地域別にみて36気象区のうち、30区で平年もしくは平年以上の降雨量が報告されています(図1)。

モンスーンの降雨量が平年並みであることから、農家の作付面積は前年比+0.6%増(2017年8月11日現在、インド政府発表)であり、雨期の農業生産は好調と予想されています。

モンスーンの順調な降雨量は経済成長率を押し上げる見込み

モンスーンの良好な降雨量は農業生産を増加させ、農家の所得増加へとつながります。農家の収入増は農村部における消費を刺激します。

また、農業生産の増加は消費者物価の安定をもたらします。消費者物価指数の算出において食料品は約40%を占めており、農業生産の増加を通じた食料品価格の安定は消費者物価の安定に寄与するためです。食料品価格の安定を通じた物価上昇圧力の緩和は政策金利の低位安定にもつながり、低金利はローンを利用した耐久消費財や住宅の購入を促します。このように、モンスーンによる良好な降雨量はインド経済全体の成長率を押し上げる方向に作用します。

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