オーストラリア金融政策

  • マーケットレター
  • 2017年09月
~政策金利は据え置き、賃金の伸びはいまだ低調も今後に期待~

RBAは政策金利を1.5%に据え置き

2017年9月5日(現地、以下同様)、RBA(オーストラリア準備銀行)は政策金利を発表し、1.5%に据え置きました。据え置きは事前の市場予想通りでした。

声明文では、オーストラリア経済についての見通しに大きな変更はなく、最近発表されたデータはRBAの予想通りとの見解が示されました。労働市場に関しては、全ての州にて雇用者数が増加し、今後の失業率の低下を見込んでいますが、賃金上昇圧力は依然として弱いままと言及しました。特に賃金上昇率については、今しばらく低い状態が続くと見込んでいますが、良好な雇用環境によって押し上げられていくとみているようです。物価動向については、経済が成長するにつれて、徐々に上昇してくるとの見通しが維持されています。為替については、通貨高によって景気や物価上昇が抑制される可能性があると言及しています。金融政策に関しては、RBAは引き続き中立的な姿勢を維持しており、当面の政策金利据え置きを示唆しました。

賃金の伸びはいまだ低調。ただし、最低賃金引き上げが賃金上昇のきっかけになるか。

ここで前回8月のRBA理事会以降に発表された経済指標について振り返ります。当社が注目したのは賃金上昇率など雇用に関する経済指標です。

8月16日に発表された2017年4-6月期の賃金上昇率は、前期比と前年比で共に低調な伸びとなり、金融市場で物価上昇への期待や、利上げ時期の前倒し観測は高まりませんでした。賃金上昇率が伸びない背景の一つとしてRBAのロウ総裁が指摘するように、パートタイムの割合が長期的なトレンドで増加傾向にあるなど労働市場に依然緩みが残っている点が挙げられます。しかし、足元のパートタイム雇用者数変化率が鈍化傾向に転じている一方で、フルタイム雇用者数変化率は加速傾向にあることなどから、今後の賃金上昇への期待がもてそうです。

また、今回の賃金上昇率の統計には反映されていない最低賃金の引き上げ(2012年以降最大となる3.3%の引き上げ)も注目です。最低賃金で働く雇用者の割合は全体の約23%と高いことから、今後の賃金上昇が加速していくことが予想されます。

これらを踏まえると、今後の賃金上昇を通じた物価上昇に期待がもてそうです。ただし、賃金上昇率は四半期ごとに発表される統計のため、上昇トレンドを確認するまでには時間を要します。確実な上昇トレンドを確認できる時期は早くても2018年の前半になると思われますが、上昇率の高まりが少しずつ確認されていけば、物価上昇への期待の高まりと共に、政策金利の引き上げが意識されていくとみています。

金融政策は当面維持も、急ピッチな豪ドル上昇時にはRBAのけん制に注意

オーストラリア経済は資源依存型から徐々にサービス経済化しています。成長エンジンが資源部門から非資源部門へバトンタッチされることで、新たな雇用が生まれ、労働市場のひっ迫感が強まれば賃金上昇圧力は高まると考えられます。実際に、非資源部門において成長の兆しが見え始めており、8月31日に発表された4-6月期の非鉱業部門の設備投資が堅調な伸びとなったことが示されました。

雇用環境の改善が賃金上昇に波及すれば金融政策の転換期を迎えると考えますが、足元の豪ドル高(通貨高)が景気や物価上昇の向かい風になる点を考慮すると政策変更までの道のりは遠く、RBAは金融政策を当面維持すると見込んでいます。

今後の為替相場については、足元では堅調な中国経済が鉄鉱石需要を押し上げていることに加え、今後のアジアのインフラ需要が中長期的には豪ドル相場の押し上げに寄与するものと考えます。ただし、通貨高が急ピッチで進んだ場合には、ファンダメンタルズ面へのマイナスの影響を考慮し、RBAは通貨高をけん制する姿勢を示すと考えられるため、短期的には一進一退の推移になるとみています。

以上

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