J-REITの業績は安定成長している

  • マーケットレター
  • 2017年08月

J-REITは東京とオフィスが高いウエート

現在、東証に上場しているJ-REITは58銘柄ありますが、それらが保有する不動産の価値を足し合わせて市場全体を俯瞰してみると、地域別には「東京」、用途別では「オフィス」が最大となります。一般的に、オフィスは数年に1回の頻度で賃料交渉が行われます。したがって、オフィスにはその時々の景況感や需給動向に応じて賃料の上昇や下落のトレンドが比較的生じ易いという特徴があります。オフィス以外についてみると、例えば、住宅は収益の変動性が小さく、ホテルは指数に占めるウエートが小さいなど、J-REIT市場全体の業績動向を把握したり、予測する上で必ずしも適切なセクターではありません。一方で、J-REIT市場全体の業績の方向感を占う上で、東京のオフィス賃貸市況は非常に重要であるといえます。

東京のオフィス賃貸市況は緩やかな改善傾向が継続している

オフィス賃貸市況にとって、空室は他の産業における在庫のようなものです。製造業などの在庫循環のように、在庫調整によって空室の減少が起これば、販売価格である賃料が上昇しやすい状況になります。一般的に、空室率5%が需給の均衡点とされ、この水準を上回っているとテナント側優位で賃料が下がりやすく、逆にこれを下回れば大家優位で賃料が上がりやすいとされています。足元では空室率が3%台前半まで低下しており、新規テナントに対する募集賃料の上昇が継続しています。

オフィス・セクターを含めてJ-REITの業績動向は全体として拡大基調

実際、このオフィス賃料の緩やかな上昇傾向などを背景に、図表3のようにオフィス・ビル特化型の大手J-REITの業績は堅調に推移しています。また図表4では、オフィスだけでなく、他の用途を含めたJ-REIT市場全体の業績も拡大基調となっていることが確認できます。

J-REITの堅調な業績動向を踏まえれば、徐々に見直される展開を想定

J-REIT市場は、J-REITに投資する投資信託に対する資金流出入の動向など目先の需給要因に加えて、内外の金融政策など外部環境をにらみつつ当面は振れ幅が大きい展開も想定されますが、徐々に落ち着きを取り戻していくとみています。上記のようにオフィス・ビル空室率の低下や、それに伴う賃料の緩やかな上昇の継続などファンダメンタルズの改善傾向に変化はないことから、急速な業績悪化によってバリュエーション面での割安感が失われるシナリオの可能性は低いと考えています。したがいまして、目先は積極的に上値を追う材料に欠ける状況ではありますが、長期金利が大きく上昇することなどがない限り、相対的に高い配当利回りを安定的に期待できるJ-REITに対する見直し機運が高まっていくと考えています。

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