最近の豪ドルはなぜ上昇しているのか

  • マーケットレター
  • 2017年07月

豪ドル上昇の背景には鉄鉱石価格の反発

豪ドルが足元で上昇しています。豪ドルの対円為替レートは、2017年6月上旬に一時81円台をつけた後、ほぼ一本調子で上昇し、7月中旬には一時89円台を回復する動きとなっています(左下図)。

こうした動きの背景には、オーストラリアの主要輸出品目である鉄鉱石の価格が反発していることがあるとみられます。過去を振り返ると、豪ドルと資源価格、とりわけ鉄鉱石価格の動きには密接な関係があったことがわかります(右下図)。これは、資源価格が交易条件の改善(悪化)を通じて豪ドルの動きに大きな影響を与えていたからです。RBA(オーストラリア準備銀行)も交易条件の推移にはかなりの注意を払っています。

堅調な中国経済が鉄鉱石需要を押し上げ

鉄鉱石価格が反発した背景には、好調な中国経済があるとみられます。

先般発表された中国の2017年4-6月期GDP(国内総生産)成長率は+6.9%(前年同期比)と市場予想を上回る結果となり、景気の勢いが依然として強いことが示されました(下図-上-)。またGDP以外の主要経済指標を見ても、固定資産投資がインフラ(社会基盤)投資の活発化を主な要因として底堅く推移しています。インフラ需要の高まりは中国の粗鋼生産量の増加(下図-下-)にも表れており、その原料である鉄鉱石の価格の上昇を通じて、豪ドルを押し上げたと考えられます。

資源価格は重要だが、経済の構造転換が進んでいることも見逃せない

豪ドルの先行きを予測する上で、資源(鉄鉱石)価格やその主要な輸入国である中国の経済動向は引き続き重要です。しかしその一方で、オーストラリア経済の構造転換が進んでいることは見逃せません。

オーストラリアでは、観光客による国内消費や教育産業の留学生受け入れに伴うサービス輸出額が大きく伸びており(右図)、オーストラリア経済は資源依存型から徐々にサービス経済化しています。こうした構造転換が一段と進むことによって、オーストラリアの成長エンジンが多様化し、豪ドルが下支えされやすくなることが期待されます。

豪ドルは底堅さを維持する見通し

足元の豪ドルの上昇はやや急ピッチであり、RBA の通貨高けん制姿勢が強まった場合などには上昇基調が一服する可能性があります。

ただし、もう少し長い目線で見ると、中国では「一帯一路構想」(習国家主席が2013年に提唱した、中国と欧州を結ぶ経済圏構想)に伴うインフラ需要の高まりが資源価格を下支えすると見込まれ、豪ドルの押し上げに寄与すると考えられます。

またオーストラリア独自の要因としては、経済の構造転換(サービス経済化)が進んでおり、資源依存からの脱却の兆しが見えていることが、資源価格が下落する局面においても豪ドルを下支えすると期待されます。このようにオーストラリアを取り巻く環境は良好であると考えており、豪ドルは長期的に見て底堅さを維持すると予想しています。

以上

下記のリサーチでは、直近のオーストラリアに関するテーマやその背景などをお伝えしています。

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