南アフリカ中央銀行、政策金利を予想外に引き下げ

  • マーケットレター
  • 2017年07月
~政治の動向が今後の注目点~

市場予想に反し、政策金利を引き下げ

南アフリカ準備銀行(中央銀行)は20日(現地、以下同様)のMPC(金融政策委員会)において、主要政策金利のレポ金利を7.00%から0.25%ポイント引き下げ、6.75%としました。

市場では据え置きが予想されていたため、政策金利発表後、南アフリカ・ランドは一時的に下落して反応しました。

中央銀行は、利下げを決定した理由として経済成長が弱いことや物価の上昇圧力が和らいでいる点を挙げています。また、利下げと併せて、実質GDP(国内総生産)成長率とインフレ率の見通しを引き下げています。

中央銀行の独立性への懸念は後退

6月19日、政府の不正を調査する役割を持つ 為替の推移護民官が、憲法で規定されている中央銀行の政策目標を「通貨価値の防衛」から「経済成長の促進」に変更するよう求めました。

政策金利の引き下げを意図するような護民官の提言を受け、市場では中央銀行の独立性が懸念され、通貨が下落しました。しかし、国民議会が6月22日に同護民官の提言を拒否する旨の声明を発表したことや、中央銀行が裁判所に異議申し立てを行ったことで、通貨の下落は小幅にとどまり直近は上昇していました。

クガニャゴ中央銀行総裁は、今回の利下げの決定は政治的な圧力をかけられたわけではないと主張し、中央銀行は引き続き独立した機関であると述べています。利下げ後の通貨動向をみる限り、中央銀行の独立性への懸念は高まっていないとみられます。

通貨動向は、今後の政治動向次第

2017年12月に与党ANC(アフリカ民族会議)の党首を決める選挙が予定されています。次期ANC党首 が次期南アフリカ大統領となることが見込まれており、事実上の大統領選として注目を集めています。

ズマ大統領は後任に、元妻であるドラミニ・ズマ氏を推している一方、南アフリカ最大級の労働組 合であり、ANCの主要支持母体であるCOSATU(南アフリカ労働組合会議)はラマポーザ副大統領への支持を表明しており、ANC内での対立が激化しています。

財政健全化を進めていたゴーダン氏の解任や格下げを受けた後も、南アフリカ・ランドは堅調な値 動きでしたが、今後は与党内の政治闘争による混乱が南アフリカの経済成長や通貨に与える悪影響が懸念されます。金融市場では南アフリカの政治動向に注目が集まりやすい環境が続くと想定されます。

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