直近のヘッジコストについて

  • マーケットレター
  • 2017年06月

足元の状況

米ドル円の為替ヘッジコストは上昇しています。一方、ユーロや英ポンドは安定的に推移しています。また、政策金利を金融政策の手段としないシンガポールは、金利が米国に連動しやすく、米ドル円と同様にシンガポール・ドル円のヘッジコストは上昇傾向にあります。

足元の米ドル円ヘッジコストの上昇は金利要因

日本銀行は、6月15、16日の金融政策決定会合で、金融緩和策の現状維持を賛成多数で決定しました。景気判断については「緩やかな拡大に転じつつある」との見方を維持しつつ、短期の政策金利をマイナス0.1%、長期金利である10年物国債金利をゼロ%程度に操作する現状の金融市場の調節を続けるとしています。

一方、米国では、6月13、14日(現地)に開催されたFOMC(米国連邦公開市場委員会)において、市場予想通り0.25%ポイントの利上げが決定されました。米国の政策金利であるフェデラルファンド金利は1~1.25%になりました。FOMC参加者の2019年までの政策金利の見通しは、2017年はあと0.25%ポイントの利上げが、2018、2019年もそれぞれ計0.75%ポイント程度の利上げが見込まれています。

今後も金融政策の違いにより、日米の金利差は拡大することが見込まれ、金利要因から、ヘッジコストは上昇する可能性が高いと思われます。


米ドルの需給に関しては、米ドルが企業の資金決済に用いられやすいことや、日銀のマイナス金利政策により円の需要が高まりにくいことで、米ドルには一定のニーズが存在します。しかし、トランプ政権とロシアとの不透明な関係をめぐる疑惑の捜査が進むなど、トランプ政権の政策実現能力への期待はかなり低下しており、2016年後半のように米ドルの先高観を伴った需要の高まりはないとみています。また、以前に比べ、邦銀等の為替変動リスクを回避した外債投資の勢いが和らいで います。

決済資金需要に関しても、直近の米ドル・円、通貨スワップのベーシス(※)の動きは、四半期末が近づいているにも関わらず、落ち着いています。足元、急速に米ドルの需要が高まるイベントはなく、需給要因ではヘッジコストの上昇は限定的だと思われます。

※通貨スワップは、異なる通貨間の元本と変動金利(通常はLIBOR)を一定の期間交換する取引です。各通貨の需給に応じて発生したベーシス(上乗せ金利)を変動金利に加えて取引します。上グラフのように、円に比べて米ドルの需要が大きい場合、ベーシスはマイナスとなります。

為替ヘッジコストについて

為替ヘッジにかかるコストは、理論的には「外貨の短期金利と日本円の短期金利の差」となりますが、各通貨の見通しや需給などの状況によっては、外貨の調達に対する上乗せ金利(ベーシス)が発生し、為替ヘッジコストは金利差とかい離します。

金利要因(金利差)

日銀の低位な政策金利と、外国の中央銀行の高位な政策金利の差がヘッジコストに影響します。また、各国中央銀行の金融政策に対する市場の思惑により、将来の金利差拡大を織り込む動きが見られた場合、ヘッジコストの上昇につながります。

需給要因

四半期末の決済資金需要

企業の輸出入代金などの決済資金として外貨の需要が高まる場合があります。特に基軸通貨である米ドルや、特定の経済圏で決済に広く利用されているユーロなどの通貨は、四半期末になると代金決済のため、当該外貨の需要が高まり上乗せ金利の上昇を通じて、一時的にヘッジコストが上昇する傾向があります。

邦銀などの外貨投資需要の増加

邦銀をはじめとして外貨建て資産への投資需要が増え、外貨建ての資産に投資する際、為替変動リスクを回避する目的で、円を担保に外貨の短期資金の調達を行うことが一般的であるため、外貨の上乗せ金利が拡大します。

米ドルに関しては下記の需給要因もあります。

リスクからの逃避需要

先行きへの不透明感が著しく高まると、リスク回避の動きから基軸通貨である米ドルの需要が高まります。リーマン・ショックや欧州債務危機など金融市場が不安定となると米ドルの需要が高まり、ヘッジコストが上昇する局面があります。

金融規制による米ドルの供給減少

米ドルの供給面では、リーマン・ショック後に各国で導入・強化されたレバレッジ規制や、ボルカールールなどの金融規制が米ドル供給量を減少させる遠因となっています。規制の下では、バランスシート拡大が抑制されるため、国際的な取引を行う金融機関はリスク許容量を大幅に低下させており、その影響により米ドルの供給量が減少します。

以上

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