ブラジル大統領の汚職隠ぺい疑惑続報

  • マーケットレター
  • 2017年05月
~その2~

最高裁判所は疑惑の捜査を停止する判断を留保

5月20日(現地時間、以下同様)、テメル大統領は、汚職隠ぺいの証拠とされる録音テープについて、証拠は改ざんされたものであるため、汚職隠ぺい疑惑の捜査を停止することを最高裁判所に求めたことを公表しました。

一方で、録音テープへの改ざんの有無に関する検察の調査は続いていることから、最高裁判所は汚職隠ぺい疑惑の捜査を停止する判断を留保しています。

政局不透明感により、大手格付会社は格付けを見直すことを発表

格付会社スタンダード&プアーズ(S&P)は22日、ブラジルのソブリン格付けを引き下げ方向でのクレジットウォッチに指定したと発表しました。テメル大統領の汚職隠ぺい疑惑で政治の不確実性が急激に高まり、財政再建が滞るリスクがあると指摘しています。

格下げ方向のクレジットウォッチは、格付けが3カ月以内に引き下げられる可能性を意味しています。

クレジットウォッチの指定を受けて、ブラジル財務省は、財政均衡を目指す構造改革などを通じて経済の回復に取り組む方針をあらためて表明しています。

政府は財政再建の姿勢を堅持

23日に、メイレレス財務相が政治の混乱に関わらず政府は構造改革を進めると述べたことや、マイア下院議長が6月上旬に年金改革を含む社会保障改革法案の審議をすると述べたことを受け、直近の安値からブラジル金融市場は反発しています。

24日時点で、直近安値(18日時点)から、ブラジル・レアルは、対円で3.0%の上昇、対米ドルでは2.9%上昇しました。主要株価指数であるボベスパ株価指数は2.7%の上昇、10年国債の金利は0.82%ポイント低下(価格は上昇)しました。

財政再建における最重要のイベントと位置づけられる、社会保障改革法案の採決に関しては、上下両院において議員の5分の3の賛成(下院308議席、上院49議席) が条件となっています。下院での同法案の採決は、ブラジル政府の財政再建の意思が揺るがないものかどうかを確認する試金石として注目されます。

また、一部の与野党の議員が大統領の弾劾を議会に請求しているほか、連立政権を組む一部の政党が野党に回る動きがみられるなど、政局は不透明です。テメル大統領の去就や法案採決への影響は現時点で不確定な部分が多く、今後の進展を見守る必要があると考えています。

以上

下記のリサーチでは、直近のブラジルに関するテーマやその背景などをお伝えしています。

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