米国が政策金利を0.25%ポイント引き上げ

  • マーケットレター
  • 2017年03月

0.25%ポイントの利上げ

3月14・15日(現地)に開催されたFOMC(米国連邦公開市場委員会)で、FF(フェデラル・ファンド)レートの誘導レンジが0.5%~0.75%から0.75%~1%へ0.25%ポイント引き上げられました。2015年12月、2016年12月に続き、今回の局面で3度目の利上げです。

政策金利の見通しは不変

利上げは市場予想通りでしたが、12月時点と比較して、FOMC参加者の経済見通しはほとんど変化なく、2017、2018年の政策金利の見通しも、中央値としては各0.75%ポイントの利上げで変化なく、保有証券の満期償還に伴う再投資の停止など、バランスシートの縮小についての示唆もなかったことから、市場では急速な金融引き締めへの懸念が後退し、米ドル安、債券高、株高で反応しました。

雇用の最大化と物価の安定へ接近

今回の利上げは、経済見通しを再評価したからではなく、FOMCの責務である雇用の最大化と物価の安定に一段と近づいたことが理由です。実際、非農業部門雇用者数は過去3カ月、半年、1年のいずれでも、月平均20万人前後で増加しており、失業率はほぼ完全雇用とされる4.7%まで低下し、時間当たり賃金も前年同月比2.8%へ緩やかに伸びが高まっています。また、インフレ率は目標値の2%が目前で、基調的なインフレ率も2%をやや下回る水準ながらも安定して推移しています。すなわち、経済見通しの上方修正ではありませんが、FOMCの想定に沿って経済が推移しており、かねてFOMCが指摘していた通り、責務の達成が近づく中、利上げを実施した格好です。利上げ局面入りして久しいものの、金融環境全般は依然として緩和的で、資産価格の上昇にも寄与していると考えられるため、金融政策が後手に回らないようにとの意図がうかがえます。

財政政策を織り込めば経済見通しの上方修正も

財政政策は現時点で明確化していないことから、今回の利上げの決定にあたって、FOMCは前提にしていません。したがって、今後減税や公共投資が決定されれば、経済見通しの上方修正と共に、利上げのペースが速まる可能性が高いと考えられます。現時点でのFOMC参加者のGDP(国内総生産)成長率の見通しは2017、2018年とも2.1%と、決して高くはなく、上方修正の余地は小さくありません。当面、景気の下振れは考えにくく、4、5月に予定されているフランスの大統領選挙を無難に通過すれば、6月にも追加利上げを実施すると見込みます。

緩やかな利上げが市場のリスク選好を後押し

いずれにせよ、自然体で年3回の緩やかな利上げは市場の想定内ですし、成長加速に見合った利上げであれば、年3回を上回るペースの利上げでも市場が嫌気するとは思えません。程よい金融環境が市場のリスク選好を促しやすい状況が続くと期待されます。

以上

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