トランプ大統領の議会演説

  • マーケットレター
  • 2017年03月
~サプライズないが期待は保たれる~

トランプ大統領の議会演説は具体策に踏み込まず

トランプ大統領の議会演説(2月28日(現地))は従来の公約と大統領就任後の実績を概括するにとどまり、政策の詳細について語られることはありませんでした。この議会演説は、「一般教書演説」にあたるもので、各論への具体的な踏み込みがないのは事前予想通りといえます。直後の市場の反応も限定的でした。

国境管理・移民政策の厳格化、軍備の増強

演説中で強調したのは国民の安全で、具体的には国境管理・移民政策の厳格化、軍備の増強を主張しています。移民政策については、米国のためになる有能な外国人の入国を制限するものではないとの含意が示されたことで、移民の制約が人手不足を招きかねないとのハイテク企業などの懸念は一部緩和されそうです。

法人税率の引き下げや中間所得層への大規模な減税

税金については、米国企業が多額の税負担を強いられている現状にふれ、他国と公平な競争条件となるよう法人税率を引き下げることや、中間所得層への大規模な減税などを「歴史的な税改革」と銘打っています。もっとも、具体的な数字は挙げていません。通商面では「自由」だけではなく「公正」であるべきと指摘しつつ、注目された国境調整税、関税等への具体的言及はありませんでした。

医療保険制度の見直し

医療保険制度の見直しについては、①同制度の下で現在契約中の人が継続性を保てること、②政府によって強制されるものではないこと、③メディケイド(低所得者向け医療費補助)から漏れる人がないよう州知事に資金と裁量を付与すること、④患者・医師に不要なコストが生じないよう不当に高い薬価の引き下げへの働きかけを含む法改革を実施すること、⑤州を越えた保険の購入を可能にすることの5つの原則を掲げつつ、従来通り「撤廃と代替」の方針を示しました。

1兆米ドル規模のインフラ投資

インフラ(社会基盤)投資については、その必要性に再三言及し、官民の資金により1兆米ドルの投資を生みだす法律の承認を議会に要請する意向を示しました。1兆米ドルとの金額が具体的に示されましたが、公約で謳われていた金額と同じで、内容を含めて新味はありません。

3月半ばの「予算教書」に注目

総じてこれまでのトランプ大統領の政策姿勢を確認するもので、良くも悪くもサプライズはありませんでしたが、政策への期待は保たれそうです。政策の詳細については、3月半ばとされる「予算教書」で、より具体的に明らかにされると思われます。

以上

当資料のお取扱いにおけるご注意
  • 当資料は、ファンドの状況や関連する情報等をお知らせするために大和アセットマネジメントにより作成されたものであり、勧誘を目的としたものではありません。
  • 当資料は、各種の信頼できると考えられる情報源から作成していますが、その正確性・完全性が保証されているものではありません。
  • 当資料の中で記載されている内容、数値、図表、意見等は当資料作成時点のものであり、将来の成果を示唆・保証するものではなく、また今後予告なく変更されることがあります。また、記載する指数・統計資料等の知的所有権、その他の一切の権利はその発行者および許諾者に帰属します。
  • 当資料中における運用実績等は、過去の実績および結果を示したものであり、将来の成果を示唆・保証するものではありません。
  • 当資料の中で個別企業名が記載されている場合、それらはあくまでも参考のために掲載したものであり、各企業の推奨を目的とするものではありません。また、ファンドに今後組み入れることを、示唆・保証するものではありません。